2017-06-01

人工知能がもたらす効率化は、人間という非効率を排除する


2017年5月、グーグル傘下のディープ・マインド社が開発した人工知能「アルファ碁」が、最強棋士・柯潔(かけつ)9段を3連続で下して勝ち越した。

人工知能が急激に能力を進化させていった結果、もはや人間が勝てないほどの能力を人工知能が手に入れたことを私たちが知った瞬間だった。

反射神経を競うゲームでも、知的ゲームでも、すでに人工知能は人間を凌駕している。今後もありとあらゆる分野で人工知能が人間を打ち負かしていく。

こうした人工知能は、別にゲームに勝つためだけに作られたのではない。人間社会の様々な局面で「人間に取って変わる」ために作られている。

なぜか。人間の能力を向上させる局面は限界に来ており、今後は人間ひとりひとりを向上させるよりも、人工知能に投資した方が「効率化」をより飛躍させることができるからだ。

どんな人間でも間違える。疲れる。そして長時間労働ができないし、休みも必要だ。昇進させる必要もあれば、ボーナスも必要であれば、退職金も必要になる。意見が合わなければ経営者に逆らい、時には裏切る可能性もある。

人間を雇うというのは、実は「効率的」ではない。


大量の失業者が溢れ出るという未来がやってくる


今後、企業が現在よりもさらに効率化を推し進めるとすれば、どうすればいいのか。今まで企業は人間に投資していたのだが、その理由は人間の仕事は人間しかできなかったからである。

もし「人間以外の存在」が人間と同じくらい、いや時には人間よりも効率的に仕事ができるようになればどうするのか。経営者は「人間以外の存在」に仕事をさせるようになる。

それは今まではSFの世界だと思われてきたが、人工知能が着実に成長する中、いよいよ「判断力」も必要な仕事でも「人間以外の存在」に仕事を任せられるようになりつつある。

それが人工知能なのだ。

すべての企業は、仕事をする上で常に効率化を優先して事業を進めている。なぜなら、他社よりも効率化しないと競争に負けてしまうからである。そして効率化しないと、顧客にも見捨てられるからである。

企業はありとあらゆる業務を効率化することによって生産能力を引き上げ、ひいては競争力を向上させる。

効率化は、言わば企業の生き残りと成長のために、必要不可欠なものである。だから企業は効率化のために何でも取り入れてきたし、これからも効率化に結びつくものであれば何でも飛びつく。

機械が取り入れられ、OAが取り入れられ、ITが取り入れられ、インターネットが取り入れられ、クラウドが取り入れられるたびに企業は人員を減らすことに成功している。

なぜ人員を減らすのか。それは、まさに人間こそが非効率であるからに他ならない。企業の効率化は、最終的に労働者の削減であり、全自動化に結びつく。

企業は人間のやっている仕事を、機械やプログラムに置き換えることができるようになって「人間が要らなくなる」と、効率化が完成したと考える。

これを何を意味するのか、まだ政治家も労働者も気付いていない。企業はいずれ「人を雇わなくなる」ので、大量の失業者が溢れ出るという未来がやってくるのである。

人工知能がないと生活できないようなレベルになる


IBM、アップル、グーグル、アマゾン、マイクロソフトは、すでに実用化された初歩的な人工知能を持っており、それをスマートフォンや顧客サービスに投入している。

私たちはスマートフォンに向かって何かを尋ねて、スマートフォンが答えを返してくれる機能を普通に使っている。人工知能が「受け答えする」というのは突拍子もない未来どころか、いつの間にか日常になっているのである。

こうした機能は人工知能が賢くなるにつれて、さらに応用範囲が広がっていくことになる。そして、いずれは人工知能がないと生活できないようなレベルにまで達する。

つまり、人工知能が社会のインフラと化す。

現在のハイテク企業の大手すべてが人工知能の研究・開発・実用化に莫大な資金を投じている理由はここにある。より優れた人工知能を開発した企業が市場を独占し、巨大な利益を上げることができるようになるからだ。

人工知能の分野は巨大企業にとっては次の時代のゴールドラッシュなのである。すべての分野に人工知能が進出し、人間しかできないと思われた分野でも人工知能が人間に取って変わるようになる。

現在はすでに人工知能がインターネットで情報を取得して、新聞記事を大量に制作している。天気、スポーツの勝敗、市場の動向は定型的な文章が多いからだ。

これが進化すると、10年後の私たちは普通に人工知能が作り出した小説を読んで、泣いたり笑ったりしているかもしれない。

もうハリウッドの脚本や欧米の小説の中には、人工知能がストーリー展開を生み出しているのだから、さらに一歩進んで執筆も人工知能がやったとしても不思議でも何でもない。

技術がもっと進んでいくと、マンガ等もプログラム制作になって、やがて人工知能が作品を作り出すようになっていく。

現在、映画もCG(コンピュータ・グラフィック)で作られるようになり、場合によっては俳優すらもCGで動かしている場面も多くなってきている。

群衆や悪役や背景もCGで作られているのだが、そのうちに主人公自体もCGがやることになれば、俳優はよほどの個性と知名度を持っていないと生き残れない。

リアルな質感を持った等身大の人形と人工知能の受け答えが組み合わされると、ポルノ産業も変わっていく。

人工知能がもたらす効率化という地獄の中で生きる


人工知能は「まさかそんなところまで」と思うところまで進出して世界を変えていく。それは社会に今まで以上の「効率化」をもたらすということであり、それは私たちの文明に多くの利便性をもたらす。

しかし、効率化が進むというのは、効率的ではない人間が要らなくなるということなので、より労働者の失業と低賃金化が進んでいくのだ。

多くの仕事が人工知能に取って変わり、そこで生計を立てていた人たちの労働の価値が激減して低賃金化、あるいはリストラ対象になっていく。

そこにいた大部分の人間が不必要になる。労働の価値が減少する。そうなると賃金も減少する。

漫然と生きている人間の大部分は、効率化が進んでいくと業界から切り捨てられて一掃される。ほとんどの人が仕事を失って生きていけなくなる。

人工知能の導入とは効率化の導入である。効率化は非効率な人間の排除の動きを加速する。

本来は代替えが利かないと思われていた分野でさえも、圧倒的な技術の進歩で「効率化」が推し進められて、要らない人間はどんどん捨てられていく。

私たちのやっている仕事に、人工知能の波がやってきて効率化が追求されると、人間は何をどうしても勝てない。代替えがいくらでも可能な業界の労働者は、仕事を失って新しい仕事が見付からなくなるということだ。

当面はその仕事ができるとしても、人間の存在自体が効率性の足かせになっていると会社が判断したら、人間は効率化によって捨てられる。

グローバル化は激しい競争を生み出しており、企業は業務を徹底して効率化させてコストの大半を占める人件費を削ろうと日夜考えている。

私たちは人工知能がもたらす効率化という地獄の中で、果たして生き残ることができるだろうか?



グローバル化は激しい競争を生み出しており、企業は業務を徹底して効率化させてコストの大半を占める人件費を削ろうと日夜考えている。私たちは人工知能がもたらす効率化という地獄の中で、果たして生き残ることができるだろうか?


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