2016-04-01

絶望が広がる世界。将来に希望がないのなら消費はできない


2016年4月1日、日銀は3月の企業短期経済観測調査を出しているのだが、これによると業況判断指数が6ポイント悪化していることが判明した。

これによって投資家は悲観、4月1日の日経平均は一時600円超の下落を見ている。

業況判断が悪化したのは別に不思議ではない。中国が2015年から急激に失速し、株式バブルも崩壊して立ち直っていない上に、2016年に入ってからさらに状況が悪化しているからだ。

グローバル経済は中国を成長エンジンにしていたのだから、中国が失速すると全世界が巻き込まれるのは必至だった。それが2015年の後半から鮮明になったので日本も巻き込まれている。

中国と共にブラジルもベネズエラも最悪の状況が日々悪化している。特にブラジルのルセフ政権は、2016年3月29日にブラジル最大政党が連立解消を発表したことで政治的な混迷はさらに深まっている。

EU(欧州連合)も景況悪化も難民問題やベルギーのテロでより深刻化している。EUは2016年1月にはすでに景況感指数がエコノミスト予想以上に悪化していることを報告しているのだが、それよりも今の方がもっと景況感は悪い。


「次はこれだ」という明確な成長エンジンがない


業況判断の悪化は、「景気が悪くて見通しが立たない」という意味なので、実際にこの景気の悪化が企業の財務諸表に数字として表れるのは先の話である。

だから、実際には景気の悪化が実体経済に悪影響を与えるのは数ヶ月後になる。それまで、私たちはじわじわと首が絞まっていく中で生きていかなければならないということになる。

日銀ができることはある。たとえば、もっと金融緩和し、もっと円安にすればいい。

そうすると日本企業の商品は世界中で売れまくり、円が安くなったことに刺激された観光客が日本に殺到し、金を落としていくだろう。

昨今の業況判断の悪化は、2015年6月より円高基調に転換したことも要因のひとつである。だから円安誘導は今の日本にとって正しい政策となる。

これは、とても単純な話だ。円安になれば、日本の景気はあっと言う間に回復する。

2013年から円安が鮮明になって、日本の景況感は好転し、株式市場も爆上げしていったのだが、その根底に「円安」があったのは誰しも認める事実だ。

円安にすれば景気が良くなるというのは、2013年1月から2015年6月までの期間で完全に証明されたのだ。

この円安は2015年6月にドル円レートで121円まで到達したが、ここがピークだった。

そこから中国のバブル崩壊が始まり、中国から資金が逃げ出して日本円が買われたことから、一転して再び円高基調に戻ってしまった。そして2015年8月には日経平均も下落を始め、今に至っている。

景気の悪い中では誰もが消費を絞るという事実


こうみても分かる通り、中国の成長が吹き飛んだことが日本にも大きな影響を与えている。

グローバル経済が日本以上に混迷の度を深めているので、現在は円が買われる傾向が止まらない。

そうなれば、いくら日銀が小手先で円安誘導してもグローバル経済の停滞という根源的な部分が修復できない限り、日本の円高傾向が止まらず、業況判断の悪化も続いていく。

問題は、いつになったら景気の悪化は底を打つのか、という一点にある。

しかし、そんなことは誰にも分からない。グローバル経済は中国に変わる次の成長エンジンを見つけなければならないのだが、それがまだ見つかっていない。

「次はこれだ」という明確な成長エンジンが見つからない限り、グローバル経済の苦境は続いていくわけであり、私たちは苦境の中で生き延びなければならないということになる。

当然、景気の悪い中では誰もが消費を絞るので、需要が減退していく。

日本経済を活性化させるためには、どんどん消費しろと言うアナリストもいるのだが、それは順番が逆だ。消費をどんどん活性化させるためには、「将来は現在よりも豊かになっている」という希望が必要なのである。

中国人が爆買いするようになったのも、「中国は豊かになったが、将来はもっと豊かになれる」という希望があったからだ。需要は希望とリンクしている。

だからこそ、経済成長という希望を先に実現しなければ、消費の拡大は絶対に始まらない。

日本人の消費が減退し、若年層が車を買わない、モノを買わない、引きこもって何もしないというのは、もう日本にはすっかり希望が消えて、絶望だけが未来に待っていると若年層の誰もが考えているからでもある。

年収100万円で爆買いする中国人には何があるのか?


将来は前途洋々で給料も上がれば生活の質も上がると誰もが考えれば、今は金がなくても人はローンでも何でも利用してモノを買いたいと思う。

高度成長期や株式市場のバブル期になると、酒に酔ったかのような心理になって、金を使いまくる人が増えるのは、使っても使っても「将来はもっと金が入る」という希望に満ち溢れていたからだ。

日本で爆買いをしている中国人の中には年収50万円から100万円の人もたくさんいると言われている。日本ではその年収では相対的貧困の範疇に入るのだが、中国では立派な中産階級だ。

とすれば、日本人は年収100万円であっても、近所で爆買いしても何ら問題ないということになる。しかし、年収100万円で浮かれて爆買いする日本人などひとりもいない。

中国人が年収100万円で爆買いし、日本人が年収100万円で貧困と言うのは、やはり将来の希望があるかないかで違うからだ。中国人はもっと良くなると希望があり、日本人はもっと悪くなるという絶望にある。

日本人が金を使えなくなったのは、日本という国に希望がなくなったからなのである。日本人が子供を作らなくなったのも、同じだ。希望がない国で子供を作っても絶望しか生まれないからだ。

中国人の爆買いはそのうちに消えるのは、中国はもう成長できないというのを中国人が悟って希望が絶望に変わる確率が高いからだが、勘違いしてはいけないのは中国人が絶望したら逆に日本人に希望が生まれるわけではないことだ。

グローバル経済は成長エンジンを喪失して漂流した状況になっているのだから、グローバル経済が悪化しているのであれば、全世界が悪化する。

全世界の人間はすでに弱肉強食の資本主義に取り込まれているので、経済成長がない限り人は希望を持てない。日本人もまた同じく、経済成長がないところでは希望もない。

グローバル経済は何とかして次の成長エンジンを見つけなければならないのだ。さもないと、1930年代の世界大恐慌が世界大戦争を生み出したのと同様の悲劇が襲いかかったとしても不思議ではない。



爆買いする中国人。(中国人の「爆買い」に占拠された大阪・道頓堀を歩いてみた)。全世界の人間はすでに弱肉強食の資本主義に取り込まれているので、経済成長がない限り人は希望を持てない。グローバル経済は何とかして次の成長エンジンを見つけなければならないのだ。

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