2018-02-21

低所得層が精神安定剤より強い安心感を得られるものとは?


低所得層は心身共に病みやすい。身体も病みやすいし、心も病みやすい。かつて肥満や糖尿病は富裕層の病気であると言われていたが最近は逆だ。低所得層ほど肥満や糖尿病になりやすい。

厚生労働省が発表している「平成26年 国民健康・栄養調査結果の概要」によると、年収200万円未満の低所得層と年収600万円以上の高所得層を比べて以下の現実を指摘した。

炭水化物の摂取量は低所得層の方が多い。運動習慣のない人は低所得層の方が多い。タバコを吸う人は低所得層の方が多い。肥満は低所得層の方が多い。

野菜の摂取量は高所得層の方が多い。肉類の摂取量は高所得層の方が多い。歩く量は高所得層の方が多い。睡眠は高所得層の方が多い。

さらに食品を選択する際に気を付ける点として、「栄養価、季節感、安全性、鮮度、おいしさ、好み、量」については、すべて高所得層が低所得層よりもこだわりが強く、同じ食品を買うにも健康に気を付けていることが判明した。

これらの統計が指し示している事実は非常にシンプルなものであり、たったひとことで表現できる。

「金持ちは低所得層よりも健康に気を使うことができる」(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

高所得層は、健康に良い方向を選択する傾向が強い


もちろん、この統計は「傾向」であって、すべての個人にぴったりと当てはまるものではない。

個人個人で見ると、低所得層でも健康に気を付けている人がいる一方で、金持ちでもまったく健康に気を使わない人もいる。(ブラックアジア:低所得層も富裕層もみんなジャンクフードの虜になる現代社会

さらに、こうした統計の細かいデータを見ると、低所得層でも高所得層でも、それぞれの差はそれほど大きなものではなく、ほんの数%の違いであることにも気付く。

しかし、その数%が差を生み出すのである。

高所得層は「健康に良い食品を選択する」傾向が強いので、長い目で見ると健康状態がより良い方向を指し示す。逆に低所得層は「健康よりも安い食品を選択する」傾向が強いので、長い目で見ると健康状態が劣化していく。

ただ、低所得層も健康的な食品を絶対に買えないのかと言えばまったくそうではない。ほどほどの価格で手に入る野菜や健康な食品も多い。

しかし、インスタント食品・加工食品が激安で売っているのであれば、ほどほどの価格の健康に良い食品よりも、つい激安の食品に方を手にすることになる。

1ヶ月や2ヶ月くらいはそうした食品を食べ続けたとしても、まったく身体にも健康にも変化がない。だからそれを延々と食べ続ける。それが長期に渡ると次第に健康を害していくことになり、決定的な差となっていくのである。

低所得層は身体の病気だけでなく、心の病気にもなりやすい。それも、実は偏食による特定栄養素の不足から来ていると分析する医師もいる。

「自律神経失調症や鬱病は、栄養の不足や偏りが原因のひとつになっている可能性がある」と言うのは、もうずいぶん昔から指摘されている。

ミネラルやビタミンやタンパク質が足りなくなると、身体だけでなく精神にも変調をきたすのだ。

低所得であることが負のスパイラルを生み出す


低所得層は病みやすい。それは栄養価が偏っているか不足しているからでもある。

しかし、そもそも栄養が足りなくなるのは、その前に金が足りないからである。金が足りないと、どうしても生活のいろんなところに歪みが生まれてくる。

ギリギリで生活しているので、出費が嵩むと途端に経済的な問題が起きる。

家賃に追われる。電気・ガス・水道・電話代が足りなくなり、どうやって金を工面するか、必死で考えないといけなくなる。食費は真っ先に削られるべき性質のものだ。思いあまって万引きに走る人も増えている。(ブラックアジア:私たちは、これから何度も高齢者の万引きを目撃するのか?

