期間限定・数量限定キャンペーン

2015-06-01

労働と賃金が当てにならない時代に、私たちは放り込まれた


日本政府はデフレから脱却し、インフレにすると決めた。だから、遅かれ早かれそのようになる。インフレになれば、それ相応に実質賃金が上がらないと追い込まれる人が増える。

生活保護受給者は210万人を超えているが、今後、ますます多くの日本人が生活に困窮していくことになる。

消費税が3%上げられて8%になったのは、2014年4月1日からだ。円安も重なって物価は少しずつ上がっていき、もともと非正規雇用で下がっていた実質賃金は、ますます上がらなくなってしまった。

厚生労働省は2015年5月1日、毎月勤労統計調査で実質賃金が、前年比2.6%減だったことを報告している。これによって23ヶ月連続で実質賃金はマイナスになった。

実質賃金とは、もらった額から物価変動の影響を取り除いたものである。給料が上がっても、物価がそれ以上に上がっていると、実質賃金は下がったということになる。

厚生労働省は実質賃金が23ヶ月連続でマイナスになっていると報じているのは、そういう意味がある。


賃金の上昇よりも物価の上昇が先に来る


賃金は物価が上がった後の一番最後に引き上げられるものだ。したがって、インフレ期には実質賃金は「必ず下がる」仕組みになっている。

実質賃金が減少どころか、貯蓄ゼロの世代も増えている。結婚していない成人の40%は貯蓄しているというのは、すなわちデフレ脱却に成功しているという言い方もできなくはない。

しかし、賃金の上昇よりも物価の上昇が先に来るので、デフレ脱却時は非常にデリケートな時期だ。株式や不動産という「資産」を持っていない人は、マイナスばかりを浴びせられる。

実質賃金が下がったらどうなるのか。もちろん、影響を直接かぶった人々は消費を控える。

総務省は2015年5月29日、「家計調査報告(2人以上の世帯、速報)」を発表しているが、支出はやはり減少していて「13カ月連続マイナス」となっている。

2014年4月に消費税が8%になってから、日本人は明らかに消費を抑えているということだ。分かりやすく言えば、「モノを買わない」ことで日本人は実質賃金下落に耐えている。

消費が上がれば企業が活性化する。下がれば企業は不景気に陥る。アベノミクスは日本企業を活性化させるための方策であったのだが、家計消費支出が13ヶ月連続マイナスなのだから、2014年の消費税8%は明らかに失策であった。

不気味なのは、2013年から家計貯蓄率もまたマイナスに転じていることである。日本人は堅実で貯蓄率が高いと言われていた。日本人もそれを自慢していたはずだ。

ところが、その日本人がいよいよ貯金を取り崩して生きる時代となっている。明らかに今までの日本とは違う世界に2013年から入ってきている。

貯金などしている余裕などまったくない


家計貯蓄率は今後も下がり続ける可能性が高い。

日本の少子高齢化はまったく解決される気配もなく、これこそが日本の将来を占う最重要課題であるにも関わらず、完全に無視され続けているからだ。

高齢者は退職すると、貯金を取り崩しながら生きていく。さらに非正規雇用の時代に入って若年層も貯金を積み重ねることができない時代になる。

貯蓄をするどころか、貯蓄ゼロの世帯も増えている。結婚していない成人の40%は貯蓄がない。全世帯で見ても25%から30%が貯蓄ゼロである。

日本人は働かないで遊び呆けているからこのようになったわけではない。ブラック企業で過労死する人たちの姿を見ても分かる通り、日本人の勤勉性は依然として変わっていない。

変わったのは、企業が非正規雇用を増やして正社員を減らしていることだ。非正規雇用は今や労働者の4割に達している。その平均年収は200万以下である。

200万円以下で生活しろと言われたら、もはや貯金などしている余裕などまったくない。貯金をするどころか、貯金を取り崩して生きるしかない。

現在、日本は久しぶりに124円台の円安に乗っているが、ドルや外国株式を持っている日本人など数えるほどしかいない。つまり、円安で恩恵を受けている人間はあまりいない。

円安は輸入のコストを上げるので、ますます物価上昇を呼ぶので、実質賃金も、消費も、貯蓄率も長期で見ると下がって行く一方になる。

これは、「労働」と「賃金」が当てにならない時代になったと考えなければならない。いつの間にか、そんな世界に私たちは放り込まれている。

労働が金になるのではない。金融資産が金になる


株式を持っている日本人は、アベノミクスの恩恵を充分に享受しているので、普通の日本人とは別の光景が広がっている。

アベノミクスの本質は、「円安・株高」なのだから、経済の動向を見ていた人は、ほとんどの人が安倍政権が成立する前後から猛烈にドルと株式を買って資産保全した。

円は80円から120円に、株価は日経平均8000円台から2万円台になったのだから、「濡れ手に粟の大儲け」だった人も多い。資産の大きかった人であればあるほど、ドル高円安と株高の恩恵を受けたことになる。

実はこの「資産インフレ」はアベノミクスだけの特徴ではなく、現在の「弱肉強食の資本主義」全体の特徴であると言える。すでに現代社会は労働市場に金が流れているのではなく、金融市場の方に金が流れている。

労働が金になるのではない。金融資産が金になる。だから、現代社会で生き残るためには金融の知識を得て金融マーケットに参加するのは必須である。

平たく言えば、長期保有できる優良企業の株式を持っていなければならない。

どこかのタイミングで、ほどほどの値段でそれを手に入れていなかければならない。それができるかできないかで、うまく生き残れるかどうかが決まってくる。

どのみち、労働によってもらえる賃金は削られる。削られたらその分はコスト削減の成果として企業に内部留保されるか、配当として株主に吐き出される。

内部留保された金が増えると企業価値が増して、結果として株価が上がり、株主が潤う。配当として配られても、同じく株主が潤う。

削り取られたあなたの賃金は「会社」が吸い上げる。その会社から「株主」が吸い上げる。格差はそうやって極限まで開いて行く。日本も、そんな社会に組み入れられているので、格差が果てしなく広がっている。





お願い

ダークネスの本文を他サイト(キュレーションメディア、まとめサイト、個人サイトすべて)へ転載する行為は、いかなる理由があっても固くお断りします。