2015-04-29

利益は労働者に還元されなくなる中で、いかに生き残るのか


アメリカは、今やしばしば暴動や抗議デモが起きる社会となっているが、その背景にはもはや埋めがたいまでの巨大な格差が存在することが明らかになっている。

アメリカでは企業経営者が10億円から100億円規模の年収を得ているが、一般の労働者は240万円を稼ぐこともままならない。それどころか120万円にも満たないこともある。

この格差の中で、普通の労働者がコツコツ貯金すれば豊かになるという幻想はアメリカから完全に消え去った。富める者はますます富み、持たざる者は持っているものすらも奪われるような苛烈な社会となってしまった。

アメリカでも多国籍企業が安い賃金の労働者がいる国に工場を移し、高い賃金の自国労働者を切り捨てるというグローバル資本主義を極限まで推し進めている。

こうした手法はアメリカの多国籍企業が発祥である。これによって人々は仕事が得られないような状態が恒常化するようになった。アメリカで層の厚かった中産階級が没落したのは、グローバル化が進んだからでもある。


「働いても生活できない」というワーキング・プア


さらに、コンピュータによる業務改善、インターネットによる業務改善によって、人員が徹底的に削減されるようになった。

インターネットによるアウトソーシングは今や当たり前であり、コールセンターですら、インターネット経由で外国につながっているのである。

こうしてアメリカでは強引なリストラが横行することになり、リストラで成果を出した経営者が莫大な報酬を得て、リストラされた労働者が困窮するという社会が誕生した。

仕事がなくなると、人は安い賃金でもそれに甘んじるしかなくなってしまう。

「そんな安い賃金では働けない」と突っぱねても、そんな安い賃金で働く人間たちが山ほどいるので、結局自分が無職のまま困窮してしまう。

仕事がなくなってしまえば、どんなに安い賃金でもそれで我慢するしかないのだ。

それがどんどん繰り返されるうちに、賃金は生活していけるかいけないかのギリギリにまで抑えられるようになり、「働いても生活できない」というワーキング・プアが出現する。

いったん、ワーキング・プアに落ちると、低賃金のために貯金することすらもままならない。貯金どころか、病気や怪我や失業といった予期せぬ出来事が起こるたびに借金が増える。

ワーキング・プアに落ちると、そこから這い上がるのは容易なことではないのである。

その結果、アメリカでは1%の富裕層と99%の貧困層という超絶的な格差社会に向かい、今もそれが進行して0.1%の富裕層と99.9%の貧困層という社会に向かっていく。

この「株主資本主義」こそ、グローバル化の正体


アメリカは徹底した「株主資本主義」の社会である。日本人はかつて「会社は従業員のもの」という意識があって経営者も「社員は家族」と言い切る人が多かった。

アメリカはそうではなく「会社とは株主のもの」であり、従業員は「雇われてそこにいる使い捨て要員」であった。そのため、経営者は株主を富ませるために働き、従業員というコストを削減するのが仕事になっていた。

この「株主資本主義」こそ、グローバル化の正体なのである。

何も持たない私たちが、自分の立場を守るためにできることがあるとすれば何か。それは、「株主資本主義」というグローバル化の正体を見極めて、自分たちもそれに乗ることだけなのである。

多国籍企業の経営者は「株主のために」働いているのであれば、私たちがその恩恵を得るためには「株主になる」ということしかない。

これは、とても単純な話だ。

現在の資本主義は株主を富ませるために動いているのだから、あなたも少額でもいいから、優良企業の株主になっていないと、生き残れない時代が来ている。

グローバル化していく社会でサバイバルするというのは、「多国籍企業の株を買う」ということにつながっていくのは、ここにある。

株主が現代の資本主義社会のトップに君臨していて、企業経営者が株主のために働いているのだから、このシステムの中で恩恵を得るには株主になるのが手っ取り早い。

資本主義社会の中で、最も強い組織が多国籍企業


今まで株を買うというのは、「安く買って高く売る」という利ザヤ稼ぎの発想ばかりだった。

しかし、「株主でいる」というのはそのような利ザヤ稼ぎの発想とはまったく違う。優良な多国籍企業を「長期に渡って保有する」という方法を通して、株主としての立場を保ち、社会システムの中で身を守れるのだ。

「多国籍企業」は資本主義社会の中で、最も強い組織である。現在の資本主義社会が終焉を迎える最期の日まで生き残っているのが多国籍企業である。

多国籍企業はどんな時代になっても、その時代に合わせて利益を叩き出すために必死になって動く。経営者も自分たちがクビにされないために死力を尽くす。

その結果は「利益」という形で計上されるが、その利益を自分の出資額に合わせて手にするのが「株主」だ。

だから、現在の弱肉強食の中で最も強い立場にあるのは、「利益を出す企業の株主」であると言い切ってもいい。

フォーブスの上位に出てくる富裕層は、すべて「成功した企業の株式を大量に保有している人物」である。ビル・ゲイツもマイクロソフトという企業の株式を大量保有する株主という立場である。

考えなければならないのは、アメリカ式の「株主資本主義」が行き渡れば行き渡るほど、利益は労働者に還元されなくなる傾向がますます高まることだ。

これは、「もう真面目に働いても、賃金は上がらない」ことを意味している。利益は会社が内部留保し、そして株主がそれをごっそりと持っていく。

「株主がそれをごっそりと持っていく」という点を認識するのはとても重要だ。利益は労働者に還元されなくなる中で、いかに生き残るのかの重要な鍵がここにある。



トップ1%(赤いライン)の収入の伸びがいかに凄まじいか、このグラフでも分かる。格差はどんどん拡大している。

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