2016-05-19

富裕層・権力層の世襲化と凄まじい格差が止まらない社会に


現在、アメリカで起きているのは、四年制大学を卒業しているかどうかで良い職業に就けるかどうか、良い収入を得られるかどうかが決まるということだ。

要するに「大学卒業」という学歴が人生を左右する。もちろん、大学にも格があってアイビーリーグ等の名門大学であればあるほど重用される。

アイビーリーグとは、ハーバード大学、コロンビア大学、ペンシルバニア大学等の名門有名大学なのだが、これらの大学は私大を指す。

こうした大学に入るには、もちろん本人の知能指数も重要になってくるのだが、それだけではなく「学費が払えるかどうか」もまた重要になってくる。

こうした大学では学費等を含めると1年間に500万円近い出費になるのだが、これを4年続けると2000万円になる。返済不要の奨学金はすべての学生に出るわけではない。

とすれば、これらの大学に通える子供というのは、費用に耐えられる家庭は高所得階級か富裕層となる。

もちろん、無理して学生ローンを組んで大学に通う子供たちも大勢いる。しかし、これがまた問題になる。何しろ、卒業した瞬間に借金を背負った社会生活になるからだ。


2000年以降に成人した「ミレニアル世代」の苦境


良い大学を出たからと言って必ずしも良い収入が得られるわけでもない。仕事の有無は景気に左右される。

リーマン・ショック以後、2009年や2010年では多くのアメリカ企業が新卒を採るどころか多くの有能な社員すらもリストラをしていた。

そんな時代に社会に出た卒業生は、莫大な借金を背負ってリスクの高い社会生活を送らざるを得なくなる。

彼らは2000年以降に成人した世代なので、アメリカでは「ミレニアル(Millennial)世代」とも呼ばれている。

このミレニアル世代でリーマン・ショック以後の若者たちは日本で言うところの「就職氷河期」に社会に放り出された世代であり、貧乏くじを引いた世代だとも言われている。

大学の学費の高騰は今も続いている。アメリカ政府がリーマン・ショックで財政赤字に追い込まれて国家レベル、州レベルで教育予算を大幅にカットしていったので、大学は生き残るために授業料を値上げせざるを得なくなった。

つまり、アメリカという国が経済的な苦境に落ちて国民の教育を促進する余裕を失い、そのとばっちりを若年層が受けているのである。

もはや大学に行けるかどうかは、本人の能力の前に親の財力で決まるような「格差社会」がアメリカに到来したのだ。

こうした社会の不満が2011年に大爆発し、「ウォール街を占拠せよ」というデモにつながっていったのはよく知られている。

中流階級はどんどん没落して格差が広がっていき、今や「1%の富裕層と99%の貧困層」に社会が分離しようとしている。

そのため、「ウォール街を占拠せよ」でも「99%」というプラカードを掲げたミレニアル世代の若者たちの姿が大きく目立った。

アメリカ政府はバクチに踊った巨大銀行は税金で救ったが、若者たちは切り捨てた。その怒りが「ウォール街を占拠せよ」の原動力となった。

バーニー・サンダースの躍進も格差問題があるから


こうした動きはやがて沈静化したが、社会問題として解決したわけではなかったので、これが2016年の大統領選挙におけるバーニー・サンダースの躍進につながった。

バーニー・サンダースは自ら「社会主義者である」と公言しており、アメリカでは異色の政治家である。

当初、民主党はヒラリー・クリントン候補のひとり勝ちであると言われていたのだが、世間の下馬評とは裏腹にバーニー・サンダースが大躍進してヒラリー・クリントンの勢いが大きく削がれる番狂わせが起きている。

ヒラリー・クリントンはもちろん指名数獲得でバーニー・サンダースを大きく引き離しているのだが、話題になるのはヒラリーの強さではなく弱さの方だ。

バーニー・サンダースは74歳の高齢候補だが、それでもミレニアル世代は熱狂的にバーニー・サンダースを支持している。

それにはバーニー・サンダースが「私の内閣はウォール街の代表に独占されたりしない」と語り、さらには「格差是正」「LGBTの権利拡大」「公立大学の無償化」を明確に公約として掲げているからだ。

これらのすべては、まさに「ウォール街を占拠せよ」運動でミレニアル世代が掲げたものと一致しており、さらにミレニアル世代が求めているものだった。

今のアメリカ社会は、あまりにも格差が行き過ぎて、「富める者はどんどん富んでいき、貧困層はどんどん貧困に堕ちる」という凄まじい社会となっており、そこから抜け出せない。

最近、オバマ大統領の長女であるマリアがハーバード大学に入学した。

これについて、「祝福の声が溢れている」と各マスコミは報じていたのだが、インターネットでは「コネ入学だ」「金持ちの娘が金持ちの大学に入っただけだろう」とむしろ冷めた声の方が溢れていたのは無視されていた。

「コネ入学だ」という意見は正しい。私大であるハーバード大学は有名人や富裕層の子供を率先して合格させることで知られている。ちなみに、バラック・オバマもミシェル・オバマもハーバード大学を卒業している。

格差と富裕層・権力層の世襲化が止まらない社会


金持ちや権力者の子供が名門大学に簡単に入れる社会で、貧困層はそこから締め出されていく。

それが常態化しているとすれば、アメリカはすでに実力を重視する自由競争社会ではなく、単なる「階級社会」になってしまったということだ。

富裕層の子供は、親が富裕層だったからという理由で、良い子供時代を過ごし、良い大学に入り、良い人脈に恵まれ、良い企業に入社し、自分も富裕層になりやすい社会になったのだ。

言うまでもないが、こうした「階級社会」は格差がどんどん広がっている日本でもすでにとっくに到来していて、たとえば政治家を見れば、多くが「世襲」になっていることが分かる。

権力と財力は子供に継がせて、より肥え太るのである。これは政治界だけの現象ではない。経済界でも、芸能界でも、果てはスポーツ界でも状況は同じだ。

金と権力と名声が唸っている業界では、成功した人がそれを子供に継がせていくのである。

もちろん、子供にも親を超える能力がある可能性も中には存在するかもしれないが、ほとんどは親ほどの才能は持ち合わせていないことが多く、実力がないのに権力だけはあるという状態になる。

それが長らく続くことによって社会はどんよりと停滞し、劣化していくことになる。

しかし、一部が特権階級と化して富を独占し、他を貧困に叩き落とす社会は、がっちりと固定化して社会に組み込まれているので、容易なことでは破壊することはできない。

バーニー・サンダース候補も、しょせんはキワモノのような扱いをされているのを見ても分かる通りだ。

格差と富裕層・権力層の世襲化は止まらないのである。

そのため、社会を覆い尽くす閉塞感は、より深く、広く、深刻なものへとなっていく可能性が高い。今のところ、この格差社会を破壊する兆候は何一つ見当たらない。



バーニー・サンダース候補を熱烈に支持するミレニアル世代の若者たち。しかし、社会を覆い尽くす閉塞感は、より深く、広く、深刻なものへとなっていく可能性が高い。

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