2016-06-06

グーグルで幸せを検索しても、幸せになれるわけではない


情報化の時代が人を合理的にするとは限らない。大量の情報を手に入れることができるようになっても、人はより判断に迷い、戸惑い、間違う。

大量の情報は的確な答えを導き出すのではなく、むしろ人々を混乱させる元凶にもなる。

私たちはすでに情報化の時代に生きているのだが、それで間違いのない生き方ができるようになっただろうか。私たちは情報武装することができるようになって、容易に収入が上げられるようになっただろうか。

情報が大量に流れ込むようになって、投資をしている人々は騙されることがなくなり、勝負は次々と勝利することができるようになっただろうか。

もし情報化によって人類が幸福になるというのであれば、大量の情報に接している私たちは、今の時点で幸せになっていなければならない。

私たちがそうなっていないのであれば、ここで「重大な事実」に気が付かなければならない。情報化が私たちを幸せにするというのは妄想だったことを……。


情報が大量に手に入る時代になっても見通しが悪い


世の中は情報化によって、見通しが良くなったのか? いろいろな情報を手に入れることができるようになって、物事は判断しやすくなったのか?

答えはすべて「ノー」だ。

なぜ情報がたくさん手に入る時代になっているのに、一向に見通しが良くならないのか。

それには大きな理由がある。文明は年々高度化しているところを、情報化社会はさらにその高度化を一歩上の次元に推し進めていったからだ。情報化が進むことによって社会がさらに「複雑化」していったのだ。

大量の情報は必然的に大量の意見、異論、反論、方法論、分岐を生み出す。それが世の中の複雑化を加速させる。だから誰もが全体像を見失い、世の中で何が起きているのか誰もが分からなくなった。

様々な情報を手に入れることができるようになって、物事が複雑化する方向に進み、逆に事実関係が判断できなくなってしまっている。

情報化は世の中を複雑にした。そしてこの傾向は、スマートフォンからウェアラブルに、知能が人工知能に、労働力がロボットになることで、もっと深まっていくことになる。複雑化が極まっていくのである。

何らかの予測をするには、単純な世界であればあるほど精度が高い。予測するための要素が少ないからである。

しかし複雑化した世の中では、あまりにも予測のために考慮しなければならない要素が多すぎて、しかもそれらの要素が密接に絡み合うので、予測が不可能になっていく。

社会が複雑になれば、その複雑さを説明するための情報が大量になるのだが、そうした情報が増えれば増えるほど複雑さは累進的に増えていき、結局は全体を見通すことが不可能になる。

世の中が完全に「予測できない」ものへと化す


インターネットで全世界がリンクした。グローバル化によって全世界がリンクした。これによって、世界の片隅で起きている事件が全世界に悪影響を及ぼすことになってきた。

グローバル経済の問題は世界を崩壊させるかもしれない。あるいは、世界各国の国家の膨大な累積債務が世界に影響を与えて世界経済を崩壊させるかもしれない。

中国の異常な政治体質やバブル崩壊が世界を激震させて世界経済を崩壊させるかもしれない。EUが分解するかもしれないし、中東の混乱はさらにひどくなるかもしれない。

これらのすべては日本にも関連する。

今後、世の中がさらに発展し、さまざまな事象が絡み合って互いに影響を与えるようになると、世の中がまったく「予測できない」ものへと化していく。

あまりにも、世の中に変動を与える要素が複雑に絡み合ってしまって、考えなければならないこと、注意しなければならないこと、分析しなければならないことが山のように増える。

その結果、超高性能コンピュータを駆使しても、世の中がシミュレーションできなくなるのである。

これは、国家や行政が、自らの手で社会をコントロールすることができなくなることを意味している。またマスコミの世論操作も効かなくなる。すでにそうなっている。

複雑化した社会が暴走して、誰も止めることができない。制御できなくなるというのは、混沌さを生み出す元になるのだが、これがまた世の中の予測を難しいものにする。

こうした爆発的な複雑さを抱えた現代は、かつてのように心から信じられるものを喪失させてしまい、精神的な拠り所も安心をも奪い、人々を心理的に不安定化させていく。

もちろん、日本人も大量の情報に巻き込まれて安定感をとっくに失っている。

「武器としての情報」が世界中の人々を翻弄していく


世の中が大量情報化で不安定化しているのは多くの人たちが感じている。

グローバル化から逃れられない以上、複雑化は止められず、より混沌とした大量情報の中で人々は荒海の小舟のように翻弄されている。

十年ほど前まで、日本人は国際ニュースにはまったく興味なかった。

しかし、社会がグローバル化していくにつれて、世界の動向が日本の存続を揺さぶることに気付くようになり、誰もが否応なく世界に目を向けるようになった。

世界には国連加盟国だけでも193ヶ国もある。今までは日本という国だけを見ていればよかったのに、今後は193ヶ国に関心を持たなければならなくなった。

この時点で日本人はグローバル化によって193倍の複雑化を抱え込んだということになる。

そして、グローバル化が進むにつれて、日本もまた周辺諸国との対立や軋轢に巻き込まれるようになっていき、プロパガンダやデマや日本中傷のような情報が、日本人をダイレクトに攻撃するようになってきた。

大量の情報が、複雑化した上に危険な暴走をも見せるようになっているのである。

あまりにも多くの問題や対立が国境を越えて広がるようになっていき、「武器としての情報」が世界中の人々を翻弄していくようになっている。

これから起きるのは、情報化することによるプライバシー喪失、政府の国民監視、デマ拡散による情報テロ、情報格差、情報ノイローゼ等、情報による暴力である。

そして人々は大量の情報は持っているが真実を見失い、判断に迷い、戸惑い、間違い、やがては自分をも見失っていく。自分を見失っているのに幸せになれるわけがない。

情報化が私たちを幸せにするというのは妄想なのだ。グーグルで幸せを検索しても、それで幸せになれるわけではない。むしろ幸せについて大量の意見、異論、反論、方法論に接して、幸せを見失うだろう。



情報化の時代が人を合理的にするとは限らない。大量の情報を手に入れることができるようになっても、人はより判断に迷い、戸惑い、間違う。


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