2017-12-13

55歳までに資産を保有していないと地獄でもがくことになる


病気、失職、転職失敗、借金、無学歴、無資格、事故、怪我、障害……。誰でも何らかの問題を人生で抱え、誰でもホームレスに落ちる可能性はある。

金がなければ人はすべてを失い、路上で寝るしかない。それは後進国だろうが先進国だろうが同じことだ。

日本は豊かな国であり、2000年頃までは「貧困」に興味を持つ人はほとんどいなかった。「日本には貧困などない」と思っている人も大勢いた。

しかし本当は日本にも貧困があって、闇がぽっかりと口を開いて人々を飲み込んでいたのだ。

バブル期が日本のピークだったが、1990年にバブル崩壊して以後は状況が悪くなるばかりだった。

その頃から自殺者が急激に増え出して、つい最近まで約3万人台がずっと続いていたことは、貧困が拡大したことと無関係ではない。

自殺者は40代から50代の男性が多い。様々な理由で普通の生活から転がり落ちて人生に行き詰まった男たちが、精神的に追い込まれて自殺する。

「ホームレスになるくらいなら、死んだ方がマシだ」と思い詰め、ホームレスに落ちる前に死んでいく。


肉体労働は、55歳が限界というひとつの証明


日本のホームレスは、何歳代が多いのだろうか。厚生労働省の出している『平成24年ホームレスの実態に関する全国調査検討会報告書』を紐解くと、このように書かれている。

「55歳以上が全体の7割以上を占める」

よく、一流企業を失職してどうにもならなくなった男性が最後にホームレスになったという「転落話」を聞く。

あるいは、ホームレスになる人々の中には、自営業をやっていて多額の負債を抱えたまま会社を倒産させてしまったとか、パチンコや公営ギャンブルにハマって多重債務者になったとか、そういった経歴の人間もいる。

しかし、実際にホームレスを構成する大多数はそうではなく、別の人生のストーリーを持っている。

それは、「若い頃からずっと肉体労働をしていたが、年を取ったり、身体を壊したりしたのをきっかけに働けなくなり、ホームレスにまで落ちた」というものだった。

厚生労働省は「初めて路上(野宿)生活をする前にやっていた仕事」をも調査しているが、全体を見ると45.9%が「建設・採掘従事者」であったことが分かっている。他に多かったのは、「輸送、機械運転従事者」と「運搬・清掃・包装等従事者」である。

あくまでもホームレスで大多数を占めるのは、肉体労働をしていた人たちの生活破綻である。建設作業員などは、社員であっても日雇い労働者に近く、怪我をしたり身体を壊したりすると途端に生活に窮する。

人間だから病気になったり、怪我をするのは誰にでも起こり得ることだ。そして、年を取れば取るほど身体が言うことを聞かなくなっていく。

ホームレスを構成しているのが「55歳以上が全体の7割以上を占める」ということは、肉体労働は55歳が限界だというひとつの証明になっている。

だから、肉体労働をして生きている人たちは、一般論で言えば、それができるのは40代の終わりまでだと考えるべきだ。50代に入ると、とたんに厳しくなる。

「堕ちないための金」を積み立てておくということ


50代と言えば、まだ死ぬ年代でもない。死ぬどころか平均寿命から見るとまだ30年も残っている。

したがって、50代を過ぎても生きるためには、肉体労働ではなく、マネージメントやその他、体力を消耗しないで生きていける何らかの仕事に就けるようにしなければならない。

それがなかなか難しいのが低学歴の人たちだ。肉体労働がキツくなると分かっていても上に這い上がれる人は多くない。

本人の能力が低いからではない。企業は高学歴の人間をマネージメント職につけて、低学歴層を現場につけるからだ。社会はそのようになってしまっているのである。

それであれば、50代に向けて堕ちないように「準備」をしておかなければならない。

準備とは要するに「堕ちないための金」を積み立てておくということだ。しかし、日雇いのような仕事が続くと、その「積み立てる」ということ自体が難しい。

積み立てるどころか、多重債務に堕ちていくのも実はこういった人たちが多い。借金慣れしていくと、やがてその借金が返せなくなって一気に多重債務者になる。

多重債務に堕ちると、もう這い上がるのは難しい。

だから、少なからずの人たちが自殺し、少なからずの人たちが貧困ギリギリの生活になり、少なからずの人たちはさらに堕ちてホームレスとなる。

資本主義は金がすべての世の中だ。

それは自由な世の中の、唯一の絶対ルールと言ってもいい。底辺に堕ちれば堕ちるほど、そのルールはより非情なレベルになって弱者に襲いかかっていく。

金がなければ、世の中に食べ物が満ち溢れていても、自分だけは飢えて死ぬ。食べ物が大量に余っても金のない人間に配るのではなく、破棄するのが資本主義である。

自国に餓死しそうな人がいても関係ない。金がなければ破棄するだけだ。

「55歳以上が全体の7割以上を占める」ということ


国が発展している時代であれば、仕事がいくらでもあるので、こういった人たちも救済されることがある。高度成長期はどんな人であっても仕事に恵まれた。

しかし、経済大国としてのピークを過ぎて経済が縮小していく時代に入ると、普通の人であっても運が悪ければホームレスに転がり落ちていくことになる。

日本もそうだが、経済大国としてのピークを過ぎた国は、往々にして社会保障費の増大に苦しんで財政不足に陥っている。そのため、社会的な弱者に落ちてしまった人は救済されるのではなく逆に突き落とされる。

バブルも崩壊し、長く政治も混乱し、少子高齢化も放置されてきた日本は、いよいよ敗者が見捨てられる段階にきた。最初は確かに肉体労働に就いてきた人たちが50代を過ぎて働けなくなって転がり落ちる傾向が続く。

しかし、ブルーカラーだけが地獄に落ちるのではなく、その次にはホワイトカラーの地獄が待っているのである。

内需が減退して売上が上がらなくなり、それでいてグローバル化によって競争が激しくなり、さらに雇用を削減するイノベーションが進むことによって、企業はホワイトカラーを大量に削減するようになるからだ。

真面目に会社に勤めていても、その会社が社員をリストラしていく。あるいは、会社そのものが破綻していく。

一部上場の巨大企業でも破綻する。たとえば、日本を代表する家電メーカーであっても経営破綻寸前になり、多くの技術者が無理やりリストラで放り出される。

あるいは社会環境が変わったことでお堅い職業であったはずの銀行員も不要になってしまう。(雇用を削減するイノベーションは、次に銀行員を無職にする

誰が「要らない」と言われて放り出されるのか。IT技術に疎く、それでいて高賃金をもらっている50代の人々である。

若年層は生活破綻しても親の住居に潜り込んで部屋に籠もっていれば生きていける可能性は残されている。しかし、50代の人間が生活破綻したら誰も助けてくれない。

不幸が重なって堕ちても、世の中からは自己責任だと言われて救済はほとんどない。経済的に追い詰められた人に、温かく金を与えてくれる人はひとりもいない。

ホームレスは「55歳以上が全体の7割以上を占める」ということは、55歳までに自らを救うための資産を保有していないと、地獄でもがくことになりかねないということでもある。



大阪あいりん地区にて。ホームレスは「55歳以上が全体の7割以上を占める」ということは、55歳までに自らを救うための資産を保有していないと、地獄でもがくことになりかねないということでもある。


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