2016-11-14

グローバル化に対する反乱が先進国で起きていることを知れ


ドナルド・トランプとヒラリー・クリントンの大統領選挙での骨肉の争いは、アメリカの国民の分断と亀裂を象徴していた。

これは、グローバル化によって多大な恩恵を受けた富裕層と、グローバル化によって困窮化し、追い詰められた貧困層との分断でもあった。

ヒラリー・クリントンを支持したのは富裕層であり、都会の住民たちだった。彼らはみんなグローバル化の恩恵を享受している層である。メディアが華々しく取り上げるのも、この都会の住民たちである。

一方、ドナルド・トランプを支持したのはアメリカの見捨てられた地方の白人層であり、彼らはみんなグローバル化によって打撃を受けた層である。メディアが無視してきた層だ。

グローバル化によって工場は国外に行ってしまい、国内では移民が大量に入り込んで彼らの賃金をどんどん下げていった。彼らの存在は時代遅れになり、あたかも存在しないかのように見捨てられていった。

アメリカは先進国だが、先進国の中で深刻な分離が発生して持てる者と持たざる者を区分けしてしまったのだ。そして、持たざる層が反旗を翻し、ドナルド・トランプを大統領に押し上げることになった。


バブル時代とグローバル化時代が格差を増長させた


富める者はますます富み、貧しい者は持っているものも奪われていく。

アメリカだけではない。グローバル化を取り入れた国はすべて同じ状況になっている。日本でも深刻な格差が生まれて貧困から抜け出せない社会問題が生まれている。

先進国であっても貧困者が大量に出る。国の中で人々が分離するのだ。その結果、先進国と途上国という見方が、あまり意味のないものとなった。

今までは先進国と言えば、「国民みんなが金持ち」という意識だった。しかし、もうそんな認識が時代に合わなくなっている。

国の中で貧富の格差が苛烈なものになっていくのだから、「先進国の人間がみんな金持ち」という構図が成り立たない時代になったのだ。

かつて日本では、「一億総中流」という言葉があった。

1950年代から1970年代までの日本の高度成長は、日本人のほとんどをそれなりに豊かにさせた。そして、日本人はみんな「自分は中流だ」という意識を持つようになった。

時代はこれを「一億総中流」と呼んだ。この時代にも金持ちと貧困者はいたが、「ごく普通の人」が圧倒的ボリュームを占めていて格差は目立たなかった。

しかし1980年代後半のバブル時代に入ると、急激にこの「一億総中流」が崩れていった。土地を持っている者、株式を所有する者が、どんどん「中流」を引き離していったのだ。

このバブルは1990年に崩壊した。右肩上がりの不動産価格、右肩上がりの株式市場は逆流した。その中で、過大な借金で資産を膨らませていたバブル紳士が一気に没落した。

この後、また「一億総中流」に戻ると思われた。

しかし、1990年代後半に入ると、別の巨大な流れが日本に押し寄せていた。それは「グローバル化」という流れだった。今度は、そのグローバル化が怒濤の如く日本を覆い尽くした。

グローバル化の時代の特徴は、「競争の世界化」だ。今まで日本国内だけで競争していれば良かった日本企業も、外国から安い製品が津波のようになだれ込んで来ると、否応なく対応を迫られるようになった。

グローバル企業は、コストの安い途上国に工場を建てて、そこで人件費を削減して製品の価格を下げるという動きをしたので、先進国で高い賃金の労働者を雇っている企業は軒並み苦境に落ちていった。

リストラと、非正規労働化と、低賃金化はセット


日本の企業もそうだ。日本人の労働者の賃金は世界水準で見ても非常に高い。日本企業は価格競争の中でまったく太刀打ちできなくなってしまった。

そして、どうしたのか。結局、日本企業も工場をどんどん途上国に移して、日本人労働者を切り捨てる動きをしないと生き残れなくなった。

2000年代の初頭から雪崩を打つようにそのような動きが加速し、正社員は非正規雇用者に置き換えられ、終身雇用も年功序列も見直される流れとなっている。

終身雇用のシステムが崩壊したので、リストラも恒常的になったのは、国民の8割がサラリーマンの日本人が一番よく知っていることだ。

激甚化した資本主義の競争の中では、実力と運を持った人間が富を総取りする。そして、ごく普通の人たちはコスト削減やリストラの嵐に飲み込まれていく。

リストラと、非正規労働化と、低賃金化はセットなのだ。

だから、リストラされた人たちから年収低下の憂き目を味わうことになる。それが繰り返されることによって、中流がポツリポツリと下流に落ちていく。

若年層は最初からその多くが非正規労働者だが、将来はそれが「当たり前」になり、最初から正社員というのがあり得ないと思われるようになるのだ。

こんな世界の中では、成り上がれるのは「ごく一部」であり、その他大勢は完全に下流に落とされて、そこから這い上がれなくなっていく。

つまり、日本も「国民みんなが金持ち」という状態は完全に消えたのだ。このままでは、日本でも貧困層はこれから途上国と変わらないまでに落ちていく。

では、転がり堕ちる人々は、このまま黙って社会の底辺に転がり堕ちるのだろうか?

グローバル化で起きた経済格差で起きている動き


日本人がアメリカの動きを注視しておかなければならないのは、弱肉強食の資本主義の権化であったアメリカ人が、これを是正するためにドナルド・トランプを選んだということだ。

そして、そのドナルド・トランプは2016年11月13日も改めて「不法移民対策としてメキシコとの国境に壁を築く」ことや、「犯罪歴のある不法移民を200万から300万人を速やかに強制送還する」ことを明言している。

グローバル化によってアメリカが富裕層と貧困層で分離したのだが、それを是正するために「まずは不法移民を徹底排除して二度とやってこれないようにする」というのがアメリカの解決方法だったということになる。

今までのグローバル化は、無制限に「ヒト・モノ・カネ」の流れを促進させていたのだが、これにブレーキをかけるのがドナルド・トランプの考えである。

現在、ヨーロッパでもまったく同じ考え方がグローバル化によって貧困に堕ちた国民の間から湧き上がっており、「なだれ込んでくる移民は帰れ、これ以上移民を入れるな」という政党が勢力を拡大させている。

イギリスはEUを脱退し、ドイツでは移民受け入れ促進派のメルケル現首相が危うい立場になっている。

こうしたことは、バラバラで起きていることではない。すべてはグローバル化によって社会の底辺に転がり落とされた人が「もう我慢できない」と声を上げるようになって起きている事象であることを知らなければならない。

「ヒラリーが女性だったらか負けた」とか、そんなことはまったく関係ない。ヒラリーが大統領になったらグローバル化が何事もなく継続するから、その政策も嫌われたのである。

無分別かつ無制限なグローバル化は、いよいよ否定される動きになっているのが「新しい動き」だ。そして、その動きは今後の日本にも大きく影響を与えるようになる。

だから、アメリカで起きていることは、よく注力しなければならないのだ。その動きは日本にも入り込んでくるのだから。



無分別かつ無制限なグローバル化は、いよいよ否定される動きになっているのが「新しい動き」だ。そして、その動きは今後の日本にも大きく影響を与えるようになる。


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