2015-06-27

この危険すぎる弱肉強食の資本主義で、誰が犠牲になるのか


現在の資本主義には永続性がない。なぜなら、資本が生み出す配当や複利は、労働賃金を超越し、いったん生まれた冨の集中化は極度なまでの格差を生み出すからだ。

その格差はますます広がっていき、膨大な底辺が極貧に落ちる。そうすると、どうなるのか。

最後には、上位にいる人間も収奪する機会がなくなる。自分たちが冨を独占してしまったのだから、物理的に収奪できなくなるのだ。つまり、資本主義が成り立たなくなっていく。

10年、20年のうちに冨の集中はさらに進む。あと30年もすると、冨の一極集中が完成する。

恐らくそこまで行くまでに、貧困層の怒りと絶望が巨大な社会変革を生み出して富裕層を血祭りに上げるような事件も起きるだろう。

結論がどうなのかは分からないが、いずれにしても現在の弱肉強食の資本主義は成り立たなくなる日が必ず来る。全世界の冨を0.01%の超富裕層がすべて手にしたとき、資本主義は終わらざるを得ない。


食べて行けない人たちが大量に出現した理由は?


私たちはまだ、けなげに働いたら毎月食べていける。何でもいいから真面目に働いたら暮らせる。それは「当たり前」だと、ほんの10年ほどまで私たちは思っていた。

しかし、この10年の間に「ワーキング・プア」という言葉が一般化したことからも分かるように、働いても働いても食べて行けない人たちが大量に出現するようになった。

なぜか。企業はコスト削減のために社員をどんどん切り捨て、派遣労働者には必要最小限の賃金しか与えないようになったからだ。

そうやってコスト削減して手に入れた利益は会社に内部留保されるか、もしくは株主に配当として配られる。それが徹底化されている。

内部留保や配当は会社の「利益」が元になるので、今後の経営はいかに「利益」を出すかが唯一無二の指標となっていく。これがROE経営と呼ばれるものである。

ROEとは、「株主資本利益率(Return On Equity)」を意味している。その会社が株主資本を使っていくら儲けたかを示す指標である。

アメリカの多国籍企業はとっくの昔からROE重視であり、会社が株主のためにあるという考え方は徹底化されていた。アメリカの資本主義が全世界のスタンダードになるわけだから、今後は日本企業もよりグローバル化していく中で、ROE重視の経営になっていく。

つまり、現在の資本主義社会は「株主至上主義=ROE主義」の中で成り立っていき、優良企業の株主にならないと生きていけない社会となったのだ。

労働者? 労働者とは、ROE経営の中では単なる「コスト」である。コストは常に削減される。つまり、労働者は繰り返し給料削減やリストラの対象になる。

弱肉強食の資本主義はROE経営が生み出す


弱肉強食の資本主義はROE経営が生み出す。ROE経営はグローバル化した資本主義社会の「中核」となるものである。今後の資本主義は、さらに「株主重視」に傾倒していく。

「株主重視」になれば、当然のことながら「労働者軽視」になっていく。

株主は自分たちの取り分をさらに増やすために、「もっと利益を、もっとコスト削減を」と経営者に強く迫る。そのため、経営者はコストの中で最も大きな部分である「人件費」の削減を恒常的に行うようになるのだ。

それが、労働条件の悪化を加速させていき、ワーキング・プアを大量に生み出す元凶となる。

必死で働いるのに食べていけないという状況になっても、最初は往々にして「本人のせい」にされる。なぜなら、社会は全員が一緒に貧困に落ちるのではなく、まだらに落ちていくからだ。

若者、高齢者、障害者、女性……。社会の弱い部分からポトリ、ポトリと貧困に落ちていく。

しかしその時点では、まだ働いて食べていける人がたくさんいるので、「本人の生き方、働き方」が悪いようにしか見えない。だから、自己責任論がずっと続く。

しかし、ワーキング・プアの波が弱者ではなかった30代40代の男性にまで広がったとき、はじめて人々は「これは個人が悪いのではない、社会的構造だったのだ」と気付いて、愕然とするのだ。

この時点で、労働者は捨てられる運命であると気付いても遅い。もう手遅れだ。

日本でも株主が報われて、労働者が貧困に堕ちる


日本も終身雇用・年功序列が霧散霧消して労働者は使い捨てとなった。そして、企業はROE重視の経営を取り入れるようになり、経営は「株主のため」にされるようになっている。

それがますますコスト削減の締め付けの強化につながっていき、労働者はさらに「働いても食べていけない」という絶望のどん底に落とされる。

しかし、株主は報われる。彼らはさらに利益の分け前を要求し、経営者に株価の上昇と配当の増額を求め、それを実現させる力があるからだ。

今までの日本企業は社員を終身雇用で雇うためにコスト削減には消極的で、必然的にROEが低い経営を余儀なくされていた。コストが増大であると分かっていても社員を守っていたのだ。

しかし今後は、日本企業がグローバル化していく中で、外国人の株主、外国人の経営者、外国企業との提携が当たり前になっていき、ROE重視の経営に変化していく。

日本企業は、多国籍企業になるか、多国籍企業に飲まれる。

つまり、日本でも株主が報われて、労働者が貧困化する社会がますます先鋭的になっていく。

今、私たちは「格差が広がる社会」であると認識している。これは始まったばかりである。これからも、もっと格差は広がっていく。本番はこれからだ。まだ今は地獄の入口にいる。

企業の「利益」にアクセスできない人間、分かりやすく言えば「株主ではない人間」は、弱肉強食の資本主義からは何も得ることができない。

単なる労働者にしか過ぎない人間は、コスト削減の対象でしかなく、壮絶なまでの貧困状態に突き落とされてしまう。

もっとも、そんないびつな社会が永続できるわけがないので、数十年後には上層部にいる人間も収奪する機会がなくなってこのシステムは崩壊する。

しかし、その数十年が私たちの人生になるのだから、私たちはこの「弱肉強食の資本主義」の正体をよく知っておかなければならない。

簡単に言えば、労働の価値が下がり、ますます働く者が報われない社会になる。



企業の「利益」にアクセスできない人間、分かりやすく言えば「株主ではない人間」は、弱肉強食の資本主義からは何も得ることができない。

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