2018-02-26

「現在バイアス」を克服しないと将来利益が最大化できない


一生懸命に働いて、真面目に生きれば、生活は安定して将来は楽になるというのは誰でも知っている。しかし、人は誘惑に弱く、流されやすく、とても衝動的な一面も持っている。

金を貯めた方が将来は楽になると思いながらも、人は「目先の喜び」を得たくて欲しいものを買い、好きなことにとめどなく金を使う。

ダイエットをした方がいいと分かっていても、目の前にあるお菓子やケーキをつい食べてしまう。運動した方がいいと分かっていても、面倒なことはしたくないので先延ばしする。

「こうした方が将来のために良い」と分かっていても、そんな簡単に自分を律することができるはずもない。長期的な利益のために我慢が必要だと分かっていても、そんな簡単に我慢できるのであれば人は困らない。

だから、学生は「勉強しなければ」と思いながらゲームで遊ぶことを優先し、社会人は「貯金しなければ」と思いながら散財してしまうのだ。

そんなことは誰しも経験することだ。人は完璧ではないのだから、いつも完璧な結果は得られない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

私たちの目の前には、2つの「利益」がある


「こうすれば将来楽になるのに、目の前の誘惑に負けて将来をフイにする」という現象を「現在バイアス」と呼ぶ。ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン博士が行動ファイナンスの一貫として明らかにしたものだ。

人間は必ずしも最大の利益を合理的に取るわけではない。「将来の利益を軽く、現在の利益を重く感じる心の働き」があってそれが経済予測を複雑化させている。

ダニエル・カーネマン博士は、これを「現在バイアス」という言葉で可視化した。現在バイアスは、たくさんある「不合理な選択」の中の典型的な例のひとつである。

「将来のためによい」というのは「将来の利益」
「目の前の誘惑」というのが「目先の利益」

私たちの目の前には2つの「利益」がある。本当は「将来の利益」のためには「目先の利益」を捨てなければならないのに、それを捨てることができなくて「目先の利益」を取る人もたくさんいる。現在バイアスにとらわれた状態だ。

現在バイアスにとらわれて目先の利益に飛びついたことによって、将来がフイになってしまうというのは往々にしてある。

「将来のために貯金すべき」(将来の利益)
「欲しいものを買いたい」(目先の利益)

こうしたジレンマがあった場合、「将来の利益」のためにどこまで我慢できるかは人によって違う。完璧に「将来の利益」を優先できる人もいれば、毎度のように「目先の利益」を優先して後悔する人もいる。

あるいは、いつもは「将来の利益」を優先するのだが、あるとき衝動的に「目先の利益」に走ってしまう人もいる。人によって耐性と衝動性はさまざまだから、他人がどうかというよりも「自分がどうか」と顧みるのが重要だ。

長い人生の中で、無意識に選択を間違えるタイプというのは、いついかなるときでも自制が効かず「目先の利益」を優先してしまうタイプが多い。

「将来の利益」のために我慢した方がいいと分かっていながら、どうしても「目先の利益」に目が奪われてそれを避けることができない。

もしこのようなタイプであれば、「自分は現在バイアスが強すぎる」と自覚しつつ、考え方や行動を少しずつ変えていくしかない。なぜなら、そうしないといつまで経っても行き当たりばったりの生き方しかできないからだ。

「将来の利益」をしっかりと脳裏に刻んでおく


世の中は不条理だと言われているが、何が不条理なのか。

それは、「将来の利益」を優先する生き方をすれば現在は忍耐が必要だし、「目先の利益」を優先する生き方をすれば将来は破綻が待っているというケースが多いから不条理なのだ。

この不条理を解決するために、人は常にどちらを優先するかをその都度、正しい選択をしなければならない。問題は一方を優先すれば、もう一方の利益を手に入れることができないということだ。

