2018-02-12

全世界22億人が過体重だが、これは多国籍企業の勝利だった


アメリカのビジネス誌『フォーブス』は2017年10月12日に「米国の肥満率が過去最悪を更新、標準が少数派に」として、次のような内容を掲載した。

『肥満の人に過体重に分類される人を合わせると、人口の70%を超えるのだ。つまり、米国ではいまや「普通体重」の人が少数派だということだ』

いくらアメリカ人の身体が壮健だとしても、肥満であり続けることで健康が維持できるはずもない。

当然、アメリカ人は心疾患、糖尿病、脳梗塞と次々と肥満が原因の病気に襲われている。それでもアメリカの肥満問題は解決することができそうにない。

その原因は1980年に始まった2つの問題がある。1つはファストフード店の増加。もう1つは貧富の差の拡大だ。

ファストフードはジャンクフードである。脂肪と油がたっぷりの高カロリー食に、飲み物は砂糖たっぷりのドラッグ的な炭酸飲料水である。

1980年代からファストフード店が増加して、アメリカ人がこれを恒常的に食べるようになった。そして、それは止まらなくなった。

今では、大統領でさえ普通の食事よりもマクドナルドしか食べないような時代と化した。(貧困層も富裕層もみんなジャンクフードの虜になる現代社会)(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

客は肥え太っていた方がビジネスにとっては有利?


ところで、私たちがレストランのオーナーだったとする。客は太っていた方がいいだろうか。それとも、痩せていた方がいいだろうか。

どちらがビジネスにとって有利だろうか?

もちろん、太った客の方がビジネスにとって有利だ。太った客は大量に食べる。際限なく食べる。ジャンクでも何でも食べる。何回も来てくれる。つまり、大量に金を落としてくれる。

痩せた客は大して食べないので、ビジネスとして旨味がない。しかし、太った客は2人分でも3人分でも食べる。

では、私たちが飲料水メーカーの製造者だったとする。客は太っていた方がいいだろうか。それとも、痩せていた方がいいだろうか。どちらがビジネスにとって有利だろうか。

もちろん、これも太った客に決まっている。太った客は大量に飲んでくれるので、キングサイズが馬鹿売れする。痩せた客は大して飲まないので、ビジネスとして旨味がない。

では、私たちがスーパーのオーナーだったとする。客は太っていた方がいいだろうか。それとも、痩せていた方がいいだろうか。これもまた答えは同じだ。

客は太ってくれていたほうがいい。太った客は大量に食べるので、その分を店であれこれ買ってくれる。ビジネスにとって、太った客はこの上なく大切な「カモ」なのである。

どうせ、彼らは自分の人生とは関係のない人たちだ。彼らが太りすぎて健康を害したところで、それは自業自得である。だから、お菓子メーカーも、食品メーカーも、みんな太った客を歓迎する。

つまり、資本主義にとって、消費者は全給料を食費にかけるほど太りきった人間が大量にいた方が好都合なのであり、それは歓迎すべきことなのである。

では、世界で最も資本主義が進んだ国はどこか。アメリカだ。だから、アメリカ人は太っているのである。

暴飲と暴食を誘い、その国の国民を太らせていく


このアメリカに出稼ぎに来ているメキシコ人も、アメリカでジャンクフードに慣らされたお陰で、現在はメキシコが世界最大の肥満国家と化した。

アメリカ式の食文化に慣れると人間はみんな太りだして、止まらなくなる。

アメリカ文化が悪いというよりも、アメリカの多国籍企業がターゲットを研究し尽くしてどんどん食べさせるように仕掛けた結果という方がより確かだ。

そんなわけで状況はどんどん悪化している。

世の中はグローバル経済となって、アメリカの多国籍企業は雪崩を打つように世界に飛び出して行ったが、この多国籍企業が世界でやることは、もちろん全人類の肥満化である。

大量のコマーシャルを打って、ジャンクフードと炭酸飲料をどんどん勧めて、その国の国民を徐々に伝統的な食生活からジャンクフードに切り替えさせる。

ファストフードはターゲットを子供に絞っていることも多いが、それは子供の頃からジャンクフードに慣らしていると、大人になってもそこから抜けられないからだ。

そうやって味覚を占領して、暴飲と暴食を誘い、どんどんその国の国民を太らせていく。

国民が太れば太るほど食費にかける金は増えていき、その結果、食品に関わる企業は大儲けすることになる。資本主義が進んでいった結果、国民の肥満は止まらなくなる。

グローバル化が加速すれば肥満が全世界に広がっていくのはそういう背景があるからだ。

医学誌『ニューイングランド ジャーナル オブ メディスン』に掲載された記事によると、今や全人口のうち、約22億人が肥満と化していることが指摘されている。

今のところ、人々は「肥満は自分の努力が足りないからだ」と思っているので、太っているのは自分が悪いと自分の意思の薄弱さを責めている。

しかし実際のところは、「太らせた方が金になるから太らせる」という資本主義の方向性によって、太ることを仕掛けられていると考えるのが正しい。

肥満と資本主義が密接に関わっているということ


確かに、太っている痩せているというのは、個人の食生活の結果から生まれているので、肥満になったのは自業自得であるという見方は間違いではない。

しかし、アメリカのように国民の70%が太りすぎや肥満であるということになると、自業自得だけではない他の理由もあるはずだと気付かなければならない。

つまり端的に言うと、肥満は「資本主義のワナ」であることに気付かなければならない。

(1)資本主義は儲けがすべてだ。
(2)人々を太らせた方が儲かる。
(3)だから人々を意図的に太らせる。

ここに気付く人は少ないが、実際問題としてアメリカ人が極端に太っていった理由の中でファストフードや炭酸飲料に原因があるのは分かっているので、そういった企業が「仕掛けた」というのは荒唐無稽な論ではない。

まさか、自分の肥満と資本主義が密接に関わっているなど、誰も思わないので、多くの人は自分の意志の弱さだけを責めて、雑誌の痩せた人たちの健康な身体を見て溜息をつく。

そして、どうするのか。もちろん、太った人々はダイエットに目覚めていく。健康やダイエットに目覚めると、そこにまた巨大な多国籍企業が待っている。

もし、私たちがダイエット業界の人間だったとする。そうであれば、太った客がたくさんいればいるほど素晴らしいと思うはずだ。

太った人間しかダイエットしたいと考えないのだから、ダイエット業界にとって人類は太った人ばかりでないと困るのだ。

さらに人々が肥満で不健康になったら、サプリメント業界も医療業界も大儲けできる。

どこの国の政府も国民が太ったら医療補助に金がかかるので、何とか国民に痩せてもらいたいと思っているが、資本主義の論理は逆だ。国民は太っていればいるほど良い。

では、政府と資本主義はどちらが強いのか。もちろん、資本主義の方が強い。ということは、資本主義に飲まれた全世界の国民は、これからもどんどん太っていくということになる。

これが、弱肉強食の資本主義である。(written by 鈴木傾城)


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確かに、太っている痩せているというのは、個人の食生活の結果から生まれているので、肥満になったのは自業自得であるという見方は間違いではない。しかし、自業自得だけではない他の理由もあるはずだと気付かなければならない。それは仕掛けられたワナだったのかもしれない。


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