2017-11-23

資本主義を改変する動きは、どんなものであれ大混乱を招く


現代は、平等であることよりも自由であることを追求した社会であると言える。誰でも自由に何でも好きな職業に就いたり、やりたいことをやったり、買いたいものを買ったりすることが可能だ。

そんな中で、ある人は享楽を追求し、ある人は金を追求する。享楽を追求している人と、金を追求している人では、長い目で見るとその資産には大きな差ができる。

金を追求している人は結果的に資産が貯まる。享楽を追求している人は結果的に資産が貯まらない。

最終的に所有する財産を見ると、ふたりは平等にならないのが普通だ。

スタートは同じだったとしても、結果は不平等になる。求めているものが違っているのだから、ふたりの人生は平等になるというのは、どう考えてもあり得ない。

誰でも金がある方がいいに決まっている。そうすると、最終的に金をなくしてしまった享楽型の人は不幸なのだろうか。いや、そうとも限らない。

世の中は「金」があれば幸せであるとは限らないからだ。金は人生の一部であって、すべてではない。


金よりも想い出、仕事よりも趣味、節約よりも享楽


享楽を追求する人は、その人生の中でたくさん楽しい経験をして、良い想い出を作って、気が置けない友達もたくさんできたはずだ。

金を追求して生きたわけではないので、大きな資産はないかもしれない。しかし、それ以上に豊かな人生を手に入れている可能性もある。

金よりも想い出、仕事よりも趣味、節約よりも享楽が重要な人はこの世にたくさんいる。

それなりに働けばそれなりの給料だが、必死で働けばたくさんの給料がもらえる。一方は想い出が充実し、一方は資産が充実する。

資産から見るとその結果は平等ではない。しかし、人生の目的や生き方が違っているのだから、他人にとやかく言うのは大間違いだ。

いろんな生き方があって、それを許容するのが自由主義であり、資本主義である。私たちが生きている社会はそのような社会である。

この仕組みは、結果の平等にこだわった共産主義よりもうまく機能したので、今や全世界がこの資本主義に覆い尽くされようとしている。

共産主義の総本山だったソビエト社会主義共和国連邦は1991年に死んだ。その次に共産主義大国だった中国もこのままではアジアの眠れる豚となってしまうと考え、ソ連崩壊の翌年に共産主義を捨てて資本主義に移行した。

結果の平等にこだわった共産主義、あるいは結果が平等になるように自由に規制をかける社会主義よりも、自由主義や資本主義の方が社会システムとしては優れているということは、1991年にすでに決着を見ているのである。

社会主義も共産主義も、1991年に死んだのだ。

想い出は財産のように継承することができない


しかし、資本主義の世界が先鋭化していくと、企業が利益拡大のために労働者を最低賃金で働かせたり、コスト削減でリストラを恒常化するようになる。

その結果、あまり金を追求しないで自由に生きていた人が貧困に転がり落ちるようになり、自由どころではなくなった。

資本主義はあまりにも弱肉強食化し、それ自体が不平等を生み出すシステムになった。そして、そのひずみがどんどん大きなものになってしまっている。

金を徹底的に追求する人間と享楽に生きる人間では、最終的に残る財産はまったく違ってしまう。しかし、自由主義や資本主義の社会ではそれを許容した。それを許容しなければ、自由主義にならないからだ。

問題は、このシステムが長く続いて行くと、やがて超格差社会が生まれてしまうことである。富める者はますます富み、貧しいものはますます貧しくなる社会が出現するのだ。

そして、財産が子供たちに継承されるようになると、格差はもはや埋めがたいものとなる。

金持ちの子供たちは生まれながらにして巨大な資本に囲まれて生まれ育ち、その資本を十二分に活用してさらに財産を殖やすことができる。

一方で享楽に生きて想い出をたくさん作った親の子供は、何も継承されないで世の中に放り出される。残念なことに想い出は財産のように継承することができない。想い出は一代限りのものなのだ。

仮に、1億円を継承した金持ちの子供はその1億円を3%の株式で運用していたとすると、彼は何もしないで年間300万円の配当収入を得る。

彼が普通に働いて、その300万円をそっくり配当再投資に回すと、30年で1億円は株式がまったく値上がりしていないとしても財産は2倍になっている。

こうした財産の継承が数代続くと、それだけで金持ちの一族の子供は10億円、20億円の財産が継承されることになる。

仮に10億円の財産が継承されると、3%配当でも年間配当収入は3000万円である。年間3000万円の収入を得られる人というのは、相当なエリートでもない限り不可能である。この時点でもう社会の不平等は極まっている。

爆発的なエネルギーが社会の底辺で渦巻いている


現在の世界有数の富裕層の資産は10億円や20億円のレベルではない。上を見れば10兆円のレベルである。この1%の富裕層は黙っていても資産はさらに巨大化していく。

しかし、何も持たない層は、効率化を極限まで推し進める企業によって賃金が抑制されるか削減される傾向にあり、どんどんワーキングプア化している。

もはや、極限的な不平等は社会の仕組みを少し変えたくらいでは解消できないレベルにまで達した。格差は「永久」に解消しないし、不平等はもっと凄まじい不平等になる。

何をどうやっても逆転できないような超絶的な格差社会がすでに生まれてしまっており、それを自由主義と資本主義が後押ししているような状況になってしまっているのである。

だから、「今の社会を破壊したい」という爆発的なエネルギーが、これから社会の底辺からマグマのように噴火していく。

2009年には「巨大銀行で我々の税金を使うな」というデモが起き、2011年には「ウォール街を占拠せよ(オキュパイ・ウォール・ストリート)」運動が盛り上がり、そして2016年には現状打破のためにドナルド・トランプが大統領が選ばれるという番狂わせが起きた。

これらはすべて、競争することすらも不可能になった巨大な富裕層たちに対する絶望的な怒りが生み出しているものである。同一の怒りが違う運動として起きているのだ。

こうした世の中の一連の動きを見ても、現在の資本主義システムはすでに人々の不満を掻き立てている問題のあるシステムに変質していることが分かるはずだ。

ところが、この資本主義システムはあまりに深く現在社会に溶け込んでいるので切り離せない。資本主義は現在の文明の中核に埋め込まれて一心同体と化しているので、これを変革することができない。

この不平等を増長させるシステムを打倒するというのは非常に難しく、現代文明の根幹を破壊するのと同じことになってしまうのだ。資本主義を改変する動きは、どんなものであれ大混乱を招く。

そもそも政治・経済・言論を動かしているのが富裕層であり、エスタブリッシュメントであり、そのエージェントなのだ。彼らが自分たちの資産を減らすような資本主義の変革を容認するはずがない。

そのために社会的な矛盾は解消されることも解決されることもなく続く。そして社会はより荒廃していくことになる。

ドナルド・トランプ大統領が社会を変えられないと底辺の人々が悟った時、また次のマグマが吹き荒れて多くの番狂わせが起きてくる。

社会の底辺で渦巻いている巨大な不満が再び爆発するのは時間の問題だ。



ドナルド・トランプ大統領が社会を変えられないと社会の底辺にいる人々が悟った時、また次のマグマが吹き荒れて、多くの番狂わせが起きてくる。


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