2016-06-24

EUの終わりの始まりか。2016年6月23日イギリスEU脱退


イギリスがEU(欧州連合)を脱退するか残留するかの国民投票が2016年6月23日にあったが、その結果、大勢の見方を覆すかのように「EU脱退」が確実になった。

接戦だった。最後の最後までイギリス国内の見方は割れ、今も残留派と脱退派が「どちらがイギリスの将来にとって良いのか」で激しい議論がある。

6月23日までEU残留の可能性の方が高いと言われていたので、この番狂わせで経済が大混乱し、2016年6月24日のポンドは前日比でマイナス10%近く急落した。

イギリスがEUを脱退することになると、イギリス自身がEU(欧州連合)という自由貿易圏から抜け出すことになるのだから、これはイギリスの多国籍企業にとってはビジネスが制限されることを意味する。

また、今後はEUがどのような展開を向かえるとしても、イギリス自身は蚊帳の外におかれるわけで、政治的な影響力も減退する。

つまり、政治・経済の観点から見ると、イギリスのEU脱退はマイナスの影響が強い。これは、国民投票をする前に、イギリスのキャメロン首相が何度も繰り返して国民に訴えていたことである。


EU脱退は、多国籍企業とグローバル化の敗北


イギリスの多国籍企業にとっても、イギリスのEU脱退は大きなビジネス的災厄である。今後、イギリス製品にはEU圏内で関税がかけられる可能性もある。これは製品の価格競争力が失われることを意味する。

また、イギリスも大量の移民・難民を国内に流入させていたのだが、これによって多国籍企業は安い労働力を手に入れてコスト削減に邁進していた。

イギリスがEUを脱退するのであれば移民の流入もストップするわけで、イギリス企業だけでなく「イギリス国内に製造拠点を持つ多国籍企業」は等しく危機に陥ることになる。

つまりイギリスのEU脱退は、まぎれもなく「イギリスの多国籍企業の敗北」であり「グローバリストの敗北」であると言うこともできる。

事実、イギリスのEU脱退派の中には「我々は多国籍企業に勝った」と歓声を上げる人も多かった。それと同時に過度なグローバル化にもブレーキがかけられることをEU脱退派は願っている。

今まで怒濤の勢いで世界中を覆い尽くしていたグローバル化は、「貧困層を他所から連れてきて安く働かせ、自国の労働者の賃金も下げさせる動き」であることが、ゆっくりと普通の人々が認識するようになった。

賃金が下げられ、仕事が消え、わずかな仕事も低賃金をモノともしないで働く移民たちに取られていった。

そんな現実を見て、一般の労働者は「グローバル化は自分たちを幸せにしない」ことを知るようになったのだ。

グローバル化は多国籍企業にとって都合が良いことでも、自分たちには不都合な動きであると知ったのだ。そのため、現在は世界中で人々がグローバル化に懐疑の目を向けるようになっている。

今、EU諸国で「反グローバル主義」が台頭し、既存政党を揺るがすようになっているのだが、いよいよイギリスの反グローバル主義者が、難攻不落と思われていたEUという「グローバル化」を揺るがすことに成功した。

政治よりも経済よりも、もっと重視したいものとは


ヨーロッパの支配階級(エスタブリッシュメント)はグローバル化を極度なまでに押し付けてきた。

これに対して各国の国民は、エスタブリッシュメントに反旗を翻して「反グローバル化」の動きを鮮明化させていた。

フランスでは、以前から国民戦線(FN)が大きく躍進するようになっている。

EUの頂点に立っているはずのドイツでも、AfD(ドイツのためのもう一つの選択)という反EU、反グローバル化の政党が躍進している。(世界がつながり、混乱が生まれ、指導者も不在という地獄

オーストリアでも、オランダでも、ハンガリーでも、スウェーデンでも、ノルウェーでも、ギリシャでも、同じような反EUを標榜する政党がじわじわと勢力を拡大している。

もはや、この動きが止まらない。

EU(欧州連合)というシステムは、ヨーロッパの普通の人々にとっては「グローバル化押し付け制度」に他ならない。そのため、グローバル化に疑念を持つようになっている人たちにとってはEU脱退は当然のことだったのだ。

確かにEUという巨大な自由貿易圏から抜けると、経済活動は停滞し、政治的にも活力を失っていくことになる。一時的には国内も大混乱に見舞われることになる。

今回のイギリスでも、事前にキャメロン首相やEU諸国の首脳が警鐘を鳴らし、全世界のグローバル・メディアもイギリス人を思いとどまらせようとした。

にもかかわらず、イギリス人の半分以上がEU脱退を選んだ。イギリス人は「政治よりも経済よりも、もっと重視したいものがあった」ということだ。

それは何だったのか。

イギリスのEU脱退は、「EUの終わりの始まり」


それは、「移民・難民の排除」である。

日本のメディアはほとんど報道してこなかったが、イギリスでも「移民・難民問題」「それに伴うイスラムの文化侵食」が大きな社会問題を引き起こしていた。

ロンドンはインド系移民、アフリカ系移民、イスラム系移民でごった煮のような状態と化している。

それを嫌って白人がどんどん郊外に逃げ、ロンドンは事実上、イスラム系移民に乗っ取られた都市のようになっていた。

2016年5月にはイスラム教徒の議員であるサディク・カーン氏が市長となっているが、これも投票者にイスラム教徒が増えたことから起きている現象である。

こうした「多文化共生」はグローバル・メディアでは異民族共存の美しい姿として描き出されていたが、実際には社会の底辺では激しい軋轢と対立と衝突を生み出していて、社会は混乱していく一方だった。

価値感が違うと共存できないのが現実だったのだ。

治安も悪化し、彼らが暮らす区域はスラム化し、凶悪犯罪も無差別テロも多発し、売春やドラッグと言ったアンダーグラウンドも拡散していた。

その上、2015年からは内戦で国家崩壊したシリアから大量の難民がヨーロッパに押し寄せるという現象まで起きて、こうした難民がイギリスにも到達していた。

これによって、古き良きイギリスを愛する国民の我慢の限界を超え、2016年6月23日の国民投票で、EU離脱派が勝利するという番狂わせに向かっていったのである。

イギリスのEU脱退の背景にある「反移民・反難民・反グローバル化・反EU」の精神的な感情は、他のEU諸国もまた共有しているものだ。

そのため、このイギリスのEU脱退が引き金となって、EU加盟国のEU離れが起きて、EUの崩壊が起きるのではないかと早くも懸念されるようになっている。

2016年6月23日のイギリスのEU脱退は、「EUの終わりの始まり」になったかもしれない。



辞任に追い込まれたキャメロン首相。イギリスのEU脱退が引き金となって、EU加盟国のEU離れが起きて、EUの崩壊が起きるのではないかと早くも懸念されるようになっている。


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