食費を削ると集中力も失い、体力も気力もなくなり、病気や怪我をしやすくなる。病気になっても自分の身体よりも医療費が心配で病院にも行かずに我慢して病気を慢性化したり悪化させたりすることもある。

明るい気持ちになれず、精神的にも追い詰められる。場合によっては生活の不安と心配がかさんで、よく眠れなくなってしまうこともある。

それで精神の安定が得られる人がいれば、大したものだ。多くの人は経済的に困窮すればするほど激しいストレスにさらされ、精神の安定を失って心もまた荒んでいく。

その心の荒廃が悪化してどうにもならなくなった結果が、自律神経失調症や鬱病なのである。

自律神経失調症や鬱病は「心が壊れた」状態だ。心が壊れている時はまともに仕事をこなすこともできない。仕事に集中できないどころか、仕事に行くことすらもできない。

そうすると、ますます収入が減る。場合によっては無所得になってしまうこともある。無所得になるとまともな食品が食べられなくなり、栄養状態は極度に悪化する。

それがまた「低所得層の病みやすさ」を誘発する。まさに低所得であることが負のスパイラルを生み出す。

低所得層にとって、最も効く精神安定剤とは何か


低所得の危険な負のスパイラルから抜け出すには、収入を増やすか、もしくは貯金を増やすか、その両方を同時に行うかのいずれしかない。

収入を増やすというのがすぐに難しいことであるならば、収入を減らさないように長く維持できる状態を作り上げておいて、「生活をダウングレードしながら貯金を増やす」というのが、最も現実的で重要な行動指針となる。

心が壊れると医師はいろんな精神安定剤をくれる。しかし、精神安定剤は長い目で見ると役に立たない。薬は次第に効かなくなり、さらに副作用が現れるようになり、より状況を悪化させるからだ。

低所得層に必要なのは、精神安定剤よりも「貯金」だ。

不意のトラブル、不意の問題が起きても、貯金があれば当座をしのぐことができる。それが分かっていれば、心の余裕もゆとりもできる。安心して眠ることもできる。最善の手を探る時間的余裕もある。

「貯金」は、心を壊さないための、最も強力で役に立つ精神安定剤である。

貧困に堕ちた他人を毎月助けてくれる物好きな人間はいない。自分の身は自分で守らなければならないのが自立した人間の掟(おきて)である。

自分の身を守るという具体的指針が、「貯金をする」ということなのである。

「金を貯める」というのは、面白味がなく、意外性もなく、地味でつまらない行為のように思えるかもしれない。

しかし、問題を解決するための原理・原則というのは、本来は「当たり前」の上に成り立っている。物事の本質は、奇抜なものでも斬新なものでもなく、常識的なものだ。

だから、低所得であればあるほど、地味に手堅く「当たり前」を実行する必要がある。その基本が「貯金」である。

低所得層こそが貯金をしなければならないのは、生活を守り、きちんとした食事を手に入れ、心を壊さないための精神安定剤を手に入れるためなのである。


生き残るために貯金という基本中の基本を徹底する


低所得層が「貯金」をしなければならないというのは、あまりにも常識的すぎる話だ。当然の話である。

しかし、こうした話を詰めていくと逆に「低所得層だから貯金ができないのだ」という訴えを聞くこともある。

確かにその通りだ。富裕層が貯金するのと低所得層が貯金するのとでは、低所得層の方がずっと過酷だ。収入が少ないのだから、貯金することによって何かが犠牲になる。

この点について、鈴木傾城は低所得層の自己破産を事案として扱ってきた弁護士と話したことがある。

「貯金をするには節約が重要だが、やるべき節約をやらない人も多い。だから節約のためのアドバイスをすることもある」というのが印象に残っている。

話の中で、低所得層のための多岐に渡るアドバイスがあったのだが、その中でも当たり前だが徹底されていない項目として印象に残ったのが以下の8項目だった。

(1)物を減らす。
(2)物は買わない。
(3)電化製品に気を付ける。
(4)電気代を節約する。
(5)いい人にならない。
(6)つきあいを減らす。
(7)嗜好品はやめる。
(8)家計簿をつける。

すでに返しきれないような借金を抱えて、それが問題の元凶になっているのであれば、人生を早く回復させるために破産免責手続きで消滅させる決断も必要であるとのことだ。

「貯金する」というのは、こうした地道な「当たり前」の積み重ねを継続した結果できるものだ。基本ができないと永遠に這い上がれないし、それが結果的に人生に大きな不安定さをもたらしてしまう。

低所得層が精神安定剤より強い安心感を得られるものは「貯金」である。貯金が様々な面で良い結果をもたらす。きちんとした食事を無意識の中で選ぶこともできるようになり、長い目で見ると健康の維持にも役立つ。

だから、資本主義の世界で生き残るために、「貯金」という基本中の基本を徹底しなければならないと言える。すべてはここからスタートだ。(written by 鈴木傾城)


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低所得層が精神安定剤より強い安心感を得られるものは「貯金」である。貯金が様々な面で良い結果をもたらす。きちんとした食事を無意識の中で選ぶこともできるようになり、長い目で見ると健康の維持にも役立つ。


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