2017-09-29

インフレという見えない税金が仕掛けられ、知らずに奪われる


莫大な借金を抱えた政府は常にインフレを望む。なぜなら、インフレになると借金が減価するからである。これは政府にとっては素晴らしいことだ。

たとえば、2%のインフレが20年続くと、理論的に言えば今の借金はほぼ消えることになる。

なぜか。毎年2%のインフレが20年続くと、通貨は複利で49%も減価するからだ。1000兆円の借金は、それだけで実質的に510兆円の価値に減っている。

仮に3%のインフレが20年続くとどうなるのか。通貨は複利で81%の減価なので1000兆円は210兆円に減価している。

額面が減らせなくても、インフレが2%から3%続くことで借金の価値が自動的に半分以上も消えてくれる計算となる。では、残りはどうやって消えるのか。インフレが起きると、理論的には収入もインフレ分だけ増えることになる。

毎年2%ずつ増えるのであれば、20年後には複利計算で49%も収入が増えている。

それは政府にとっては願ったり叶ったりの現象なのだ。だから、政府はインフレを目指し、インフレを実現することになるのは確実であると考えなければならない。


インフレターゲットが2%に設定されている理由


毎年2%のインフレが実現すると国民は政府を批判するだろうか。恐らくそれはない。仮に毎年2%のインフレが実現したら、給料も2%ずつ上がっていってもおかしくない。

インフレ率が2%で給料が2%アップというのは、実を言うと何も変わっていないのと同じだ。物価がそれだけ上がっているのだから単に減価分が補填されただけだからだ。

しかし、人は手取りの賃金が少しでも上がったら「得した」と錯覚するので国民はむしろ喜ぶことになる。

生活苦に追われて借金を抱えている人たちもやはりインフレを喜ぶ。住宅ローンを抱えている人も同じだ。インフレは天の恵みである。勝手に借金が減価してくれるのだから嬉しく思わないはずがない。

企業はどうか。企業もまた同様にインフレを好む。多くの企業は有利子負債を抱えているし、さらに商品の価格を上げてもインフレ分だと釈明できるので便利だ。

従業員の賃金もインフレ分だけスライドさせると、実際には物価分だけ補填しただけの賃金上昇でも「賃金が上がった」というのは事実なので、従業員を喜ばせることができる。

場合によっては賃金を上げないことで、コスト削減の効果を生み出すこともできる。

これをまとめるとどういうことになるのか。年2%程度のインフレであれば、ほとんどの人が得する「気持ち」になるので、あながち悪いことではないということになる。

インフレにはさじ加減が必要だ。年5%以上のインフレであると、物価ばかりが上昇して賃金が追いつかない感じがして人々は不満を抱くことになる。

かといって0.1%や0.2%であれば、何も変わっていないも同然だ。だから年2%程度のインフレが政府にとっても国民にとっても心地良い水準となる。

日銀がインフレターゲットを2%に設定しているのは、そのような意味がある。

遅かれ早かれ政府はインフレを起こすことになる


では、インフレがくれば誰も痛みを感じないのか。たとえば、インフレ率2%がずっと続けば、誰もが幸せな気持ちでいられるのか。

いや、インフレがくれば負け犬になる人がいる。

それは、銀行に現金を貯金している人である。なぜか。インフレとは「現金の価値が減る」現象だからだ。年2%のインフレというのは、年2%現金が減価しているという意味なのだ。

年2%のインフレが20年続くと、100万円を貯金している人は複利で言えば49%程度も価値が減価している。

分かりにくければ、今100万円で買えるものが20年後には150万円出さないと買えない社会になっているのに、貯金は相変わらず100万円のままと考えればいい。

世の中の何もかもが50%も値上げしているのに、自分の銀行口座の貯金は相変わらず100万円が100万円のままなのだから、50万円も損したのと同じなのである。

しかし、金融リテラシーのない人たちはこの部分に気付かないか、気付いても何も思わない。なぜなら、100万円は額面だけで見ると「減っていない」ように見えるからである。

実際には目減りしているのだが、額面が変わらないので目減りしているとは感じない。

インフレは「隠れた税金」とも言われる理由がここにある。

インフレ時代がきたら、多くの日本人が何も気付かないまま貯金が減らされていくことになる。なぜなら、日本人の8割は金融資産と言えば現金か保険だからだ。

バブル崩壊以後、日本経済は地を這うような状況が続いてインフレどころではなかったが、今後はインフレが起きなければ1071兆円以上もの借金を抱えた政府が存続できなくなる。

したがって、遅かれ早かれ政府はインフレを起こすことに成功する。莫大な借金を魔法のように消す手段がインフレなのだから、政府がそうしないはずがない。

あらゆる手段で持っている金を奪われる世界


日本の国家財政の不健全性は、このままではどんどん膨張していく。そのために、日本政府は自分たちが生き残るためにあらゆる手段を取る。

その手段の中で最も有効なのは人為的にインフレを起こすことであるのは明白だ。

ヘリコプターで上空から金をばらまくような金融緩和をするのか、ベーシックインカムで国民に金を直接渡すのか、どのような手段を取るのかは分からないが、何としてでもインフレを起こそうと画策する。

コントロールされたインフレであれば2%から3%のインフレ率で収まる。政府や日銀がコントロールを失ったら、危険なハイパーインフレが日本を襲う。

財務省が発行した国債を日銀が大量に買い占めている。この状態にグローバル社会が嫌悪感や拒絶感を感じたら、日本の通貨は一気に減価する。

そうなると国債の価値も下がっていき、国債を山ほど買い込んでいる日銀の権威もさらに落ちる。

この状態を政府がコントロールできないと、ハイパーインフレが起きても不思議ではない。絶対にそうなるとは言えないが、そうなると考えるのは別に荒唐無稽な話でもない。

コントロールされたインフレがくるのか、それとも異次元のインフレになるのか将来は未知数だが、遅かれ早かれインフレは必ずやってくるという方向はほぼ確実だ。

後は時間の問題に過ぎない。

だから、私たちが考えなければならないのは、インフレの時代がやってきた時にどのようにして生き残るのかということである。いつまでも今の社会が続くと思ったら駄目だ。

弱肉強食の資本主義というのは、うかうかしているとあらゆる手段で持っている金を奪われる世界なのだ。奪われていることすらも気付かないように奪われることも多い。



弱肉強食の資本主義というのは、うかうかしているとあらゆる手段で持っている金を奪われる世界なのだ。奪われていることすらも気付かないように奪われることも多い。


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