2016-03-04

強者であってもパラダイムシフトに乗り遅れると捨てられる


インターネットを閲覧するにはウェブ・ブラウザを使用するが、このシェアを見れば、現在のインターネット企業の趨勢が分かる。

全世界を見ると、現在最も使われているのはグーグルのクローム・ブラウザである。

その次にマイクロソフトのIE(インターネット・エクスプローラー)があって、モジラのファイヤー・フォックス、アップルのサファリと続く。

かつてはマイクロソフトのIEが一強独占状態で、向かうところ敵なしの状態だった。

しかし、あまりに独自仕様であり、バグが多く、重かったので、ファイヤー・フォックスやクロームにシェアを侵食されていき、とうとう影響力を失った。

マイクロソフトはインターネットを独自仕様を組み込んだIEで囲い込もうとしたが、それに失敗して今ではその独自仕様に足を取られて身動きできなくなったのだ。

また、時代はアップルのアイフォーンの登場から急激にパソコンからスマートフォンの時代に移り変わっていったが、マイクロソフトはここでも出遅れた。


IEのシェア急減は、マイクロソフトの自滅だった


スマートフォン時代になったことによる焦りで、マイクロソフトはウィンドウズ7からウィンドウズ8に移行する際、スマートフォンと同じ使い方できるように、モダンUIデザインというものを取り入れた。

いわゆるタイルを並べられたデザインである。マイクロソフトは過去の資産を生かしながら、時代についていこうとしたのである。

ところが、この大幅なデザイン変更は、かなりの混乱を招いて不評に終わった。

初期バージョンでは、ウィンドウズのシンボルだった「スタートボタン」すらも消えていたので、「こんなOSは使えない」と投げ出す人が続出した。

そこでマイクロソフトは慌ててバージョン8.1でスタートボタンを戻したが、すでにウィンドウズ8の悪評はこびりついていて、過去のウィンドウズXPやウィンドウズ7が使われ続けるという事態に陥った。

しかし、こうしたOSに付属しているIEのブラウザは旧式のものであり、重く、遅い上に、最新の技術を使ったサイトがうまく表示できず、その上に深刻なセキュリティーホールが大量に残っていて使い物にならない。

だから、人々はグーグルのクローム・ブラウザやモジラのファイヤー・フォックスに移行し、そちらのシェアが爆発的に伸びることになっていった。

つまり、クロームやファイヤー・フォックスのシェアの増大は、マイクロソフトの失策と混乱が招いたものであり、言わばマイクロソフトの自滅だったとも言える。

マイクロソフトは悪評のこびりついたウィンドウズ8を早々に捨てて、バージョン9を飛ばしてウィンドウズ10を出したが、この新しいOSはパソコン市場を活性化させる起爆剤にならず、パソコン市場はむしろ収縮している。

往年のマイクロソフトの凄まじい勢いは、もうどこにもなかった。マイクロソフトの良き時代はとっくの前に終わってしまっていることを印象付ける時代の流れだった。

パラダイムシフトは初期の段階では誰も気付かない


マイクロソフトは今でも強大な財力と影響力を持った企業である。この企業は凄まじい現金を稼ぐ能力が今でもあり、クラウド分野やゲーム分野で重要な位置を占めている。

そもそも、パソコン用のOSでは今でも全世界を独占しているわけであり、決して明日にも消える企業ではない。消えるどころか、まだまだ潜在能力を秘めた凄まじい企業である。

しかし、往年の勢いはすっかり消えている。たとえて言えば、IBMと同じく「鈍重なハイテク企業」のようになってしまったのは否めない。

パソコンのOS市場を独占した強大な企業であっても、パラダイムシフトが起きたとき、「盛者必衰」の法則から逃れることはできなかったというのは示唆的だ。

パラダイムシフトとは、既存のルールを完全に崩壊させる新しい波、新しい変化、新しいルールを言う。

「パラダイムシフトが起きた(新しい波が来た)」と分かったら、誰もがすぐに対応できるかと言えば、絶対にそうはならない。むしろ、対応できない企業が圧倒的に多い。

なぜか。不思議に思うかもしれないが、パラダイムシフトは強烈な社会変革を促すものだが、初期の段階でそれがパラダイムシフトを起こすものであると認識できる人は少ない。

たとえば、インターネットは今でこそ「凄まじいパラダイムシフトだ」と誰もが分かっている。しかし、1990年代にインターネットがパラダイムシフトであると気付いた人は、実はそれほどいなかった。

当時のインターネットは単に「パソコン同士がつながって、文字をクリックしたら別のサーバのページに移動できる」というものであった。

「青い文字をクリックしたら別のサーバにあるページに移動できる」という仕組みを見て、「これは凄まじいパラダイムシフトだ。世の中を変えることになる」と気付く人はどれだけいるだろうか?

次のパラダイムシフトに気付かないと取り残される


「リンクをクリックしたら他のサーバのページに移動できる」というのは全世界を変える凄まじいパラダイムシフトだった。そのサーバは世界の裏側にあっても、ネットワークを介して情報を持ってくることができる。それは情報革新だったのだ。

しかし、ほとんどの人はその意味が理解できない。「青い文字をクリックしたらページが変わった」くらいの認識でしか持てないのである。

つまり、パラダイムシフトを引き起こす現象が生まれても、「これは世の中を変える凄まじいものだ」とすぐに気付く人はそれほどいない。

現に、多くの技術者はインターネットというパラダイムシフトが起きても、スタンドアローンのプログラムからすぐにインターネットのプログラムに転向したわけではない。

しかし、当時のマイクロソフトの会長だったビル・ゲイツは、それが凄まじい社会変革を起こすことに気付き、マイクロソフトはそこから急激にインターネットの技術をOSの中核に組み込んでいった。

そして、ウィンドウズはインターネットに接続するための重要なOSとなり、IEは当時ポピュラーだったネットスケープというブラウザを蹴散らして、唯一絶対のブラウザと化した。

しかし、2000代の後半から、もうひとつのパラダイムシフトが生まれていた。

それは「スマートフォン」である。次は手の平に収まる小さな携帯機器がパラダイムシフトになると気付いたのがアップルであり、グーグルだったのである。

マイクロソフトは出遅れた。そしてウィンドウズという資産があるが故に守りの体制を余儀なくされ、「スマートフォン」というパラダイムシフトに乗り遅れ、影響力を喪失していった。「盛者必衰」の法則がここに成就した。

しかし、「盛者必衰」の法則は誰にでもやってくる。もし、アップルやグーグルが「次」のパラダイムシフトに乗れなかった場合、スマートフォンのパラダイムシフトに乗れなかったマイクロソフトと同じ目に遭うことになる。

強者であっても容赦なく叩き落とされるのがパラダイムシフトである。強者であってもそれに乗り遅れると捨てられるのだ。企業だけではない。人間もパラダイムシフトに遅れたら社会から簡単に見捨てられる。

次のパラダイムシフトはこの数年のうちに明らかになる。

すでに多くのパラダイムシフトの「芽」が誕生している。それは、ロボットであり、人工知能であり、ドローンである。こういったものが社会を変えていく。

そんな中で、あなたはこのパラダイムシフトした社会についていけるだろうか?



パラダイムシフトはこの数年のうちに明らかになる。すでに多くのパラダイムシフトの「芽」が誕生している。それは、ロボットであり、人工知能であり、ドローンである。時代が変わった時、あなたはパラダイムシフトした社会に乗り移れるだろうか……。

お願い

ダークネスの本文を他サイト(キュレーションメディア、まとめサイト、個人サイトすべて)へ転載する行為は、いかなる理由があっても固くお断りします。