2016-04-15

深刻な不平等は解消されることも解決されることもなく続く


現代は、平等であることよりも自由であることを追求した社会であると言える。誰でも自由に何でも好きな職業に就いたり、やりたいことをやったり、買いたいものを買ったりすることが可能だ。

そんな中で、ある人は享楽を追求し、ある人は金を追求する。享楽を追求している人と、金を追求している人では、長い目で見るとその財産には大きな差ができる。

金を追求している人は結果的に財産が貯まる。
享楽を追求している人は結果的に財産が貯まらない。

最終的に所有する財産を見ると、ふたりは平等にならないのが普通だ。スタートは同じだったとしても、結果は不平等になる。求めているものが違っているのだから、ふたりの人生は平等になるというのは、どう考えてもあり得ない。

誰でも金がある方がいいに決まっている。そうすると、最終的に金をなくしてしまった享楽型の人は不幸なのだろうか。いや、そうとも限らない。

この人は享楽を追求する中で、たくさん楽しい経験をして、良い想い出を作って、気が置けない友達もできたかもしれない。確かに金はないかもしれないが、それ以上に豊かな人生を手に入れている可能性もある。金よりも想い出が重要な人はこの世にたくさんいる。


死んだはずの社会主義がアメリカで復活する皮肉


それなりに働けばそれなりの給料がもらえ、必死で働けばたくさんの給料がもらえ、その結果は平等ではないがそれは本人の能力や自己責任の結果であるとして許容するのが自由主義であり、資本主義である。

私たちが生きている社会はそのような社会である。

この仕組みは、結果の平等にこだわった共産主義よりもうまく機能したので、今や全世界がこの資本主義に覆い尽くされようとしている。

共産主義の総本山だったソビエト社会主義共和国連邦は1991年に死んだ。その次に共産主義大国だった中国もこのままではアジアの眠れる豚となってしまうと考え、ソ連崩壊の翌年に共産主義を捨てて資本主義に移行した。

結果の平等にこだわった共産主義、あるいは結果が平等になるように自由に規制をかける社会主義よりも、自由主義や資本主義の方が社会システムとしては優れているということは、1991年にすでに決着を見ているのである。

社会主義も共産主義も、1991年に死んだのだ。

だから、最近になってアメリカの大統領候補であるバーニー・サンダース氏のような政治家が、社会主義の政策を柱にして台頭しているというのは、本来は筋の通らない話ではある。

わざわざ破綻した古くさい主義を持ち出す老人が、よりによって資本主義の権化であるアメリカで躍進しているというのは、驚くべき事態なのである。

それをアメリカの高齢者ではなく、アメリカの若者が支持しているということも壮絶な皮肉だ。

なぜこんなことになっているのかというと、現在の自由主義や資本主義があまりにも不平等を生み出すシステムになっていき、そのひずみがどんどん大きなものになってしまっているからだ。

自由主義の「自由」があまりにも巨大な不平等を生み出すようになってしまった。そのカウンターとして社会主義者バーニー・サンダースの躍進がある。

想い出は財産のように継承することができない


金を徹底的に追求する人間と享楽に生きる人間では、最終的に残る財産はまったく違ってしまう。しかし、自由主義や資本主義の社会ではそれを許容した。それを許容しなければ、自由主義にならないからだ。

問題は、このシステムが長く続いて行くと、やがて超格差社会が生まれてしまうことである。富める者はますます富み、貧しいものはますます貧しくなる社会が出現するのだ。

その理由は簡単だ。財産は子供たちに継承されるからである。

金持ちの子供たちは生まれながらにして巨大な資本に囲まれて生まれ育ち、その資本を十二分に活用してさらに財産を殖やすことができる。

一方で享楽に生きて想い出をたくさん作った親の子供は、何も継承されないで世の中に放り出される。残念なことに想い出は財産のように継承することができない。想い出は一代限りのものなのだ。

仮に、1億円を継承した金持ちの子供はその1億円を3%の株式で運用していたとすると、彼は何もしないで年間300万円の配当収入を得る。

彼が普通に働いて、その300万円をそっくり配当再投資に回すと、30年で1億円は株式がまったく値上がりしていないとしても財産は2倍になっている。

こうした財産の継承が数代続くと、それだけで金持ちの一族の子供は10億円、20億円の財産が継承されることになる。

仮に10億円の財産が継承されると、3%配当でも年間配当収入は3000万円である。年間3000万円の収入を得られる人というのは、相当なエリートでもない限り不可能である。この時点でもう社会の不平等は極まっている。

ところが、現在の世界有数の富裕層の資産は10億円や20億円のレベルではなく、上を見れば10兆円のレベルである。この1%の富裕層は黙っていても資産はさらに巨大化していく。

しかし、何も持たない層は、効率化を極限まで推し進める企業によって賃金が抑制されるか削減される傾向にあり、どんどんワーキングプア化している。

爆発的なエネルギーが社会の底辺で渦巻いている


もはや、極限的な不平等は社会の仕組みを少し変えたくらいでは解消できないレベルにまで達している。格差は「永久」に解消しないし、不平等はもっと凄まじい不平等になる。

何をどうやっても逆転できないような超絶的な格差社会がすでに生まれてしまっており、それを自由主義と資本主義が後押ししているような状況になってしまっているのである。

だから、「不平等を生み出す自由主義を打破したい」「既存の資本家を打倒したい」という爆発的なエネルギーが社会の底辺で渦巻くようになっているのだ。

2009年には「巨大銀行で我々の税金を使うな」というデモが起き、2011年には「ウォール街を占拠せよ(オキュパイ・ウォール・ストリート)」運動が盛り上がり、そして2016年の現在は社会主義者バーニー・サンダースの躍進が起きている。

これらはすべて、競争することすらも不可能になった巨大な富裕層たちに対する絶望的な怒りが生み出しているものである。同一の怒りが違う運動として起きているのだ。

こうした世の中の一連の動きを見ても、現在の資本主義システムはすでに人々の不満を掻き立てている問題のあるシステムに変質していることが分かるはずだ。

ところが、この資本主義システムはあまりに深く現在社会に溶け込んでいるので切り離せない。資本主義は現在の文明の中核に埋め込まれて一心同体と化しているので、これを変革することができない。

この不平等を増長させるシステムを打倒するというのは非常に難しく、現代文明の根幹を破壊するのと同じことになってしまうのだ。資本主義を改変する動きは、どんなものであれ大混乱を招く。

また、社会構造が破壊されて大混乱が起きるのであれば、不平等を容認する方が合理的だと考えるのが多数派なので、社会主義者バーニー・サンダースがどんなに躍進しても社会が変わらない確率の方が高い。

そもそも政治・経済・言論を動かしているのが富裕層であり、エスタブリッシュメントであり、そのエージェントなのだから、自分たちの資産を減らすような資本主義の変革を容認するはずがない。

そのため、社会的な矛盾は解消されることも解決されることもなく続く。そして社会はより荒廃していくことになる。



自由主義の「自由」があまりにも巨大な不平等を生み出すようになってしまった。もはや競争が成り立たないまでの不平等だ。だから、そのカウンターとして社会主義者バーニー・サンダースの躍進がある。

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