2015-05-13

現代文明は石油をがぶ飲みし、石油企業に大金を払い続ける


1バレル100ドル前後で推移していたWTI原油先物は、2014年7月に入ってからつるべ落としのように落ちていき、2015年に入ってからはとうとう40ドル台に落ちていった。

たった半年で原油は半値以下に転がり落ちたことになる。

これによって、石油に依存していたロシア、ベネズエラ、ブラジルといった国家は軒並み苦境に落ちていき、今や国家存続の危機をも噂されるようになっている。

さらにアメリカのシェールガス企業も原油安に巻き込まれ、倒産する企業も出てきた。

エネルギーに関連した企業の多くは暴落し、原油価格が60ドルに反発した今もほとんどの企業が減収減益に見舞われ、大赤字を計上してさらに株価下落に見舞われた企業が続出している。

原油価格の下落の理由はいくつか分析されている。新興国の景気悪化、供給過多、OPECの供給過剰。そして、原油価格を巡る国際政治の陰謀も囁かれている。


下落の理由や陰謀論など、まったくどうでもいい


石油企業はどこまで減収減益が続くのか分からない。何しろ、原油価格がいつ100ドルに戻るのか分からないし、もう戻らないと分析する人もいる。いつか戻るにしても、果てしなく長い冬の時代に入るとも言われている。

誰もが石油企業に悲観的になっており、しばらく石油に注目する投資家はいないはずだ。株価は下落し、石油企業は見捨てられた。

しかし、私は逆にここ半年でアメリカの石油企業をずっと買い続けている。今持っている金は1円残らず、石油企業に注ぎ込んでもいいと思うくらいの勢いで石油企業を買い続けている。

原油価格の下落の理由や、陰謀論や、いつ原油価格が復活するのかは、まったく大した問題ではない。問題は、世界有数の石油企業が軒並み安くなっているということだけだ。

アメリカの大手石油企業であるエクソンモービルやシェブロンは、世界有数の時価総額と現金を保有した「超」が付く優良多国籍企業である。

そんな企業の株式がバーゲンセールの価格で売っているのだから、原油価格がいつ戻るのか、いつ株価が戻るのかなど大した問題ではない。もっと下がるのであれば、もっと買う。それだけだ。

石油は現代文明にとって麻薬のようなものだ。それが切れれば「もっと石油を、もっと石油を」と禁断症状にのたうち回るしかない。現代文明は石油を飲み続けるしか生きていけない。

禁断症状を治すために石油に変わる技術革新を人類は模索しているが、化石燃料に変わる技術革新は、そう簡単に実現しない。今後も石油消費は間違いなく増えていく。

石油がなければ、日本も一瞬にして終わる


世間は「もう石油の時代ではない」と思っている。しかし、そう思わされているだけだ。

・技術革新に失敗すれば、石油消費が増える。
・人口が増え続けると、石油消費が増える。
・人口を減らす戦争をしても、石油消費が増える。
・問題を放置しても、石油消費が増える。

何にしても石油の消費はこれからも増え続ける。石油が取れなくなったら、その時点で現代文明は終わり、「文明の断絶」が引き起こされることになるだろう。人類の文明は、今まで何度も終わっている。(人類は、今まで何度も天変地異で文明の断絶を経験している

人類は石油から逃れられないし、遠い将来に石油が大高騰したら、やはり「石油の時代が続いている」ことを世界は嫌でも思い知ることになる。

日本もまた石油と無縁ではない。そして、日本の経済もまた石油によって振り回されてきた。石油が入ってこなければ、現在の日本は一瞬にして終わるのだ。

1945年に敗戦を迎えた日本が朝鮮戦争で「特需」を享受して、その後の高度成長を成し遂げたのはよく知られている。では、その高度成長を終わらせた出来事が何であったのか。

それは1973年10月に起きた「第四次中東戦争」だ。

第三次中東戦争ではイスラエルの圧倒的な軍事作戦の前に為す術もなく敗退した中東アラブ諸国が、その復讐のために先制攻撃を行ったのがこの戦争だった。

日本から遠いこの戦争は国際政治に疎い日本人にとって何の関心もなかっただろう。

しかし、OPEC(石油輸出国機構)は、親イスラエルの姿勢を崩さない先進国に対する対抗措置として、原油の公示価格を1バレル3ドルから11.56ドルへと引き上げ決議をした。

その瞬間、日本は高騰する原油価格にパニックに襲われることになった。これがいわゆる第一次オイルショックだった。

中東の安価な石油に依存していた日本はパニックに襲われ、1974年には狂乱物価に見舞われた。そして、この1974年にはじめてマイナス成長になったのが記録されている。つまり、高度成長がここで腰が折られたのである。

現代文明は石油にどっぷりと依存して抜けられない


石油がなければ文明は死ぬ。文明は石油を必要としており、それはこれからも変わらない。人口はまだまだ増え続け、人口が増えるとさらに石油が必要となる。

2011年、世界の人口は70億になった。2015年現在、世界人口は72億人を超えたと言われている。

あと10年も経ったら、人口は76億人を超える。15年経てば確実に80億人を超える。それなのに、化石燃料から抜けられない文明だったとしたら?

車だけが電気自動車になったところで意味がない。飛行機は電気で飛ばない。船も電気で動かない。電車を動かすにもエネルギーの一割が実は石油である。原子力発電所すらも石油がなければ動かない。

プラスチックも化繊もすべて石油でできているのだから、これらの代替も必要だ。

脱石油というのであれば、これらすべてを考慮しなければならない。すると、相当な技術革新が必要であることが分かる。10年や20年でそれが成し遂げられるというのは現実的ではない。

要するに、現代文明は石油にどっぷりと依存していて、そこから脱することはできないのである。

だとすれば、一時的に原油価格が暴落して石油企業の株価が落ちているのであれば、黙ってそれを買っておけばいいという話につながっていく。

私たちは石油から逃れられない。原子力反対とデモを起こす人はいても、石油反対とデモを起こす人はいない。誰もが石油に依存しているので、そんなことができるはずがない。

現代文明は石油というドラッグから絶対に逃れられない。文明がそれを必要としているのであれば、それを供給する企業に投資するのは別に奇異なことではない。

現代文明は、石油企業に金を払い続けるのである。





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