2016-03-23

イスラム系移民・難民の流入で、阿鼻叫喚になったEU諸国


2016年3月8日、EU(欧州連合)は「トルコ経由でギリシャへ渡る移民と難民はすべてトルコへ送り返す」という措置で合意している。

2015年にドイツのメルケル政権は「人道的見地から難民を受け入れる」と言って100万人近い難民を受け入れた。ドイツ人は「自分たちは素晴らしいことをしている」と自画自賛し、自己陶酔しているかのようにも見えた。

ところが、これによってドイツ国内が大混乱し、治安も悪化し、性犯罪も多発するようになって、国内の空気は一変した。夢から醒めて現実を知ったのだ。

そうなると今度は国民感情が一転して、難民を糾弾するようになり、難民受け入れを歓迎したメルケル首相の支持率も急激に低下した。

こうした状況の中でメルケル首相の難民受け入れ熱も冷めてしまい、2016年3月13日の州議会選でも大敗すると「難民の受け入れは難しい」と手の平を返して言い始めるようになった。

難民の受け入れはもはや国民の合意を得られない。

その結果、EUは「トルコから押し寄せる難民をもう一人も受け入れない」と2015年に比べるとまったく逆のスタンスを取るようになっていった。


EUはトルコに弱みを握られたような状態になった


折しもEUの心臓部であるベルギーでも、2016年3月22日に同時多発テロが起きて200人近い死傷者が出ている。(ベルギーで起きている同時多発テロと、その深刻な背景とは

この流れでいくと、難民の受け入れは今後は急激に縮小されることになる。

「トルコ経由でギリシャへ渡る移民と難民はすべてトルコへ送り返す」という措置は、トルコに不利なように見えるのだが、もちろんトルコにも見返りがある。

トルコはこの措置によって、EUから30億ユーロ(約3700億円)の金を受け取り、さらにトルコ人のビザ免除も要求している。最終的にトルコの目的は悲願のEU加盟である。

EUは「トルコはヨーロッパではない」として、トルコのEU加盟を断わり続けてきた。

しかし、トルコはEUが難民で混乱しているのに勝機を見出しており、「EUの難民をすべて受け入れる代わりにトルコもEUに加盟させろ」とねじ込んでいるのである。

現在、イギリスがEUから脱退するかどうかの瀬戸際になっている。2016年6月に国民投票が行われる。

仮にイギリスが国民投票の結果を受けてEUを脱退したら、今度はフランスやオランダも続くのではないかとも言われており、EUはガタガタになる。

そんな状況の中で、EUの心臓部であるベルギーのブリュッセルで同時多発テロが引き起こされ、トルコが難民を引き受ける代わりに見返りをよこせと恫喝している。

もしトルコがEUに加盟したら、ただでさえ不協和音で理念が崩壊しつつあるEUは、ますますまとまりがなくなっていき、空中分解してもおかしくない。

かと言って、押し寄せる移民・難民を無制限に受け入れることもできなくなっているEUはトルコに金を払って難民を受け入れてもらうしかないので、弱みを握られている状態であり、今やEUの苦境は目を覆うばかりである。

難民の強制送還で問題が解決するわけではない


今後、ギリシャ入りする難民は、全員をいったんトルコに強制送還されることになる。

しかし、こうやってトルコがEUの政策ににじり寄って来ることや、難民を追い出した代わりに、トルコ国民の流入が増えることに強く反対しているのがキプロスとフランスだ。

また、国連も難民を強制送還することに反対している。

国連は「絶対的グローバル主義」の立場を取っており、全世界に多文化共生を押し付けることを目的に活動している。そのため、EUが移民・難民政策から後退するのを許さない。

たとえ、それが全世界の混乱を増長することになっても、そんなことは意に介さない。国連とはそんな奇妙な組織である。

しかし、理想主義で国が運営できるわけがなく、現在のEUの政治家たちは、自分たちが落選しないためにも、難民を追い出すしかなくなっている。

すでに2015年にはフランスが2度のテロの見舞われ、2016年にはベルギーもまた大規模テロで死傷者を出した。難民拒絶の動きは、2016年からその動きは先鋭化していく。

しかし、それで問題が解決するわけではない。すでに、EUは大量の移民や難民を受け入れた。これから来る難民は拒絶するとしても、すでにEUに入って生活している移民・難民を追い出すわけにはいかない。

ISIS(イスラム国)は、2015年の大量難民に紛れて大量の兵士をEUに送り出しているが、こうしたテロリストたちは現地でイスラム系住民の「不満分子」をリクルートし、テロリストとして育て上げてテロを計画している。

ISISの幹部アブ・ムハンマド・アル・アドナニは「そうする」と実際に警戒していたし、それはただの脅しではないのはフランスやベルギーの大規模テロを見ても分かる通りだ。

EUの問題は、これから入ってくる難民というよりも、むしろすでに入ってしまった難民の方にある。

さらにテロリストが生まれていくのは「必然」


ISISの幹部アブ・ムハンマド・アル・アドナニは危険な暴力主義者だが、この男が死んだという噂はまだ聞かない。

ヨーロッパに向けて「テロを起こせ、民間人を殺せ」と扇動するこの男の言葉は、EU国内のイスラム系の貧困層の若者たちに共鳴するようだ。

「爆弾でも、ナイフでも、銃弾でも、車でも、岩でも、あるいは自分の靴でも、拳でも、何でも使ってテロを起こせ」

ごく普通に生活していた若者が、インターネットによってテロ扇動の言葉に触れて、どんどん過激化していく。

フランスの同時多発テロを引き起こした容疑者はISISの幹部だったが、そのテロの共犯者だったサラ・アブデスラムは、ベルギーでISISの暴力思想に感化された男だった。

それまでは、ベルギーでごく普通に市民生活を送っていたのである。サラ・アブデスラムだけではない。フランスの同時多発テロを引き起こした容疑者の多くは、ごく普通のイスラム系の若者からテロリストになっている。

イスラム系の移民・難民の中には、現地でうまく適応できずに孤立し、貧困に追いやられ、社会に大きな不満を持つ若者も多い。移民・難民に対する目が冷たくなり、厳しくなっていくと、その不満はますます深いものになっていく。

したがって、現在のEU内部にいるイスラム系から、さらにテロリストが生まれていくのは「必然」なのである。

しかし、いったん受け入れてしまった人々を追い出すというのは、それこそ人権侵害であり、さすがにEU各国もそこまではできない。

メルケル首相は、思いつきで大量難民を一気に受け入れたが、それがEU各国に禍根を生み出すことになるのは、むしろこれからだ。

2015年のフランスのテロ、2016年のベルギーのテロは、それで終わりではない。さらに大きなテロがEUのどこかで起きる。無防備に移民・難民を受け入れたEUは、もはやボロボロだ。



2016年3月22日のベルギー・ブリュッセルのテロ。大規模なテロはそれで終わりではない。さらに大きなテロがEUのどこかで起きる。EUはもはやボロボロだ。

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