2017-07-24

国家はグローバル化で手足を縛られ、死に追いやられていく


現代の資本主義は、企業が極限まで利益を求めるようになっている。利益至上主義になったのだ。

そして、そこで働く労働者は企業の売上を貪り食う「コスト」として見られるようになっていった。利益至上主義なので、「コスト」は削減されなければならない。

そのため、企業はコスト削減のために労働者を常にリストラするようになっている。

また、労働者を雇わないで済むように、ロボット化、IT化、人工知能の導入と、思いつく限りの雇用削減のイノベーションが考えられ、現場に取り入れられている。

こうしたことから、これからは「労働では富を得られない」という凄まじい資本主義の時代に入っていく。ワーキングプアの存在は、まさに「労働では富を得られない」という状況を示している。

アメリカはすでに膨大な資産を持った1%程度の勝者が、99%の人からすべてを収奪する社会と化している。

国家は何をしているのか。国家はすでにグローバル化に手足を縛られて身動きできない。さらに、拡大していく貧困と格差のために社会保障費が膨れ上がって死にかけている。


「国は国民をリストラできない」ので弱者になる


企業は雇用なきイノベーションに突き進み、国家は社会保障費の増大にあえぐ。

そのため経済的な不均衡が生み出され、這い上がれない貧困が巨大な暴動や社会不安を生み出していく。

アメリカでは中産階級の収入が毎年激減している。すでに4600万人が貧困になっている。世界最大の経済大国と言われているアメリカでさえも、6人に1人が貧困層だ。

貧困層予備軍を入れると3人に1人が貧困に苦しむ社会となってしまっている。そんな世帯が爆発的に増えている。

アメリカ人の多くが貧困を意識し、実際に生活していけない状態に突き落とされており、中間層はいつ自分がそうなるのかと不安の中で暮らしている。

アメリカは株式市場の時価総額が増大しているのだが、にも関わらず国力が低下しているのは、国内の貧困問題を解決することもできないでいるからだ。

だからこそ「アメリカ第一」を標榜するドナルド・トランプが予想を裏切って大統領になったのだ。

一部の勝者がありったけの富を奪い取っていくのが許される社会というのは、「弱肉強食の資本主義」とも言われる。

それは、分かりやすく言えば「あるところから根こそぎ奪う」ための強者総取りの世界だ。この歪みきった資本主義がグローバルに展開されている。

グローバル化した資本主義社会に適応できているのは、国ではない。その理由は明らかだ。「企業は社員をリストラできても、国は国民をリストラできない」からである。

国は弱者の面倒を見なければならない。そのため、どこの国も社会保障にかける費用が膨れ上がり、莫大な借金を抱えて身動きできない状態になっている。

国民を切り捨てることができない運命があるがゆえに、国そのものも資本主義社会では弱者となる。

では、いったい誰が強者なのか。

自由化の押しつけを「グローバル化」と呼ぶ


資本主義社会での強者は多国籍企業である。彼らは世界中から莫大な儲けを得るために、ありとあらゆる国に自由化を押しつける。その自由化の押しつけを「グローバル化」と呼ぶ。

ターゲットに定めた国(奪い取りたい国)は、外国人でも投資できるように自由化される。そして、投資に制限がかかっていない状態にする。その後、乗っ取り、奪い取り、売り飛ばす。

要するに自分たちが企業を買収したり、売り飛ばしたり、投資したり、空売りしたり、「自由に」経済活動できるようにするためのものである。

ここで言う自由とは、彼らの自由である。

自分たちの収奪的な経済活動に対して、その国の政府に介在させないようにする。市場で何が起きても介在させない。

邪魔したら賠償金が取れるようにする。そうやって狙い定めた国を法的に丸裸にしたあと、市場操作をしてその国の富の一切合財を奪い取る。

グローバル化というのは、多国籍企業がその国の権限を弱体化して、自分たちがその国に乗り込んで、根こそぎ儲けを持っていくという状況を指しているに過ぎない。

グローバル化はアメリカ政府が仕掛けているのではない。「アメリカの多国籍企業」が仕掛けている。ここのところを誤解する人が多いが、国と企業はまったく違う。

アメリカ国家は、アメリカの多国籍企業の命じるがままに「動かされている」のであって、主ではなくて従なのだ。

だから、アメリカ政府を見ていても世の中はまったく分からない。それもそうだ。アメリカの議員は、単に多国籍企業の使用人でしかないからだ。

ドナルド・トランプ大統領はここに風穴を開けようとしているのだが、多国籍企業が所有するグローバル・メディアによって激しい攻撃を受けており、何もできないまま今に至っている。

このままではトランプ大統領は轟沈し、結局はグローバル主義者が世界を支配することになる。

すでに多国籍企業が資本主義を制した現代、社会はさらに多国籍企業が有利に、労働者が不利になっていく。そして、ワーキングプアは常態化する。

多国籍企業が富の収奪のためにそれを望んでいる


日本もまた完全にグローバル経済に飲み込まれている。だから、日本人も弱肉強食の資本主義の荒波に巻き込まれて、収奪されている。

そのため、貧困層の増大と、格差の開きは、さらに深刻化していくことになる。政府もグローバル化を止められないので、問題を解決することは難しい。

グローバル化は政府の規制を取り払う動きなので、いったんグローバル化に飲まれると政府はもう国民を守れない。だから、ワーキングプアの問題は解決に向かうのではなく、拡大化していく。

G7、G20を代表とする国際社会が、世界中の政府に「グローバル化」を執拗に押し付けるのは、多国籍企業が富の収奪のためにそれを望んでいるからである。

自由を押しつけ、政府が介在できないようにして、市場操作して、すべて奪い取る。収奪された国の経済は荒廃し、国家は国民を救済するために社会保障費を増大させ、やがて破綻するところにまで追い込まれてしまう。

1994年 メキシコ
1997年 タイ・インドネシア
1998年 ロシア
1999年 ブラジル
2000年 トルコ
2001年 アルゼンチン
2008年 アメリカ
2010年 ギリシャ
2017年 プエルトリコ

現在、ベネズエラやブラジル等の南米国家が危機的な状況に見舞われている。どの国もグローバル化に飲み込まれてから金融で破綻している。

グローバル化によって国富を奪われた国が破綻して、それが国民の生活を困窮させていく。文字通り国民が不幸のどん底に叩き落される。それが繰り返される。

いずれ次の国家破綻が引き起こされるのは、時間の問題なのである。グローバル化は止まっていないからだ。国家はグローバル化によって手足を縛られ、そこに多国籍企業がやってきて莫大な富を収奪して去っていく。

そんな社会で私たちは生きている。



国家はグローバル化によって手足を縛られ、そこに多国籍企業がやってきて莫大な富を収奪して去っていく。


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