2016-03-16

人工知能が人類を打ち負かし続けた先に何が待っているのか


人工知能がプロの棋士を4勝1敗で打ち負かしているのだが、この人工知能はグーグルが4億ドルで買収した「ディープマインド」が成し遂げたものである。

グーグルは検索エンジンで収入を得ている企業だが、この検索エンジンにも人工知能が徐々に搭載されるようになっている。たとえば、最近ではコンピュータが猫の動画を見て、それが猫だと判別できるようになっているという。

それが意味することは、いずれコンピュータは動画に出てくる「すべて」を認識できるようになるということだ。

人間がそこにいたら、その人間が何者なのかも、ビッグデータに格納されているデータから抽出していく。そうやって何もかもが丸裸にできる体制が生まれつつある。

すでに人工知能は、何気なく写された一枚の写真をスキャンして、それがどの場所で撮られたものなのか、かなりの精度で的中させることができるようになっている。人間がまったく気付かない特徴から、それを割り出すのである。

私たちは気付いていないだけで、すでに人工知能の片鱗に触れて生活している。そして、感情すらも人工知能にコントロールされている。


人間はすでにコンピュータに感情を操作されている


私たちは最新のハリウッド映画を観て、笑ったり泣いたりハラハラしたりして感情を揺さぶられる。映画の物語は人間の喜怒哀楽をとてもうまく引き出して深い感動を与えてくれる。

ところが、その物語は実はコンピュータが自動生成しているとしたらどうだろうか。

ハリウッドでは、すでに人間をいかに感動させるのかというツボを押さえた脚本ソフトがある。それは「ドラマティカ」と呼ばれるものだ。

このソフトは、いくつかの質問を人間に答えさせて、そこからストーリーを自動作成するものだと言われている。

今や多くの映画がこの「ドラマティカ」の生み出すストーリーに則って映画作成が行われている。

つまり、コンピュータが人間が感動するであろうと想定する物語を計算し、私たちはコンピュータのアルゴリズムに乗せられて、泣いたり笑ったりしているということだ。

こうしたストーリー作成のツールは、今後は人工知能がより深く介在して、ボタン一つで名作を量産する可能性がある。

これが小説に応用されたら、もう小説家もいらなくなるかもしれない。人工知能が人間を感動させる小説を書くというのは、もう空想の世界ではなくなりつつあるのだ。

そして、やがては語り合う友人もいらなくなるかもしれない。

アメリカでは不倫の出会い系サイトとして知られているアシュレイ・マディソンというサイトがある。

このサイトがハッキングされて内情が暴露されたとき、人々を驚かせたのはコンピュータに組み込まれたアルゴリズムが、浮気を求める男たちのメッセージに答えて、あたかも不倫を求める女性のように振る舞うシステムの存在だった。

浮気願望の女性とチャットしていると利用者の男は思っていたのだが、相手は女性でも人間のサクラでもなく、コンピュータの自動返答ソフトだったのである。

人工知能は人間を凌駕し、2030年には神に近づく


株式市場の世界では、すでにコンピュータが一定のあるアルゴリズムに則って、コンピュータが超高速取引を行っている。ミリ秒単位でコンピュータが売買をしている。

この超高速取引のことをHFTと呼ぶが、アメリカの株式市場では全取引の半分近くがHFT取引が占めるようになった。

つまり、株式売買の半分はコンピュータが人間の意志を介さない取引をしている。

これが市場の乱高下の要因となっており、2016年に入ってから、ウォール街ではこのHFTの規制の是非が議論されるようになっている。

こうした波はFX(外国為替取引)にも波及しており、個人でも自動売買ソフトで取引をしている人もいる始末だ。

こうした売買ソフトは人工知能とは呼ばれていないのだが、やっていることは、それぞれの専業に特化した人工知能と言うに相応しい。

人間の意志や決断が必要だった世界に、どんどん人工知能が入り込んでおり、知らずして私たちの世界を変貌させている。

この人工知能の開発と研究は軍や国家の予算で、IBMやグーグルやアップルのような民間企業と協力しながら行われており、そんな中で人間のプロ棋士を打ち負かす「ディープマインド」のようなプロジェクトが姿を現しつつあるのだ。

こうした人工知能の研究と開発はまだまだ進化の途上であり、やがて人工知能が人間の能力を凌駕する時代がやってくると言われている。それは必ずやってくる。

グーグルは2012年に国防総省国防高等研究計画局の最高責任者であるレギーナ・ドゥーガンを引き抜いたり、人工知能の世界的権威であるレイ・カーツワイルに極秘研究をさせて、人工知能の高度化に邁進している。

その中で、レイ・カーツワイルは「2030年には人工知能は神に近づき、2045年には1台のコンピュータが人間の脳を超える」と話している。

それが人類にとって危険ではないと誰が言えるのか


人工知能の推進派は「人工知能は人類の脅威にならない」「人類に大きな飛躍をもたらす」と言う。

しかし、これに対して真っ向から反対しているのがマイクロソフトの創始者だったビル・ゲイツである。2015年1月28日、ビル・ゲイツはこのように指摘している。

「当面、機械はわれわれのために多くのことをしてくれるはずだ。超知的にはならず、うまく管理できている場合はプラスに評価できる。しかし、数十年後には知能が強力になり、懸念をもたらす」

スティーヴン・ホーキング博士もまたこのように言う。

「人工知能が人類を凌駕する程の知識や力を持ち、コントロール出来なくなる自体になりかねない」

その他、イギリスの起業家クライブ・シンクレアや、テスラ・モーターズの会長イーロン・マスク等、人工知能に懸念を表明する人たちは数多い。

人工知能があらゆる面で人間の知能を超えて進化する。いずれはコンピュータ自身が、自分の必要なものを自分でプログラミングして自分をバージョンアップしていく。

あと10年もしたら、そんな時代になっていくのだから、ある時点で人工知能がやっていることが人間にとってブラックボックスになる。

いったんブラックボックスができると、人間は「人工知能が何をやっているのか、目的は何なのか、それが何をもたらすのか」まったく分からなくなる。

それを制御したくても、人間は人工知能のどの部分を制御したらいいのかすらも分からなくなる。

仮に何らかの問題が発生して、人工知能が「人間をこの世から排除するのが正解だ」と答えを出したとき、それが人類にとって危険ではないと誰が言えるのだろうか。

人工知能はこれからもあらゆる分野で人類を打ち負かし続ける。その先に何が待っているのか、そろそろ人類は真剣に考えるべきなのかもしれない。自分たちをはるかに超える知能を生み出すのだから……。



仮に何らかの問題が発生して、人工知能が「人間をこの世から排除するのが正解だ」と答えを出したとき、それが人類にとって危険ではないと誰が言えるのだろうか。

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