2015-09-26

米中首脳会談は、亀裂をより深く感じさせたものになった


中国の習近平国家主席は2015年9月22日にアメリカに国賓として訪れている。

しかし、大統領も副大統領も出迎えはなかった。なぜなら、正副大統領はローマ法王の訪米で家族で出迎えており、中国よりもそちらの方が大切だったからだ。

ローマ法王は翌日、カトリック教会でミサを行って、24日にアメリカ上下両院合同会議で演説をした。

その間、中国の習近平はボーイング社の300機を一気買いするという「札束外交」を繰り広げていた。

しかし、この札束外交は投資家に冷笑されていて、上海株式市場も下がり、仕事を取ったはずのボーイング社も一緒に株式が下落するという展開となった。

さらに現地の従業員から自分たちの仕事を奪うなと抗議される始末であった。

その後、習近平は米中企業家座談会に出席し、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットを前にして、中国は巨大な市場なのでぜひ中国に投資して欲しいと訴えた。

習近平の狙いは明らかだった。


ことごとく習近平のメンツをつぶしていたアメリカ


アメリカの多国籍企業に中国に投資させて、それをテコにして中国も成長するというパターンを描いている。

中国はすでに成長が止まってしまっており、ここでアメリカの多国籍企業に見捨てられたら中国経済は完全に崩壊する。そのため、アメリカの多国籍企業を引き寄せる必要があって、習近平は必死になっている。

自分たちが死にそうになっているのを技術的にも経済的にも支えてもらおうとしているわけで、今回の訪米の狙いはまさにそこにある。習近平は他のことは話したくない。経済的なことだけを話したいと思っているのである。

すでに中国とアメリカの政治的な感情は最悪と言ってもいいようなレベルに達している。

9月15日も中国軍機とアメリカ軍の偵察機が急接近するという事件が起きていたが、アメリカの国防総省は、わざわざ習近平が訪米したその日に、これを発表して中国を非難していた。

さらにウォールストリート・ジャーナルは、習近平が訪米するタイミングの9月22日にアメリカの実業家ファン・ギリスという女性がスパイとして逮捕されているという事実を報じた。

これは、アメリカ政府による完全なるメンツつぶしであった。

アメリカは、習近平が訪米する時期に合わせてローマ法王の訪問をぶつけて習近平のメンツをつぶし、習近平の訪問には大統領も副大統領も出迎えないことでメンツをつぶした。

さらに国防総省も習近平の訪米に合わせて中国非難を行ってメンツをつぶし、投資家もボーイングのニュースで中国株もボーイング株も売り飛ばすことで習近平のメンツをつぶした。

その上、メディアでもアメリカ人が逮捕されているのを訪米に合わせて報道した。それ以外でも、アメリカは習近平が望んだ上下両院合同会議で演説も拒否していた。

関与を否定し、相互理解を強調する習近平


一時期はG2を唱えていたバラック・オバマ大統領にしてはひどく冷淡な変わりようだが、それも無理もなかった。

中国はオバマ大統領が弱腰と分かったら、南沙諸島を次々と埋め立てて軍事基地に仕立て上げ、怒濤のハッキング攻撃でアメリカ国家や企業の情報をことごとく盗み取っていた。

中国が国家ぐるみでハッキング攻撃を行っているのは、すでに2010年より周知の事実である。(アメリカと中国のサイバー戦争がいよいよ表沙汰になってきた

2015年6月4日には、アメリカ政府の人事管理局がサイバー攻撃を受けて最大400万人のデータが流出しており、さらに社会保障番号は1800万件も盗まれていた。

さらに習近平が訪米しているその最中2015年9月23日、アメリカ人事管理局はアメリカ人560万人の指紋情報まで盗まれたと発表している。

このすべてに中国政府が関わっているのは明白な事実である。

その上に、中国はAIIB(アジア・インフラ投資銀行)を立ち上げてドル通貨基軸に挑戦しようとしている。ここでオバマ大統領が中国に媚びたら、この大統領は決定的にアメリカから見捨てられる。

習近平とオバマ大統領の会談は2015年9月25日に行われたが、この中では中国のサイバー攻撃が議題に出た。少人数の席でオバマからは非常に強い調子で、サイバー攻撃を止めるようにという議論があったという。

習近平はこれに対して、白々しく「関与を否定」して「戦略的相互信頼を増進し、相互理解を深め、双方の利益と関心事項を尊重すべきだ」と述べたようだ。

サイバー攻撃者が「攻撃はしていないが、相互理解が必要だ」というのだから、馬鹿げた話ではある。

米中首脳会談は、単なる「茶番」でしかなかった


結局、会談後オバマ大統領は「どちらの国も知的財産を盗むサイバー攻撃を実行しないし、支援しないことで合意した」と述べているのだが、それが守られるのかどうかはまったく分からない。

なぜ守られない可能性もあるのかというと、中国企業は体質的に研究開発を地道に行って技術革新を生み出す素地はなく、ただ先端企業の技術をサイバー攻撃や産業スパイで盗み出すことで成り立っているからだ。

こうした手法は、「孫子の兵法」のような詐欺マニュアルを参考に経営をする中国では珍しいことではない。

つまり「盗み、パクリ」が中国企業の企業方針であり、それを国を挙げてやっているのが中国共産党なのである。

ズル、いかさま、パクリ、騙し。何でも使って自分たちを有利にするその方法は「超限戦」と呼ばれており、中国政府の基本となっていると言ってもいい。(中国が「超限戦」という卑劣な犯罪行為を仕掛けてきている

自分たちで新しいものを生み出す才能もなければ気概もない。他人から盗んで手っ取り早く金儲けできればいい。そんな企業の集合体が中国の企業であり、その親玉が中国共産党である。

サイバー攻撃を止めた瞬間、中国企業は立ちゆかなくなってしまう。いくら習近平がサイバー攻撃をしないと言っても、それが守られるかどうかという保証はない。

その他にも南シナ海の領有問題についても話し合われたが、これも話は平行線を辿り、習近平は「南シナ海の島嶼は古来、中国の領土だ」として埋め立てを止めないことを宣言している。

今回の米中首脳会談では何ひとつ明確に問題が解決したものはなく、むしろ相互の意見の平行線が目立つものになった。

共同記者会見でもふたりとも互いに相手の目を合わせることもなく、終始不機嫌な顔で終始していた。絆は切れている。米中首脳会談は「茶番」だったのである。

アメリカと中国の対立は、これから強まっていくばかりだ。もはや米中の蜜月はない。時代が完全に変わってしまったことが明るみに出た。



距離が遠くなったアメリカと中国。アメリカと中国の対立は、これから強まっていくばかりだ。もはや米中の蜜月はない。時代が完全に変わってしまったことが明るみに出た。

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