2016-11-09

ドナルド・トランプ大統領の登場。大きなうねりが始まった


イギリスは2016年6月23日の国民投票の結果、番狂わせが起きてEU脱退になった。大量の移民が国内に入り込むのは、もううんざりだと国民たちは「反グローバル主義」を選択した。

そして、2016年11月9日。アメリカでは長らく続いた大統領選挙の末、「ドナルド・トランプ大統領」に決定した。

ドナルド・トランプは何を訴えていたのか。それは、「アメリカは貧しい。だからグローバル化を推進するよりもアメリカ第一だ」というものだった。

これはグローバル化から逆行する動きだった。

だから、グローバル主義を信奉する国際的なマスメディアは、激しい勢いでドナルド・トランプを叩き、スキャンダルを煽り立て、ヒラリー・クリントンに投票するように露骨に世論誘導を行った。

しかし、アメリカ国民が選んだのは、ドナルド・トランプの方だった。

ヒラリー・クリントンが票を取ったのはカリフォルニア州やニューヨーク州などアメリカで特にグローバル化の恩恵を受けている州で、ここに1%の富裕層が集まっている。

だが、アメリカ中部の州はほぼすべてと言ってもいいほど、トランプが制していた。この中部アメリカにはグローバル化とは無縁の99%のアメリカ人が住んでいる。


反グローバルが大きなうねりとなって時代を変えた


今回のアメリカの大統領選挙で出馬したドナルド・トランプという候補は当初から泡沫候補として見られていた。

しかし、トランプは不当極まりないグローバル化による弱肉強食の資本主義の底辺に突き落とされた99%の層に照準を絞り、「今の政治家はおかしい。アメリカは貧しいんだ。だからアメリカ第一の政策をしなければならないんだ」と訴え続け、これがアメリカの99%に受けた。

アメリカは大国だったはずなのに経済格差は極限まで広がっており、「富める者はますます富み、貧困層はますます貧困化する」という状況が深刻化していた。

グローバル化がその貧困格差を生み出しているのは明確なる事実だったが、既存の政治家は誰もこれを止めようとはしなかった。そして、99%の層は激しいフラストレーションを持ち、アメリカ社会は不穏な状況になっていったのである。

今回の大統領選挙では当初、共和党でドナルド・トランプが票を伸ばすのと同時に、民主党ではバーニー・サンダースが強烈に支持されていた。

どちらの候補も、グローバル化によって社会の底辺に蹴落とされた人たち、すなわち「普通のアメリカ人」の声を拾い上げて選挙を戦ったことだ。

彼らの「閉塞感」を拾い上げたのだ。

そうなると、必然的に「反グローバル」が主軸になる。それが大きなうねりとなって今回の大統領選挙の結果につながっていったのである。

私たちが目撃したのは、不穏な時代になったとき、底辺から湧き上がった声が世界を揺るがすような大きなうねりとなっていく動きである。

トランプを支持したのは、巨大な資金と影響力を持った富裕層ではない。個人で見れば、ひとりひとり小さい力しか持たない層である。

しかし閉塞感を打ち破ろうとして彼らが動くと、それが大きなうねりを生み出し、やがては国をも変えてしまう流れにつながっていくのだ。

時代はいつも、この閉塞感を破ろうと動き出す


ひとりの力は小さいが、その小さい力であっても、時代に渦巻く不満や怒りや鬱積を「代表する出来事」であれば、それが触媒となって一気に世相を沸騰させていく。

イギリスではそれがEU脱退となり、アメリカではそれがドナルド・トランプ大統領の誕生となった。

世の中が激変に向かって突き進んで行く前には、必ず社会に「閉塞感」が漂っている。時代はいつも、この閉塞感を破ろうと動き出す。

(1)このまま行くと、じり貧になる。
(2)それを止めることができない。
(3)ズルズルと日々が過ぎていく。
(4)息苦しさと、そこから生まれる閉塞感。

こういった社会情勢の中で、最初は「誰が何をやっても変わりっこない。期待するだけ無駄だ」という虚無感が生まれていく。

こういった感情が世の中を覆い尽くしていくと、社会全体にマグマがぐつぐつと煮たぎっていく。これが、バラック・オバマ大統領の8年間だったのだ。

この期間は、社会の表面だけ見ると、一見すると非常に平穏に見える。何も起きていないからだ。誰もが日常を淡々と過ごしており、それが故に為政者も何も気付かないまま危険な閉塞感は放置される。

しかし、誰もが心の中で閉塞感を感じて生きている。閉塞感は、集団的マグマとなって社会の底辺に沈殿していき、高熱を発している。

それが危険なのである。

閉塞感が耐えきれない極限までに達した瞬間、何らかの事件が起きる。それがきっかけとなって社会全体が燃え上がり、巨大なうねりと化す。

最後にはそれが大爆発し、ついに既存のシステムや政権を一気に吹き飛ばしてしまう。

社会に鬱積している不満は、必ず最後には爆発する


2016年11月9日。アメリカは明確に変わった。

グローバル化が生み出した凄まじい格差によってアメリカ社会は閉塞感が漂い、それが大統領選挙の大波乱につながり、破天荒な人格を持つ大統領をアメリカは生み出した。

この「閉塞感」はアメリカだけなのか。

いや、EU各国を見ても分かる通り、今や誰もがグローバル化などに期待しなくなっている。グローバル化は貧困を極大化させるということに人々は気付き始めたのだ。

人々は、もうとっくにグローバル化によって生まれた弱肉強食の資本主義や移民・難民問題に嫌気が指している。多文化主義や共生社会など絵空事であることに気付き、どんどん広がっていく格差に閉塞感を感じ、あえいでいる。

先進国のすべてで、政治も、経済も、行政も、メディアも、何もかもがきちんと機能していない。いや、新興国も含めて、グローバル経済に組み込まれた国家のほとんどで問題が深刻になりつつある。

どこの国でも格差は広がる一方であり、政治は何も実現できず、メディアは偏向して中立を保つことができない。どこの国も、内政問題と外交に問題を抱えて、解決に苦慮している。

経済格差もそうだが、先送りすればするほど、ますます状況が致命的になってしまう。

そういった解決のしようがないものが各国で閉塞感を生み出している。やがてはこの社会に鬱積した不満が、猛烈な勢いで爆発する日がくる。

私たちの社会に鬱積している不満は、必ず最後には爆発して世の中を激変させていくのだ。

何が発端になるのかは誰にも分からないのだが、社会に鬱積しているものがそれによって火が付けられると、想像を絶するエネルギーを発して燃え上がっていくのである。

恐らく、この日本でも「日本第一」を掲げない既存の政治家たちに不満を持った層が、日本を根底から激変させていくきっかけになるはずだ。



2016年11月9日。アメリカでは長らく続いた大統領選挙の末、ドナルド・トランプ大統領に決定した。


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