2015-05-01

2015年、アメリカは中国を「敵国」と認識した可能性が高い


ベトナム戦争が終結したのは、今から40年前の1975年4月30日だった。2015年4月30日、現在は「ホーチミン市」と呼ばれている旧サイゴンは、ベトナム戦争の勝利を祝った記念式典で盛り上がった。

ベトナムは今、膨張する中国と南シナ海の島々の領有権問題を巡って激しく対立している。ベトナム政府は、この国は国家の主権と領土を守るために、国防を増強させるとしている。

つまり、ベトナムは「いつでも戦争できる体制」を維持しており、中国と戦争になることがあっても躊躇なく戦う決意をしている。

この国は、強国アメリカでさえも駆逐させた国であり、その歴史と記憶はベトナム人にとっても誇りとなっている。

隣国カンボジアでは国民を大虐殺していたポルポト政権が1974年から1979年まで政権を維持していたが、このポルポト政権を終わらせたのも、ベトナムだった。

そしてその後、ポルポト政権を支援していた中国が激怒してベトナムに侵攻してきた。これが中越戦争である。


中国の属国化するように国内外から飲み込んでいく


ベトナムは都合15回も中国と戦ってきたが、そのたびに中国軍を駆逐してきた。ベトナム軍はこの中国軍を1979年はわずか1ヶ月で壊滅させることに成功している。

ベトナム軍は長く苦しい実戦を生き抜いてきた強者であり、士気の低い中国軍が束になってもベトナムに適うわけがなかった。しかし、中国は負けたことを認めず、その後10年にも渡ってベトナムと緊張状態にあった。

実は、この中国の兵糧攻めとも言える戦略が、ベトナム経済を危機に陥れた直接的な原因ともなって、ベトナムは今もまだ経済的な低迷から抜け出せていない。

しかし、ベトナムが中国と融和的な関係を求めてへりくだっていたら、今ごろこの国は中国の属国になっていただろう。

ベトナムは単独で中国を押しとどめる力があったが、この国が弱体化すると、必ず中国が侵攻してくる。そして何が行われるのか。

「同化政策」である。

中国は属国とした国には大量の中国人を送り込んで、長い年月をかけて「同化政策」を推し進めて行く。中国人をどんどんその国に送り込んで、現地の女性と結婚させて、民族的に中国に染め上げていくのである。

時間をかけてそれは行われる。人種を混合させ、やがて中国人のハーフとなった子供たちに政治・経済を独占させ、機会が来れば中国の属国化するように国内外から飲み込んでいく。

現在、それが行われているのがチベット、ウイグル、モンゴルである。チベットでは人民解放軍が1950年にチベットを制圧して以来、120万人ものチベット人が弾圧されている。

同化政策の悲惨さをベトナムは知っている


そんな中で、中国政府は「堕胎強要」「移住促進」「チベット仏教弾圧」「学校教育での中国語強制」をチベット人に対して次々と行っている。

そして、中国に逆らう人間はすぐに中国人が管理する刑務所に放り込み、その刑務所の中で非人道的な拷問を行う。

チベットにおける「同化政策」は民族浄化とセットになっていることは常々語られているが、諸外国がこういった問題に首をはさむと、内政干渉であると激しく抗議して黙らせ、事実をうやむやにしてしまう。

こうした中で、チベット仏教の僧侶たちは次々と焼身自殺をして抗議を行ってきた。(助けを求めるチベット人の炎の叫びを、私たちは拡散すべきだ

世界のマスコミは、もうこういった中国の非道を報道することもない。中国と敵対するよりも、中国と同調して経済的なおこぼれをもらった方が得するからである。

中国ではこうした同化政策が周辺国で行われていることは一切認めないし、それに触れた国や人に対しては激しい罵倒や個人攻撃を行う。

ダライ・ラマ法王も中国に激しく批判され続けてきたひとりであり、チベットの焼身自殺も「テロである」と中国政府は吐き捨てている。

また、ウイグルでどんな非道なことが行われているかを訴えている亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」の関係者も中国政府からは「テロリスト」呼ばわりされている。

「同化政策」を指摘する人間は、みんな中国からはテロリスト扱いされるのだが、それが実際に行われていることをベトナムは知っている。

だからこそベトナムは「国家の主権と領土を守り、社会の安定を維持するためにも、われわれは、国防を増強させなければならない」と述べているのである。

アメリカは中国を「敵」と認識した可能性


膨張し、領土を侵食し、日増しに圧力を強めてくる中国に対して、ベトナムが経済成長に向けて期待をかけているのは、アメリカである。

ベトナムは1995年にアメリカと外交関係を樹立したが、それ以降、ゆっくりとかつての敵アメリカを経済的パートナーとして信頼するようになっている。

アメリカもまた中国を牽制するためにベトナムに接近しており、今後はさらに経済面で深い結びつきがなされていくことになる。

恐らく2015年中にはベトナムの最高指導者であるグエン・フー・チョン共産党書記長がアメリカを訪問する。

それは2015年4月29日に日本の安倍首相が54年ぶりに米議会の上下両院合同会議で演説を行ったのと同じほど歴史的なイベントになるはずだ。

アメリカが、日本やベトナムと相次いで関係を深めていく流れは、偶然起きている動きではない。これはアメリカが中国が敵であると認識した中で起きている一連の流れである。

今まで中国を取り込もうとしたアメリカだったが、ここに来て急激に戦略の転換が起きている。中国は越えてはならない一線を越えたのだ。

何がアメリカを怒らせたのか。AIIB(アジアインフラ投資銀行)である。

膨張していく中国が海洋進出してシーレーンの遮断を目論んでいることもあるが、AIIBでドル基軸通貨体制に挑戦しようとする意図も見えてきた。ドル基軸通貨体制に対抗する国は、明確にアメリカの敵となる。

2015年。アメリカは中国を「敵国」と認識した可能性が高い。国際的な環境が激変している。



ベトナムの戦勝記念パレード。アメリカが、日本やベトナムと相次いで関係を深めていく流れは、偶然起きている動きではない。これはアメリカが中国が敵であると認識した中で起きている一連の流れである。

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