健康のためには、食事の制限は必ず必要だ。目の前にある食べ物を暴飲暴食するのは快楽だが、ずっとそうしていれば、将来は健康を失ってしまう確率が上がる。健康でいたければ、好き放題に食べる快楽はあきらめなければならない。

生活安定のためには、出費の制限は必ず必要だ。欲しいものを片っ端から買い込むのは快楽だが、そうすれば将来は貯金ゼロか借金まみれになる確率が上がる。生活安定のためには、浪費はあきらめなければならない。

つまり、将来の破綻を避けるためには「目先の利益」をあきらめるか、耐えるか、コントロールできていなければならないのである。ここで意志決定を間違うと、場合によっては人生が吹き飛ぶ。

「目先の利益」をあきらめないと「将来の利益」は手に入らなくなるというのは、とてもシンプルな法則である。

子供でさえ、ある時点でその法則に気付く。ときには我慢が必要だと学ぶのである。にも関わらず、どうして選択を間違う人が出てくるのだろうか。

それは、「目先の利益」の方が「将来の利益」よりも大きくて確実なものに見えるからでもある。まさに、典型的な現在バイアスにとらわれる。

「将来の利益」がぼんやりとしてはっきり見えなかったり、将来に懐疑的であったりすると、不確実な将来よりも確実な今を選んでしまう。

だから、「目先の利益」に飛びついてしまう現在バイアスの強い人は、常に「将来の利益」をしっかりと脳裏に刻んでおくことが大切になる。

「将来の利益」をリアルに考え続けること……。不条理を解決し、現在バイアスを避ける唯一の方法がここにある。

できるだけ早く体勢を立て直すことが必要だ


ダニエル・カーネマン博士が可視化したのは、人間は完璧であるとは限らないということであり、現在バイアスの存在を知っていても合理的に将来価値を選べないほど、それほど強いということである。

そうなのだ。人間は「将来の利益」は分かっていても、時には衝動的に目の前の誘惑に飛びつく。誰もが人生において大きな失敗をいくつもする。

失敗しない人間はいない。誰しも無意識に現在バイアスにとらわれる。

だから本当に重要なのは、どこかの時点で今の快楽と将来の利益とどちらを取るのが自分にとってリターンがあるのかを冷静に考える時間を持ち、正しい選択に戻ることだ。

いったん、情報をすべてシャットアウトして冷静に考える時間を作る必要がある。(ダークネス:情報が飛び交う中で情報を遮断する時間が必要な理由とは?

そうすれば最初は間違った選択をしても、すぐに軌道修正して利益の大きな方向に戻れる可能性が高まる。正しい方向に戻れる柔軟性があると、何度か失敗しても挽回できる。

世の中の森羅万象を見ると、ほとんどの場合は将来価値の方が現在価値よりも利益は大きい。そのため、やはり「将来の利益」をしっかりと自分の中で持ち続けることが重要になる。

人生の歩みは直線ではなくジグザグだ。人生だけではなく、世の中のすべての現象は現在値から到達地点までの道のりは直線ではなく、曲がりくねっている。将来に至る道はいつも紆余曲折で平坦ではない。

だから途中の紆余曲折を想定しながら、常に「将来の利益」という方向性だけは堅持して生きていく必要がある。

現在バイアスは常に人の目を惑わせる。

だからこそ間違えた選択をした時に、間違いは間違いだと認め、改めて「将来の利益」を見つめ直して、できるだけ早く体勢を立て直す姿勢が必要なのだ。

絶対に失敗しないという非現実的なことを考えるよりも、失敗してもすぐに軌道修正して正しい方向性に戻る力を持つことに注力した方がいい。

自分の人生の中で、「将来の利益」をきちんと考えるのは、そのために役に立つ。(written by 鈴木傾城)


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世の中の森羅万象を見ると、ほとんどの場合は将来価値の方が現在価値よりも利益は大きい。そのため、やはり「将来の利益」をしっかりと自分の中で持ち続けることが重要になる。


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