2015-08-29

貧困が遺伝する。すでに日本は危険な時代に入ってしまった


2015年8月28日、安倍首相は子供の貧困を防ぐための政策を年内にまとめる方針を表明している。

日本は結婚そのものが減っているのだが、せっかく結婚しても3組に1組は離婚する国になっている。そして、シングルマザーが経済苦境に追い込まれ、「子供の貧困」が深刻化してしまっている。

子供の6人に1人は貧困であると言われ、給食費が払えない子供も今や珍しい存在ではなくなった。また、ひとり親が増えたことによって放置児童も増え、夜中に外をうろついて事件に巻き込まれる子供も出てきている。

虐待も増え、児童虐待相談もうなぎ登りに増えている。

貧困から派生する問題が日本で深刻化しており、そのしわ寄せが子供たちに及び、もはや政府も座視することができない状況にまで来ているのだ。

子供の貧困を放置すると将来の日本に大きな問題を起こす理由のひとつとして、「貧困の連鎖」の問題がある。貧困に生まれ育った子供は貧困から抜け出せず、あたかも「貧困が遺伝する」ような様相を見せるのだ。


貧困児童は、一生貧困から抜け出せない可能性


普通、遺伝と言えば容姿が遺伝するとか、性格が遺伝するとか、そういった肉体的・精神的なものを指すことが多い。

だから、「貧困が遺伝する」という言い方が広がっていることに戸惑いを覚える人も多いかも知れない。貧困とは社会現象だから、遺伝とは結びつかない。それなのに、遺伝と結びつけられていることに困惑を覚える。

「貧困が遺伝する」という言葉には、実は2つの意味が含まれている。

(1)貧困者の子供は自動的に貧困生活になる。
(2)貧困者の子供は一生貧困のままで終わる。

ここで重要なのは、(2)の部分だ。

貧しい家庭に生まれた子供が貧しい生活をするのは当たり前の現象だが、問題は彼らが一生その世界から抜け出せない可能性が高いことである。

なぜ、貧困の中で生まれた子供たちは、そこから抜け出す可能性が低いのか。

ここで重要になってくるのが「教育」である。複雑化し、専門的になった現代社会では、そこで働くためには何にしても一定レベルの教育が必要となる。

教育レベルは高ければ高いほど良い。なぜなら、現代社会が高度な知識・技術・技能を求めているからだ。

また、最初に教育を持っているのかどうかを知るために出身大学や所持資格を見るので、やはりそこでも「教育の履歴」が重要になって来る。

そういった教育を受けるためには本人の資質も重要なのだが、その資質を伸ばすための「教育費」も重要になって来る。

その「教育費」が問題なのだ。

学歴を向上させるような雰囲気になっていない


金持ちの子供が比較的「高学歴になりやすい」のは、教育費に何の問題もなく、ありとあらゆる教育サポートが為されるからだ。資質がなくても資質を伸ばす環境が用意される。

財力があれば、場合によっては学歴も資格も「カネで買える」ようになり、中身はともかく表面的には学歴や資格で「飾る」ことすらも可能になっていく。

しかし、貧困層は日々の生活をやりくりすることに精一杯で、子供の教育に投資することができない。また、貧困層の環境も、学歴を向上させるような雰囲気になっていないことも多い。

国外では貧困層の子供はみんな働きに出ており、教育にカネや時間をかけるのは無駄だという意識もある。また、子供たちも最初から上を見るのをあきらめる。

だから、貧困層では子供にいくら資質があっても、その資質は眠ったままになってしまうことが多い。

もちろん、すべての子供がそうなるわけではない。貧困家庭に生まれながらも凄まじい知性と能力で成り上がっていく希有な子供たちもいる。そういう子供たちを、私たちは痛切に求めている。

しかし、それは小さな例外でしかなく、大部分は貧困家庭で生まれると、貧困に飲まれて一生が終わってしまう。教育どころではなく、その日を生きるのに精一杯なのである。

教育も学歴なく、資質も伸ばされないで放置され、その日暮らしのための仕事をするしかないのであれば、いつまで経っても這い上がることができない。

つまり、貧困者の子供は自動的に貧困生活になる。そして、貧困者の子供は一生貧困のままで終わる。これを指して、「貧困は遺伝する」と言われているのである。

貧困層の中で最もダメージが大きいのが母子家庭


日本では識字率がほぼ100%に近い。非常に教育の行き届いた社会だが、逆に日本では字が読めるくらいでは何の自慢にもならず、もっと高度な教育が必要になる。

実は子供の成績と親の年収は比例するというのは、すでに文部科学省の全国学力調査の結果から明らかにされている。

一番分かりやすいのは、保護者の収入が多ければ多いほど、子供の大学進学率が高くなる現象だろう。

単純に、大学に行くにもカネがかかり、貧困層の家庭はそれを用意できない。それが、長い目で見ると子供たちの収入格差につながっていく。

貧困層の中で最もダメージが大きいのは母子家庭だ。基本的に母子家庭が追い詰められるのは、3つの要因がある。

(1)夫からのサポートがなくなる。
(2)子供がいるので働けないか、働きづらい。
(3)それなのに子供のために出費がかさむ。

母親が苦しんでいる姿を見て育ち、子供たちも無邪気に向学心だけを伸ばす気にはなれず、早めの独立を考えるし、そういったプレッシャーを受けるだろう。

早めに教育から抜け出すというのは、そこで学歴が打ち切られるということでもある。その時点で「貧困が遺伝する」危険性が高まってしまう。

ユダヤ人は貧困から脱するには何が何でも教育が必要だと流浪の人生の中で痛感していたので、一家全員が飢えても子供にだけは教育を施し続けた。

それほど教育の重要性を認識していたことになる。

日本でも貧困層が拡大している今、貧困と教育は切実な問題になっていく。今までは諸外国の問題だったかもしれないが、今ではもう日本の問題になっている。

日本政府は急がなければならない。さもなくば、手遅れになってしまう。このままでは貧困が遺伝して、浮かび上がれない子供たちが拡大していく。



単純に、大学に行くにもカネがかかり、貧困層の家庭はそれを用意できない。それが、長い目で見ると子供たちの収入格差につながっていく。安倍首相は子供の貧困を防ぐための政策を年内にまとめる方針を表明しているが、日本の未来のためにも急がなければならない問題だ。

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