2018-04-18

想像以上の環境の悪化で苦しむ日本の銀行は生き残れるか?


超低金利によって銀行の収益が悪化している。

そして、ここ最近のインターネットによる決済の急増と、キャッシュレスによる合理化の流れの中で、紙幣と小銭のような古くさいものを扱っている銀行は、非効率さゆえに凋落していくという流れが世界的に鮮明な動きになっている。

出版社・新聞者・テレビ局のビジネスがインターネットによって時代遅れになっているのは多くの人が実感として感じるようになっている。これから顕著になっていくのは「銀行」の凋落だ。

銀行に対する苦境は、まずは地方銀行の苦境から始まっている。2017年10月25日、金融庁は「地方銀行の収益減少のスピードが予想以上に速まっている」として警鐘を鳴らしている。

「2017年3月期時点で、すでに過半の地銀で本業が赤字に転落」「昨年の推計を上回るペースで収益が減っている」と言うのだからその苦境は尋常ではない。

メガバンクも体力が消耗しつつあり、みずほ銀行・三菱UFJ・三井住友銀行がそろってリストラを表明している。メガバンクの中でも、みずほ銀行の状況悪化は目にあまるものがある。

超低金利に伴う収益悪化、テクノロジーと決済が結びついたフィンテックの台頭、そしてキャッシュレス、人工知能による合理化などが加速すると、今の銀行員の半分以上、場合によっては8割は「要らない人材」となる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

方向転換ができないまま捨て去られていく


日本の銀行は、紙幣・小銭を大量に扱わなければならないことで立ち遅れている。

そこに日銀の超低金利政策でダメージを受け、さらに人口が減少していくのに未だに土地を担保として金を貸すという時代遅れの発想から脱却できず、大量の人員に高給を払って莫大な経費が流出している。

現状を変えられない。その結果、凋落を前に為す術がない状況に陥っている。

かつては尊敬されていたメガバンクであっても、時代の流れの中で、見る影もなく組織が瓦解していく姿がここにある。いくら過去がすごくても、それだけで生き残れるとは限らないのである。

未だに「銀行は安全で安泰で安心できる勤め先」と思い込んでいたり「自分の子供は銀行のようなお堅いところに就職してもらいたい」と考える親もいる。

それは大きな間違いだ。今の銀行は血を流すような変革を迫られており、これから大きな混乱が起きるセクターだ。場合によっては銀行の破綻が相次ぐ可能性もある。

生存環境が変わっているのに、旧態依然の経営から脱却することができずに身動きできなくなる。最後にはビジネスモデルが破綻して方向転換ができないまま捨て去られていく。

何十年も続いて来たビジネスモデルでも、時代が変わると成り立たなくなるというのは、すべての業界で言えることだ。

たとえば出版業界も新聞会社もインターネットが登場してから首が絞まっていった業界のひとつだ。もう「文章」というのは、紙で読むのではなく、インターネットで読むというのが当たり前になっている。

そのせいで、出版社や新聞社は売上を落とし、規模が維持できなくなり、身売りや廃業が相次ぐ「衰退産業」と化した。この傾向はさらに拡大していく。

インターネットは既存の巨大企業のビジネスモデルをことごとく破壊していく。インターネットの現在の標的は「銀行」なのだ。銀行は普通の人が考えている以上に状況が悪化している。

「合理的な判断」を積み重ねた結果、没落する理由


インターネットの中で何らかの革新が生まれるたびに、巨大企業のビジネスモデルは根幹から吹き飛んでいく。世の中の急激な変化にひとたまりもない。

銀行機能は残るが、今の非効率な銀行はなくなる。

これは、決して今の銀行にまともな人材がいないからではない。いないどころか、そこには一流大学卒業の優秀な人間が集まっている。

実行力と統治能力を持った人間が最善の判断で着々と物事を進めている。基本的に銀行員は優秀な人材なのである。

銀行には資金も大量にあり、生き残りのために取れる作戦も無数にある。資金力がないからできることが限られてくる中小企業や個人とは対極にある。

それなのに、なぜ銀行の動きは鈍重で、身動きができず、時代に打ち捨てられ、衰退してしまうのか。それは、皮肉なことに「合理的な判断」を積み重ねる結果である。

銀行はとにかく、現在抱えている既存の顧客を満足させる必要がある。非効率な紙幣や小銭を扱うようなビジネスは切り捨てたいがそれができない。そのため、需要に関係なく今の事業に資源が投下される。

また、新しいフィンテックの動きは全面的に取り入れるには不確実性が高すぎて巨大企業には冒険になる。また仮想通貨のようなものはまだ新らし過ぎる上に市場規模が小さくて参入できない。

不動産を担保とした融資は近いうちに急激に担保能力を喪失して駄目になるが、今は何とか回っているのでそれが優先される。高給取りの人材はリストラして一掃したいが、あまりにも急激にやると反発も怖い。

銀行は「今を支えるためのビジネス」があるが、それを大事にしなければならないので、世の中が新しくなっても優先されるのは常に「今まで」のビジネスである。

新しい動きに賭ける価値があったとしても現状に縛られて動けない。また、新しい技術に対応することによって、既存のビジネスに悪影響が及ぶ。だから対応が遅れて、気が付いたときはじり貧になっている。

「時代を見る目」と「時代に合わせる能力」は必須


日本は莫大な財政赤字を抱えているので超低金利政策を転換することができず、国が自らを助けるために銀行を見殺しにしている現状がある。

そこに非効率な経営とフィンテックの台頭によって、日本の銀行は何重にもダメージを受けるようになった。

銀行の経営者は以前からこれらのすべてを知っていた。しかし現状維持にあぐらを書いた結果、徐々に首が絞まる結果になっている。

2018年1月15日。読売新聞は「銀行員、転職希望急増…収益悪化でリストラ不安」という記事を上げている。

『人材サービス大手リクルートキャリアに転職希望者として新たに登録した銀行員数は、2017年度上期(4~9月)に前年同期比で約3割増加し、その後も増え続ける勢いだ』

いささか遅きに失しているが、銀行員はもはや現状に見切りを付けて沈みゆく船から逃げようとしているのが分かる。もう「銀行」という業種とそのビジネスモデルに未来がないと現場の人間が悟ったのだ。

地位を築いた企業、確固としたビジネスモデルを築いた安定企業は、それが故に新しい波に乗ることができなくなり、時代に取り残され、捨てられていく。

銀行であっても、時代に取り残されればあっと言う間に捨て去られる。たとえ巨大だろうが、歴史があろうが、知名度があろうが、そんなものは意味がない。時代に適応できなければ生き残れないのだ。

「最も強い者が生き残るのではない。生き残るのは変化できる者である」と言われる。

最近の時代の流れは、インターネットとグローバル化によって猛烈に加速されている。生き残るために変化に対応できなければならないというのは、これから到来する第4次産業革命の中では特に重要な指針である。

そういった意味で、「時代を見る目」と「時代に合わせる能力」は必須になっている。取り残されたら、一瞬にして時代から捨てられて没落に追いやられる恐ろしい時代が来ている。(written by 鈴木傾城)

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銀行であっても、時代に取り残されればあっと言う間に捨て去られる。たとえ巨大だろうが、歴史があろうが、知名度があろうが、そんなものは意味がない。時代に適応できなければ生き残れないのだ。


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