2016-01-07

2016年はロシアを含めた新興国が凄まじい社会不安を起こす


ロシアの苦境はさらに深まっている。絶体絶命の危機であると言ってもいい。

2016年1月7日、ロシアのルーブルは1ドル75ルーブルとなっている。2014年のウクライナ危機の前は1ドル35ルーブルだから、凄まじいルーブル安になっているのが分かる。

ロシアは石油やガス等のエネルギーを輸出することで外貨を稼いできた国だ。

ロシアの輸出の3分の2以上はエネルギーなのだから、ロシア経済は原油価格に連動しているようなものだ。エネルギー価格の下落はロシア経済の沈没なのである。

その石油価格は今や33ドルになっており、場合によっては30ドルを割る可能性も指摘されている。

ロシアがウクライナ問題に介入した2014年の中旬から原油価格はロシアを追い詰めるかのようにどんどん下がり初め、今もまだその流れは変わっていない。

原油価格の下落はブラジルやベネズエラや中東産油国をも追い詰めているのだが、このような反米国家は2016年中に崩壊するとも言われるようになっている。


ロシア人は、自国通貨ルーブルを信用していない


アメリカの調査機関は2014年後半までまで、原油価格は2015年中に80ドルを割り込むのではないかという悠長な話をしていたが、実際には40ドルを割って30ドル台にまで突入した。

2014年の7月まで原油価格は100ドルを超えていた。それが半年もしないうちに55ドルにまで一気呵成に下落していき、ルーブルも破滅的なまでに下落した。

本来であれば世界経済に組み込まれたロシアが変調をきたすとグローバル経済に大きな激震が走る。そのため、国際協調が起きて然るべきだったが、現実に起きたのは逆だ。

ロシアはウクライナ問題でアメリカばかりかユーロ圏の反発まで受けており、これによってロシアは経済制裁を受けて孤立を余儀なくされている。

アメリカの議会はロシア制裁で一致している。この姿勢が変わることは期待できない。アメリカはロシア経済を救済するのではなく、破壊しようとしているのである。

2014年10月、ロシアの中央銀行は、ロシアのインフレ率が、8.3%を超える可能性があることに言及したが、この時点でルーブルは1ドル42ルーブルだった。

現在、そこからさらに暴落しているのだから、インフレ率は8%どころではなくなっている。2016年現在、12%を超えている可能性がある。

ロシア人はこのような苦境はプーチン大統領のせいではなく、欧米のせいだと知っているので今のところプーチン支持には変わりないが、自国通貨ルーブルは信用していない。

だから富裕層から一般人まで必死になって外貨獲得に動き、それが大きなキャピタル・フライト(資産逃避)の動きとなっている。

一般庶民もルーブルを信頼していないので、ありったけのルーブルを高級車に変えて、それで資産保全をしようとしている。そのため皮肉なことにロシアでは今、高級車が売れている。

さらに暴落する原油価格と追い詰められる産油国


原油安は先進国に恩恵をもたらし、グローバル経済全体を成長させるという楽観的な見方がされていた。1バレル60ドルあたりであれば、確かにそうだったかもしれない。

しかし原油価格はそこからさらに暴落しており、1バレル30ドル台に入った今、そのような楽観的な見通しは一気に消えた。

インフレ、キャピタル・フライト、景気悪化、通貨暴落、企業負債増大と、まるでブレーキの壊れた暴走列車のように地獄に向かってひた走る新興国に、世界は恐怖を感じるようになっている。

実は、追い詰められている産油国はロシアだけではない。ベネズエラも、石油収入の激減で激しいインフレが引き起こされており、今やインフレ率は100%以上である。

2016年1月6日に行われた国会議員選で与党は惨敗し、もうマドゥロ政権は持たない。

さらに、ペトロブラスを抱えたブラジルも、その肝心のペトロブラスが収賄、幹部大量辞任、8兆円を超える負債で、ブラジル経済の危機も秒読みの状態になっている。(ブラジルで、人口の60%を追い詰める経済悪化が止まらない

新興国の時代が輝いていた時代は、もうとっくに終わっており、グローバル経済の牽引役どころか、足を引っ張る存在になりつつあるのだ。

このままでいくと、ロシア・ベネズエラ・ブラジルは危機的な状況に直面し、それが世界経済を激震させる確率の方が高まった。2016年が正念場になりつつある。

どこが最初に崩壊していくのかは分からない。しかし、どこかが崩壊したらその余波はグローバル経済を激震させるのは間違いない。

グローバル経済は、原油安によって成長するのではなく、ロシア・ベネズエラ・ブラジルの崩壊によって危機に陥るのではないかと思われるようになっている。

2016年は、大きな事件が続発する年になるのか?


ロシアは完全に追い詰められている。そのため、ロシアの強硬姿勢はますます強化される可能性が高い。

ここでプーチン大統領が折れると、プーチンはアメリカに屈したという見方になって国内での支持基盤が揺らいでしまうからである。

ロシアはウクライナだけでなく、中東シリアにも軍を出しているが、強硬姿勢を見せ続けないとプーチン支持は潰える。

アメリカは今のところロシアに対する経済制裁を止めるつもりはなく、ロシアもまた欧米に妥協できないとなると、このロシアの苦境はますます深まっていくのは間違いない。

現在、原油安で最も影響を受けているのは石油企業である。

エクソンモービル、シェブロン、コノコ・フィリップス、BP、ペトロ・チャイナ、ロイヤルダッチ・シェル、トタール、ペトロ・ブラス……。

主要プレイヤーのすべての株式は暴落している。

原油安が続き、さらに中国のような巨大な新興国の不振も石油に対する需要を減少させている。これらの問題が解決していない以上、石油企業にはまだまだ下落の余地がある。

問題は、コモディティ価格や石油企業の暴落からリスク資産の逃避が始まって、それが世界中の株式市場の全業界に株安が波及していくことである。

2016年1月4日、そして1月7日と二度に渡ってサーキットブレーカーが発動された上海株式市場を見ると、もう不吉な事態は始まっているかもしれないと感じさせる。

株式市場の下落は不景気を加速させるので、実体経済に悪影響を及ぼす。新興国では、景気の悪化がそのまま暴動や治安悪化や反政府運動に直結する。社会情勢も同時に悪化していく。

2015年に続き、2016年もまた新興国がどこまで悪化していくかを探る憂鬱な年になる可能性が非常に高い。もちろん、新興国の経済悪化は、日本にも大きな影響を受ける。

経済的な問題だけでなく、政治や国家防衛にも大きな圧力が加わるはずだ。2016年は、大きな事件が続発する年になってもおかしくない。


石油価格の下落が、ロシア、ベネズエラ、ブラジルを追い込んでいく。

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