2015-08-17

あなたが孤立化することは、なぜ企業には良いことなのか?


現代社会の中では、人はどんどん孤立する方向に向かって突き進んでいく。それには理由がある。弱肉強食の資本主義の中では「人間を孤立させた方が得する」からだ。

ほとんどの企業は国民が大家族になってくれるよりも、核家族になってくれた方が得をする。

いや、核家族になるよりも、完全にひとりひとりがバラバラになってくれた方がもっと得をする。

なぜか。

たとえば冷蔵庫やクーラーを売るとする。大家族であればひとつの冷蔵庫、ひとつのクーラーしか売れない。しかし、核家族になれば、家族ごとに冷蔵庫やクーラーが売れる。

その家族さえも解体されてバラバラになってくれると、個人個人が違うところに住み、それぞれ冷蔵庫やクーラーを買うことになる。

大家族10人が1つの冷蔵庫を共有するよりも、ひとりひとりがバラバラになってくれて、それぞれが冷蔵庫やクーラーを10台買ってくれた方が企業にとっては都合がいい。


あなたが孤立化すればするほど企業は儲かる


10人の大家族が各1人に解体されると、単純に言うと企業は10倍の商機が生まれるのである。電子レンジ、オーブン、調理道具、テレビ、テーブル、家具、数々の雑貨。人間がバラバラになればなるほど企業は儲かる。

こうしたものを売りつける企業は、間違いなく家族が解体されていく方向を望むだろう。

不動産産業も家族が解体されて、人間が孤立化してくれた方が儲かる。家族がバラバラになってくれれば、そのひとりひとりが散らばって違うところに住まいを借りて、家賃を払ってくれるからである。

現在、日本の都会部に広がっているのは、シェアハウスという「共同住まい」である。

シェアハウスは一見するとバラバラの人間を寄せ集めたものだから、孤立化ではないように見える。

しかし、実態はバラバラの人間を寄せ集めているだけなので、ひとりひとりが家賃を払う仕組みになっている。一緒に暮らしていても孤立化した集団だから、個人個人から家賃を徴収できるのだ。

シェアハウスのオーナーは、それこそ家族がバラバラになってくれることを望むだろう。

家族がバラバラになるというのは、資本主義的に見ると商機が増えるという意味で望ましい。だから、資本主義が優先されている現代社会においては、無意識の中で人間を孤立させる方向に向かっていくのである。

社会の暗部に潜む権力者が、そのようになるように裏側から陰謀を仕掛けたのだろうか。それとも、資本主義が「自らが儲かるため」に、自発的にそのように動くようになっていったのだろうか。

恐らく資本主義が自発的に、人間を孤立化する方向で動いているのだと思われる。それぞれの企業が儲かる方向に世の中のあり方を変えようとした結果、自然と孤立化が誘発されていったのだ。

企業は、家族も解体されて個人が孤立してくれた方が儲かるので、それが資本主義社会の総意になった。

あなたが孤立化すればするほど企業は儲かるのだ。ならば、企業は孤立化させる方向にあなたの意識を誘導しても、何ら不思議なことではない。

「家族」さえも成り立たなくなるほど孤立化した


かつて大家族が当たり前だった社会は、いつしか核家族が当たり前になった。そして現代ではその核家族すらも分解されて、「ひとり」が当たり前になろうとしている。

ひとりで暮らし、ひとりで生きる。こうした生き方をしている人たちを「単独世帯」という。

総務省統計局の国勢調査によると、日本ではすでに「単独世帯」が30%を超えており、「夫婦と子供からなる世帯」や「夫婦のみの世帯」よりも多い。

今の日本はもう「家族」という形さえも成り立たなくなるほど孤立化している。そのため、最近はあちこちの集合住宅で「孤独死」が当たり前になってきている。

高齢者は社会から完全に孤立した。いや、孤独死するのは高齢者だけではない。若年層も単独世帯が多いので、ひとり暮らしのアパートやマンションで何かがあると孤独死してしまう。

中には人知れず死んで白骨化しても気付かないほど、孤立してしまっている人も珍しくない。

インターネットの世界では「シェアする」「共有する」「つながる」という言葉が大流行しており、孤立よりも結びつきが重視されている。

ところが、リアルな社会では「別れる」「孤立する」「断絶する」が流行しているのだ。

ほとんどの人は、自分が「ひとり」を選んだのは、自分の意思であって資本主義という社会に押しつけられたものではないと考えている。

しかし資本主義社会は「家族がバラバラになった方が儲かるから、お前たちはバラバラになれ」と命ずるわけではない。資本主義社会は、私たちに「素晴らしいライフスタイルの提案」をしながら、孤立化する方向に誘導するのである。

自分らしさを大切にするというのは否定できない


家族をバラバラに解体するために、資本主義はどんな「素晴らしいライフスタイル」を提案してくれたのか。

たとえば資本主義は、私たちに「個性」と「自由」を尊重するというライフスタイルを提案してくれた。「自分らしさ」が何よりも大切であると強く私たちに訴えてくれた。

なるほど、それは悪いことではない。人はみんな個性を持っている。自分らしさを大切にするというのは、誰も否定できない考え方である。

ところが、その「個性」や「自由」や「自分らしさ」こそが他人と自分をバラバラにする。

それが大切になると、家族と一緒にいることもできなくなる。家族の個性と自分の個性はまったく違うものだからだ。

自分らしさの方が大切だと過剰なまでに思うようになると、家族の価値観ともズレはじめ、バラバラにならざるを得ない。個人個人が「個性」を発揮して家族内で衝突し、「自由」を発揮して家族から外れていく。

家族は「個性」と「自由」と「自分らしさ」によって、自然とバラバラになっていく。

「自由」というのは、離婚する自由も含まれる。それが良いか悪いかは別にして、現代は誰でも自分らしさを追求できない場合は、家族を「捨てる自由」があるのだ。

かつて「子はかすがい」と言われていたが、今では子供がいても離婚は容易だ。だから、どんどん家族は解体しており、シングルマザーも珍しい存在ではなくなっている。3組に1組は離婚する。

熟年離婚も増えた。配偶者と一緒にいると「自分らしく」あることができないからだ。

かくして私たちは自分らしさを追求できるようになった代わりに「孤独」を強いられるようになった。そして、企業は巨額の儲けを計上できるようになり、個人は貯金を失い、企業は内部留保をどんどん増やす社会が出現した。

弱肉強食の資本主義がそういった社会を生み出したのだ。



資本主義社会は「家族がバラバラになった方が儲かるから、お前たちはバラバラになれ」と命ずるわけではない。資本主義社会は、私たちに「素晴らしいライフスタイルの提案」をしながら、孤立化する方向に誘導するのである。

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