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2016-03-07

いくら「金融政策」をしても日本の内需はそれで回復しない


2016年2月15日、内閣府は2015年10月から12月期のGDP速報値を出しているのだが、実質GDP成長率は前期比で0.4%減という結果になっていた。

年当たりの換算では1.4%減。それ以前の7月から9月期もマイナス成長だったので、中国の株式バブル崩壊と共にグローバル経済が変調をきたした2015年後半、日本もまたその変調に巻き込まれていることが見て取れる。

日本のマイナス成長は、民間最終消費支出の落ち込みの影響が最も強く出ている。

石原伸晃経済財政は、これに関して企業収益や所得環境のファンダメンタルズは良好だが、「記録的な暖冬により冬物衣料品などが大きく落ち込んだ」ことが原因であると理由を説明している。

しかし、7月から9月期もマイナス成長だったことを見ても分かる通り、その説明は包括的なマイナス成長の理由にはなっていない。

そもそも「所得環境のファンダメンタルズは良好」という説明そのものが他の政府説明と矛盾している。


実質賃金はマイナスだが、株価は100%以上の上昇


2016年2月8日、厚生労働省は2015年の毎月勤労統計(速報)で、「実質賃金指数が前年を0.9%下回り、4年連続でマイナスになった」と発表したばかりだったはずだ。

実質賃金とは物価の影響を考慮して調整された値なのだが、実質賃金が下がれば、当然のことながら消費意欲は減退する。消費意欲が減退すれば、最終的には実質GDPの成長率も低下する。現に実質GDP成長率は下がった。

安倍政権が始動したのは2013年からだが、現在のアベノミクスでは実質賃金は上がらず、経済成長もじり貧になっている状況が見て取れる。

しかし、アベノミクスが唯一成功している分野があった。それが円安と株高である。

民主党政権は日本経済をボロボロにしていたので、日経平均は8000円台に沈んでいたが、それが現在では1万7000円前後にあるわけだから、2倍以上の上昇を見たことになる。

実質賃金は4年連続でマイナスだが、株式市場は3年で2倍以上だったのだから、その差はあまりにも大きい。日本人は2013年のアベノミクスで、一心不乱に株式を買わなければならなかったのである。

資産家の多くは資産の一部に株式が組み込まれているので、アベノミクスで恩恵を受けている。

反日政治家の鳩山由紀夫もブリジストン株を持っているのだから、皮肉にも安倍政権を批判しながら、しっかりとアベノミクスの恩恵を受けている人間のひとりとなっている。

しかし、株式を所有していない一般層は「実質賃金が4年連続でマイナスになった」という厚生労働省の発表の通り、まったく恩恵を受けていないばかりか、使える金すらも減っているということになる。

ただ、大企業は基本給がプラスになっているので0.5%実質賃金が増えている。石原伸晃経済財政の「所得環境のファンダメンタルズは良好」という話はここから来ている。

しかし、日本は大企業よりも中小企業の方が圧倒的に多く、しかも非正規雇用者も2000万人を超えて、労働者全体の4割を占めるようになっている。

この非正規雇用者の年収の平均は、男性でも30歳から60歳は300万円台の前半である。

金融政策は対処療法であり、根本治療ではない


富裕層が豊かになればトリクルダウンが起きると言われていたが、清原和博のように銀座で豪遊して資産を使い果たすような能天気な人間はほとんどいない。

むしろ、ほとんどの富裕層は資産保持を考え、利益は金融市場に投資する方に回す。そのため、内需が活性化する方向には向かわなかった。

さらに日本では人口減が起きており、おまけに少子高齢化である。消費する子供たちが減って、年金で生活する高齢者がどんどん増えるという社会構造になっている。

高齢者の人口は3186万人となっている。この人数は過去最高となる。しかし、これがピークではない。今後はもっと高齢者が増えていくことになる。

この高齢者は、将来を考えて消費を抑えるわけだから、高齢者が増えるごとに内需も減っていく。人口減でも内需が減っていく。非正規雇用の増加で、年収が低下することでも内需が減っていく。

内需の減少は最終的に政府の税収の減少につながるので、政府はこれをカバーするために税金を上げるのだが、そうするとますます消費が減退していく。

こうした状況が積み重なるので、いくら「金融政策」をしても日本の内需は回復しないということが分かるはずだ。

金融政策は対処療法であり、根本治療ではない。いくら対処治療しても、根本部分が治らないのであれば、いつでも問題はぶり返す。

金融政策の前に、現在の日本が置かれている少子高齢化や人口減という問題の根幹部分を改善しないと日本は復活できないのである。

しかし、少子高齢化の問題は昨日今日始まった問題ではなく、もう10年以上も重要課題であるにも関わらずに放置されてきている。

高齢者が増え、非正規雇用が増大し、若年層が低賃金と給料アップが見込めない中で、子供を産み育てようと思う人はほとんどいない。

少子高齢化が解決できない場合のことも考えておく


こうした状況は、日本の国益を考える真摯な政治家によって良い方向に変わる可能性もある。しかし、逆に何もできないで対処療法ばかり行い、問題の先送りや対処の間違いによってより悪化する可能性もある。

どちらに転ぶのかはまだ何も分からない。日本が良い方向に変われば救われるが、そうでなかった場合は日本はいくら金融政策を繰り返したところで救われない。

そのため、日本の国力は必然的に衰退していき、これは長期的には円安と株安につながっていく。現在は円安で株高になっているが、株高も望めないような状況になる。

安倍政権の支持率は、円安・株高に支えられている。もし、これが反転して円高・株安になったら、アベノミクスは旬を過ぎたと見なされて政権は見捨てられる。

そのため、政権の延命のために円安・株高は最優先事項として維持される確率は高い。

しかし、長期的に見ると日本経済は致命的な人口動態に足をすくわれてじり貧になる可能性が高い。

少子高齢化の社会では、経済の活性化もイノベーションも内需も停滞する。イノベーションを失ったのであれば、輸出もまた停滞する。こうした状況であれば、株式市場もまた縮小しても不思議ではない。

まだ日本が少子高齢化を解決できないと決まったわけではないし、政治家や国民が真摯に国難に立ち向かわないまま立ち枯れすると決まったわけではない。だから、日本がもう終わりだという結論を出すのは早い。

しかし、このまま少子高齢化が解決できない場合のことも考えておく必要がある。

長期でものを考える投資家は、日本に賭けた方がいいのか、それともアメリカに賭けた方がいいのかと言われたとき、どちらに賭けるだろうか。



日本の人口増加率はすでにマイナスに転じている。少子高齢化の社会では、経済の活性化もイノベーションも内需も停滞する。イノベーションを失ったのであれば、輸出もまた停滞する。こうした状況であれば、株式市場もまた縮小しても不思議ではない。

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