2016-09-19

遺伝子を改悪された種子が世界を制覇して多国籍企業が嗤う


2016年9月14日、ドイツを代表する医薬品企業バイエルは、アメリカの化学企業モンサントを買収することで合意した。

これは、2015年に発表されたダウ・ケミカルとデュポンの合併によって遺伝子組み換え種子の事業に遅れを取ることに危機感を感じたバイエル側の動きでもあった。

今、遺伝子組み換え種子の分野で非常に激しい勢力争いが起きており、アメリカ、スイス、ドイツ、中国が激しく買収攻勢をかけて規模の拡大を狙っている。

すでに遺伝子組み換え種子の分野は、モンサント、シンジェンタ、バイエル、デュポン、BASF、ダウ・ケミカルの6社による寡占となっており、この6つの企業で種子業界の7割を独占していた。

2016年12月にはこの中で、デュポンとダウ・ケミカルが合併して世界最大の遺伝子組み換え種子の企業となるのだが、これはつまりアメリカが全世界の農業を制覇し、独占するということを意味している。

そのため、IT分野以外だけでなく農業分野でもアメリカに支配されることになるのを恐れたEUと中国は、必死で巻き返そうとしており、それがバイエルによるモンサントの買収、中国によるシンジェンタの買収という流れにつながっている。


種子を常に買わせる仕組みが遺伝子組み換え種子


農業(アグリ)の分野で激しい勢力争いが起きているのは、言うまでもなく人口の爆発的増加によって穀物が不足し、その穀物を提供する企業が莫大な富を得ることになるからだ。

すでに世界人口は73億人を突破していると言われているが、これからも人口は増え続ける。このままでは2065年には人口100億人を突破することになる。

ところが、農地は減る一方だ。さらに昨今の巨大化する自然災害で農地は被害を受けており、世界の穀倉地帯は地下水不足で荒廃しつつある。

食べる人は増えるが、農作物は減る。
需要が増えるが、供給は減る。

現在すでに飢餓人口は10億人もいると言われているが、将来は供給が増えるというよりも逆に減るとも言われている。

当たり前だが、どこの国でも「食料問題」は死活問題である。国民が食えなくなると、国は成り立たない。

アメリカの政策に大きな影響を及ぼすヘンリー・キッシンジャーは、こうした状況を踏まえて「武器としての食料」の概念を提案した。

種子を独占し、「アメリカに逆らう者は種子を売らず、アメリカに追従する者は種子を与える」という支配を考え出したのである。

そのためには、常に種子をアメリカから買わせる仕組みを考え出さなければならない。それはどうするのか。その答えが「遺伝子組み換え種子」だった。

遺伝子組み換えで種子を改変し、その種子から育った種は芽を出さないように改変された。そうすると、農家は毎年毎年、これらの企業から種子を買わなければならなくなる。

それによって遺伝子組み換え種子を扱う企業は莫大に儲かると共に、その販売権を手にすることで、その国の国民の生殺与奪の権利すらも手に入れることになる。

わずか数社が全世界の食料を掌握し、支配する


アメリカは早くから「穀物」を他国に影響を及ぼす戦略物資として捕らえていたのは、農家の間ではよく知られている事実である。

この独占を強化するため、遺伝子組み換え種子を支配する多国籍企業は、在来種を駆逐して遺伝子組み換え種子に置き換えようとしている。

大穀倉地帯であるアメリカ、ブラジル、ロシア、オーストラリア、インド等、全世界の農地が今や超巨大なアグリ多国籍企業に支配されてしまっている。

誰も興味を持たない間に、各国の重要な種子企業を次々に買収していき、アグリビジネス(農業ビジネス)を独占していたのが今までの動きだ。

ここからさらに、この6大企業が合併することによって、ほんの3社4社に絞られていくのがこれからの動きだ。わずか数社が全世界の食料を掌握し、支配する。

そうなると種子はさらに「戦略物資」の側面が強く現れるようになっていくだろう。「GM=遺伝子組み換え作物」が彼らの「戦略物資」である。

そして、考えなければならないのは、彼らはただ種子を売るだけでなく、さらにあこぎなビジネスをするためにも遺伝子組み換え技術を利用していることだ。

ある除草剤だけに耐性のある種子を作り、その種子と一緒に除草剤をセットで買わないと農業ができないようにした。

農家は手間を省きたい。そのためには雑草むしりをしたくない。そこに除草剤が登場するのだが、普通に除草剤を撒くと雑草も死ぬが作物も死ぬ。

そこで、除草剤を撒いても死なない種を遺伝子を改変して作り出して、除草剤を撒けば雑草だけが枯れるようにする。

その除草剤は何でもいいわけではない。その除草剤とは「彼らが売る除草剤」だけしか効果がない。他のメーカーの除草剤を使うとやはり作物も雑草と一緒に死ぬ。彼らの売っている除草剤でしか効果がない。

彼らは種と除草剤をセットにして売り、それが独占販売になっているのである。

種子を売ってもらえなければ自給率ゼロ


今後、世界は間違いなく人口爆発と食料不足が重なる。このまま人口爆発が止められないと、そうなるのは必然なのである。そうするとどうなるのか。

今は「遺伝子組み換え作物など要らない、育てたくない、食べたくない」と言えても、国民が飢えれば背に腹はかえられない事態と化す。

世界中が遺伝子組み換え作物でも何でも独占企業から買って作ろうとする。自給率が悪化し、必然的にそうせざるを得ない状況に追い込まれる。今のままでは遅かれ早かれそうなってしまうのだ。

そうなった瞬間に生殺与奪の権利は、たった数社の独占企業を有する国に世界は支配される。

たとえば、今後登場するダウ・デュポンという巨大アグリ企業はアメリカ企業だが、仮にアメリカが国策として「お前の国には種子を売らない」と決めたらどうなるのか。

種子がないと翌年は農地があっても何も作れない。種子を売らないと決めるだけで、アメリカは特定の国に対して自由自在に状況をコントロールすることができる。

その国の自給率がいくら高くても意味がない。遺伝子を改悪された種子が使われているのであれば、種子が手に入らない限り、翌年は「自給率ゼロ」になるのである。

アメリカは、敵対国が従わなければ、単に「種子を売らない」と言えばいいだけなのである。あるいは、種子の価格を思い切り釣り上げればいい。

まさかそんなことになるはずがないと思うかもしれないが、穀物が貴重品になっていくのであれば、逆にそれが起こらないほうが不思議だ。それが「アグリ・ビジネス」の正体だ。

毎年、種子を買わなければならない。しかも、言い値で買わなければならない。反抗すれば売ってもらえない。除草剤もセットで買わなければならない。

これではまさに奴隷そのものである。地球上から穀物の在来種が駆逐されてしまったら、私たちは彼らの奴隷になるということだ。

しかし、着々と巨大化するアグリ企業に危機感を持つ人はほとんどいない。気付いた頃にはアグリ企業による支配は完成し、手遅れになっているはずだ。遺伝子を改悪された種子が世界を制覇して多国籍企業が嗤(わら)う時代が来る。



毎年、種子を買わなければならない。しかも、言い値で買わなければならない。反抗すれば売ってもらえない。除草剤もセットで買わなければならない。私たちは彼らの奴隷になる。

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