2015-12-21

借金を抱えた組織は猛烈な勢いで傾きズタズタになっていく


アメリカは2015年12月16日に利上げに転じたが、この流れが続くとすれば、ドル建てで借金をしている人の金利負担は増えていくということになる。

利上げの時代が続くとき、最も警戒しなければならないのは過大な借金をしている国家であり、企業である。借金のコストが増えると、借金を止められない組織体は窮地に落ちる。

借金は成長を前借りすることである。あるいは、問題を先送りすることである。

だから、借金を膨らませながら成長を追い求めていた組織体は、その借金のコストが過大になったとき、逆に借金が成長の足かせと化して今までの成長を帳消しにしていく。そして先送りした問題に向き合わなければならなくなる。

歯車が逆回転し始めた時、借金を抱えた組織は猛烈な勢いで傾き、ズタズタになっていく。

アメリカの利上げは今後も継続される傾向が高まっているのだが、本格的な利上げの時代に入っていくと、過大な借金を抱えている組織からボロボロと崩れていくことになる。

そのような時代が始まったということだ。


どこかの段階で成長が止まり、停滞する時期に入る


借金で事業を継続させている組織体の中には、やがて「借金がないと事業が継続できない」状況に陥ることも少なくない。

借金はドラッグと同じで、それを注入すれば劇的に状況が明るくなるように感じる。自分の抱えていた問題が消えたように感じるのだ。

しかし、それはほんの一瞬である。借金とは返済が必要な資金であり、返済期間は待ってくれない。その時期が近づけばすぐに多幸感は消える。

借金で事業を回している人間は、借金の返済額を上回る成長と利益を上げ続けなければならない。

つまり、成長は「必須」であり「絶対」である。現状維持では借金分がマイナスになるので、どうしても成長し続けなければならないのである。

しかし、常識的に考えてみれば分かるが、「成長し続ける」というのはいかなる組織であっても不可能だ。ビジネス環境は変わり、時代は変わり、社会は変わる。

どんな組織体であっても、すべての環境に対応できるわけがなく、どこかの段階で成長が止まり、停滞する時期に入る。

そんなとき、借金の額が多ければ多いほど返済が苦しくなってしまい、場合によっては存続の危機に陥ることになる。成長が望めないのであれば、生き残る方法はただひとつ。さらに借金を積み重ねることである。

そうやって借金の多い組織体は、借金地獄に落ちていき、借金を返すためだけに存続しているような状況になる。

組織体が企業であれば、その資金調達の方法はいくつかあるが、銀行からの借入金や社債などは利子をつけて返さなければならない負債であり、こうした負債を「有利子負債」という。

有利子負債が多い企業というのは、状況が変わればそれが重荷になるのだから、ある種の「もろさ」を抱えているということになる。

ソフトバンクの社債の格付けは、すでにジャンク級


日本企業で途轍もなく巨額で、かつ有利子負債が多い企業として知られているのは、ソフトバンクだ。

ソフトバンクの有利子負債依存度はすでに50%前後となっている。その額も約12兆円規模である。この背景にはアメリカ進出のために携帯電話会社スプリントを買収したことがある。

もともとスプリントは赤字企業であり、さらに競争力が低下しつつある。ソフトバンクはアメリカ進出のためにこの企業を買収したが、経営立て直しがうまくいっていない。

そのために有利子負債が大きな負担になっており、これがソフトバンクの経営の屋台骨を揺るがしている。

ソフトバンクが企業として存続できるかどうかは、2018年までに、このアメリカ通信企業スプリントを立ち直らせられるかどうかにかかっている。

なぜ2018年なのかというと、この時点で巨額の償還や返済が待っているからだ。これを乗り切っても次に2020年の巨額返済が待っている。

これを乗り切るためには事業が黒字であり、継続して成長していなければならない。ソフトバンクはここにきて経営が足踏み状態になっており、それほど安泰であるとは言い難い。

ソフトバンクはすでに金融機関からの巨額借入は不可能であり、今後は社債を乱発することになるが、すでにソフトバンクの長期債格付けはジャンク債の水準である。さらにスプリントに至ってはデフォルトに近い状況になっている。

これはソフトバンクの社債が私たちの考えている以上にリスキーなものであるということを示している。

ソフトバンクが傾くのかどうかは、その経営者の手腕にかかっているのだが、グローバル経済が縮小しているような状況の中で、しかもスプリントのような重荷を抱えてソフトバンクだけが飛躍するはずがない。

この企業の存続の不透明さは、成長の限界と、巨額になった有利子負債によって、さらに膨れ上がっていくことになる。

後ろ向きの借金は、自分を苦しませるだけだ


アメリカの2015年12月16日の利上げは、今までのジャブジャブの金融緩和が終わったということであり、経済環境が完全に今までと変わってしまったということを意味している。

利上げはドル建ての借金が多い国家や企業をボディーブローを受けたボクサーのように体力を消耗させていく。過大な借金をしている組織体は成長するのではなく、停滞・縮小していくことになるのである。

そのため、今後は「過大な借金を抱えている組織体には近づかない」ことが求められる時代となる。成長が止まれば、借金を抱えているところから倒れていく。

中国、ロシア、ブラジル、南アフリカ、トルコのような国家は財政的に大きな打撃を受けることになる。

さらに、中国の企業はドル建ての債務を持っていることが多い。その他、ブラジルの企業、インドの企業、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピン等の企業もドル建て債務が多く、悪影響を受けることが懸念されている。

2016年から、こうした借金を抱えた組織体が次々と苦境に落ちていく年になる。

個人も例外ではない。よほど見返り(成長)がない限り、大きな借金をしている人間から経済環境の悪化に巻き込まれて堕ちていくことになる。

借金というのは、成長が見込まれる時期に行うものであり、経済の停滞や縮小が見込まれるときの借金、すなわち後ろ向きの借金は自分を苦しませるだけのものにしかならない。

すでに敷かれたレールは壊れているのに、つまらない学歴のために学生ローンを抱えて卒業する人間はさらに追い込まれていく。(大学全入時代という言葉に洗脳され、奨学金で奴隷化される

一流企業の社員ですらもリストラされる時代に、過大な住宅ローンを抱えてしまっている人も危険な状況になっていく。

成長のない借金を抱えている人のリスクは、今後私たちが思っている以上に危険なものになっていく。時代の歯車は、逆回転し始めているからだ。



アメリカのFRBイエレン議長はいよいよ2015年12月16日より利上げに転じた。ほんの小さな利上げだったが、これによってリーマン・ショック以降の金融緩和の時代は終止符が打たれ、経済環境は変わった。

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