2016-12-02

偽情報が渦巻く中で、正しい情報を見抜く力を会得する方法


日本とアメリカで、奇しくも同時並行的に「検索」で得られる情報に不信を抱かせる事件が相次いでいる。検索して出てくる情報がディスインフォメーション(捏造記事)である例が相次いだのである。

どういうことか。

リアルな社会では、朝日新聞が捏造記事を垂れ流していることで有名だが、インターネットでもいよいよ捏造やプロパガンダを含んだ記事が組織的に生み出され、それが検索上位を占めるようになって人々を攪乱するようになってきたのだ。

アメリカでは折しも2016年はドナルド・トランプとヒラリー・クリントンが互いに激しく相手を中傷しながらの大統領選挙となった。そんな中で、ロシア圏からヒラリー・クリントンに不利な情報が大量に流されて世論に影響を与えていた。

それも、1つ2つのサイトではない。数百のサイトがいっせいに捏造記事を配信するようになっていたのである。

こうなると、何が真実で何が捏造なのか見破ることすらもできなくなってしまう。

いつしか捏造記事がフェイスブック等のSNSで共有され、拡散され、多くの人々が信じるようになり、捏造がひとり歩きして大統領選挙に大きな影響を与えた。


大量の情報を集めれば集めるほど振り回される


ワシントンポストが、こうした嘘を拡散するニュースサイトをブラックリスト化したら、そのリストは200に及んだという。

一方で日本ではディー・エヌ・エー(DeNA)という会社が運営している「ウェルク(WELQ)」という医療提供サイトが、あちこちから記事をパクリ、真実ではない医療情報をいかにも真実のように書き散らかしていた。

この会社はこれらの記事に対して検索上位になるためのあらゆる手法を駆使しており、結果的には偽の医療情報が検索上位を占めて問題になった。

これらの医療情報の記事には広告が掲載されており、DeNAはそこから莫大な収益を上げていた。

つまり、アフィリエイトで儲けるために、大量の根拠のない医療記事をライターに書かせてアコギに儲けていたのである。アップされていた記事は、一日100本以上になっていたという。

これが大批判されて、この企業はこのサイトだけでなく、他のジャンルのサイトも含めて記事の非公開に追い込まれるという事態と化した。

つまり、最近は企業や組織が金儲けやプロパガンダのために自分たちの記事を検索エンジンの特性や弱点を狡猾に突いて上位に押し上げているという動きが活発化しているのだ。

これによって、検索上位に上がってくるのは、捏造記事のオンパレードと化してしまった。

もちろん、検索エンジンもこうした問題に対処するために日々、進化しているのだが、現状はイタチごっこであり、完全に捏造情報を防止することは不可能に近い。

検索で得られる「大量の情報」は真実を見通すことも、将来を見通すこともできないのだが、今後は大量の情報を集めれば集めるほど捏造に振り回される人間と化す可能性が高まる。

どれが真実なのか分からなくなってしまった


もう、「大量の情報」を集めても有利にならない。

インターネットで拡散されている情報が玉石混交だからというのもあるが、それ以上に「意図的に偽情報が大量に流されるから」だ。

ワクチンひとつに取っても、予防のために打つべきだという意見と、ワクチンそのものが副作用で問題を引き起こすので「絶対」に打たない方がいいという意見がある。

中には、インフルエンザや病原菌の蔓延そのものが人工的にばらまかれたもので、それは製薬会社がワクチンを売るための陰謀なのだという説もある。

あるいは、子宮頸癌ワクチンにしても、予防のために定期予防接種は重要だと言われる裏で、大して効果がない割りには一定数で不妊になるので打つべきではないという意見もある。

ワクチンは打っていいのかどうか。結論が180度違う情報がそれぞれ大量にある。しかも、それぞれ微妙に細部が異なるバージョンの記事がばらまかれる。

そうなると、結局のところ大量の情報を集めれば集めるほど身動きができなくなる。

普通、真実はひとつしかないはずなのだが、インターネットではあまりにも「真実」を称する記事がありすぎて、どれが真実なのか分からなくなってしまうのである。

世の中が大量情報化時代になって、人々はインターネットがなかった時代よりも知的になっているのかと言えば、ほとんどの人は「ノー」と答えるはずだ。

また、たくさんの情報を手に入れられるようになって、物事はシンプルで分かりやすくなったのかと言われれば、これもまたほとんどの人は「ノー」と答えるはずだ。

逆に、あまりの大量情報によって、もはや世の中で何が動いているのか、よけいに理解できなくなってしまった。

そしてどうなったのか。捏造記事でもプロパガンダでも、検索上位に来る記事を人々は信じるようになり、自らもプロパガンダをSNSで拡散するようになっていった。

自分の専門外であっても取捨選択できる能力が必要に


科学も、医学も、社会のありかたも、経済のありかたも、すべてが猛烈に細分化された。もはや人々は、自分の専門以外の部分で何が真実なのかを知ることができなくなってしまった。

ひとりの人間が身の回りで起きているすべてを正確に把握できるほど分かりやすい社会ではなくなっていったのだ。

だから、人々はインターネットに頼り、検索エンジンを駆使するのだが、そこから得られる情報がどんどん捏造記事とプロパガンダに覆われていったらどうだろうか?

大量の情報は大量のゴミと化して、それに触れれば触れるほど混乱していくことになる。大量の情報は、物事を整理し、解決するためにあるのではなく、むしろ自分の判断を大混乱させるものと化す。

そうなっていくと、情報化社会になって必要なのは、情報に依存して踊ることではないことに気付くはずだ。もっと重要なものが必要になってくる。

大量の情報を前にして重要になってくるのは、それは大量の情報に踊らされたり、捏造やプロパガンダを排除したりする取捨選択の能力である。

それも、「自分の専門外であっても取捨選択できる能力」が必要になってくる。では、この能力を発揮するために必要なものとは何か……。

それは「常識」である。

私たちは大量の情報を前にして取捨選択する時、最も重要な能力である「常識」を働かさなければならないのだ。

世の中には常識外れな出来事が真実であることも往々にしてある。そして、常識がすべてを解決するわけではない。

しかし、きちんとした常識があれば、少なくと捏造とプロパガンダにまみれた情報に接したとき、「これは間違っている」と直感で判断できるようになり、正しい選択ができることの方が多い。

検索エンジンで得られる情報ですらも捏造記事とプロパガンダにまみれていく時代、「常識」はますます重要なものになりつつある。

ちなみに常識を外した生き方で成功するためにも、最初に常識を知った上でそれを外す必要があるのだから、結局は常識が身についていなければならないということだ。

生きにくい時代になればなるほど、常識は役に立つ。あなたはどこまで常識を身につけているだろうか? あなたの身につけた常識は、大量の偽情報を前にした時、いずれ役に立つ日が必ずくる。



混乱していく大量情報化社会。この大量の情報を前にして重要になってくるのは、それは大量の情報に踊らされたり、捏造やプロパガンダを排除したりする、「取捨選択能力」である。


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