2015-09-03

中国元の紙くず化。通貨切り下げの次は取引コスト引き上げ


中国が、まずいことになっている。通貨切り下げの後、今度は人民元を他の通貨に変換する場合の取引コストを引き上げに入った。

中国は2013年あたりから経済に変調をきたし、2015年に入ってからは輸出の大幅減少に見舞われている。

そのため輸出を促進する目的で、いきなり2015年8月11日から人民元切り下げに動いた。

これは、中国の人民元がいきなり当局の意向ひとつで価値が減退したことを意味している。

最終的に4.7%の引き下げとなったが「これで終わり」なのかどうかは判然としない。中国政府なら、「やりたいようにやる」のは分かっているので、何があっても不思議ではない。

そのため、中国では「人民元を持っていたら資産が暴落する」と恐れをなした投資家や企業家が、人民元を売ってドルや他の通貨に変換する動きに入ったようだ。

いわゆる資産逃避(キャピタル・フライト)が中国で起きているのである。


なりふり構っていられない惨めな姿がここにある


そして、それを見た中国政府はどうしたか。

通貨切り下げから約2週間後の2015年9月2日、中国政府は今度は「取引コスト引き上げ」を10月15日から施行するといきなり報じたのである。

中国国内で営業している銀行が「為替予約」の取引をする場合、元本の20%を中央銀行に納めなければならない。

しかも「ドル建て」でそうしなければならない。そのドルは1年間引き出すことができず、しかも利息はつかない。

分かりやすく言うと、「人民元を売って他の通貨を買う」という取引に20%の取引コストがかかってくるということだ。

これによって中国政府は人民元を売って海外に資金が逃げていく流れを「力わざ」で食い止めるつもりでいる。いったい中国政府は何をしたいのか。そのメッセージは明らかだ。「人民元を売るな」と言っているのである。

ここで人民元をとめどなく売り飛ばされ続けたら、人民元の価値は政府が意図している以上に価値を失っていく。中国からドルが消え、人民元の裏付けがなくなる。

自分で人民元を切り下げておいて、中国から資金が逃げていく動きが大きくなると、今度は「人民元から逃さない」と言うのである。

こうした中国政府の動きは、市場に翻弄されてコントロールを失っていることを意味している。

不動産価格が2014年に頭打ちになったら株式バブルを2015年に作り出し、それが破裂したら慌てて株式銘柄の半分を取引停止にしする。

輸出の不振が発表されたら突如として通貨切り下げに走り、資産逃避(キャピタル・フライト)が起きたら今度は取引コストを20%も引き上げて制限に走る。

もはや経済崩壊を少しでも先延ばしするために、なりふり構っていられない惨めな姿がここにある。

中国元は、紙くずに向かって突き進んでいる


中国政府が、取引コストを引き上げて、人民元を他の通貨に交換させないとする動きは、人民元の価値を守ることにつながるのだろうか。

いや、むしろ「中国政府は何をするのか分からない」という不信感を増大させて、人民元の価値は消失していく可能性の方が高い。

中国政府がそこまでするというのは、それだけ中国政府が追い込まれているという証拠でもある。

中国は常に市況統計を誤魔化して成長を演出してきた国だが、もはや数字の粉飾すらもできないほど経済悪化に見舞われているのがバレてしまった。

その上、株式バブルが崩壊して中国政府は市場を買い支えるために100兆円以上もの金を注ぎ込んだが、その金も無に帰してしまった。

中国は3兆7300億ドルの外貨準備金があるということになっているのだが、本当はすでに外貨準備金が枯渇しているのではないかとも言われている。

今回の取引コスト引き上げでは中央銀行に「ドル建て」で20%を収めなければならないという通告を出しているが、「ドル」が中国から消えているので、必死でドル集めをしているという見方もできる。

金がなくなった中国は米国債も市場で売っている。株式市場を買い支えるために、米国債を売り飛ばして金を作っていたのである。

こうした動きで人民元の担保がなくなると、ますます人民元は価値を喪失し、売られやすくなる。

こうした中国政府の強引でなりふり構わない動きは、市場のゆがみを生み出す元凶になるわけで、すべては人民元の価値喪失に結びつくと言ってもいい。

人民元は国際通貨に向かっているのではない。紙くずに向かっているのである。

中国政府のやっていることは、目先の対処だけだ


中国は輸出が落ち込んでいるから、人民元の切り下げに動いたはずだった。ところが、資産逃避が起きているのを見ると今度は為替予約の取引コストを20%も上昇させる。

「通貨の出入り」に制限をかければ、輸出も輸入もさらに減少してしまうのは自明の理だ。

この取引コストの上昇は、輸出に大きな悪影響を及ぼすので、中国政府のやっていることは矛盾している。

中国国内で稼いだ外資が、その金を自国に持って帰ろうとすると20%も中国の中央銀行の「捕虜」になる。当然、外資は中国から引く。

中国企業が輸入品の資材を仕入れるために外貨に変換しようとすると、その瞬間にまた20%を取られる。

すると仕入れ資金が減る。当然、それは仕入れ品や輸出品の価格に転嫁される。最終的に中国製品は売れなくなり、輸出が落ち込んでいく。

中国政府のやっていることは、目先の対処だけであり、長期的に見ると、ますます中国経済を追い込む元凶になる。それが分かっていても、目先の対処を優先せざるを得ないのが中国の置かれている現状である。

本来であれば、中国がしなければならないのは、中国を開かれた国にすることである。

通貨の動きを自由化させ、経済の動きを自由化させ、国を民主化することによって技術革新を促し、新しい時代を築き上げるべきだったのだ。

しかし、中国は人民を弾圧し、情報を封鎖し、通貨や経済の自由を奪い、技術は周辺国から盗み、それによって民主化の芽をすべてつぶしてきた。

民主化した途端に、実は人民に支持されていない中国共産党という一党独裁の体制が崩壊してしまうからだ。

そんな中で中国の経済成長は崩壊し、人民元は急激に価値を喪失させている。中国政府は今後もあがき続けるが、人民元の紙くず化はいよいよ始まっていると見ていい。



中国の経済成長は崩壊し、人民元は急激に価値を喪失させている。人民元の紙くず化は、いよいよ始まっている。

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