2015-03-04

賃金は引き下げの方向だが、逆に引き上げられるのは何か?


2015年3月4日、厚生労働省は生活保護を受けている世帯も、人も、2014年12月時点で前月比よりも共に増えていると発表した。

世帯の方は前月比3296世帯も増えた。
受給者の方も、3388人増えた。

1ヶ月で3000人以上が、生活に困窮して国にすがって生きるしかならない時代になっているということだ。2014年4月に導入された5%から8%の消費増税以降、生活の厳しさは増しており、貧困層を直撃していることが窺える。

そして、厚生労働省の発表の前日に出された厚生労働省の2015年1月の毎月勤労統計調査では、「実質賃金指数」が前年月同比で1.5%減となっているという。

現金給与総額は上がっているのだが、これに「物価上昇分」を除いた実質賃金は下がっている。これが意味するのは、物価の上昇率に賃金の伸びが追いついていないということだ。

実質賃金指数は、19カ月連続でのマイナスとなっている。


日本人の生活は、まだ転落が止まっていない


何が起きているのか、言うまでもない。生活保護受給者を見ても、そして実質賃金指数を見ても、日本人の生活はまだ転落が止まっていないということだ。

日本人は、1990年のバブル崩壊以後、真綿で首を絞められるように、じわじわと経済的衰退に追いやられている。

「支出を止められない」という無能体質の財務省のせいで、日本の国の借金は1100兆円にもなっているのだが、この政府の莫大な債務の担保は日本国民の貯蓄だ。

しかし、この個人貯蓄も今後は減少していく。なぜか。今後は高齢化がさらに進展していき、彼らは個人貯蓄を取り崩して生活するからだ。

貯蓄のない高齢者は年金でも食べて行けなくなる上に、消費増税で追い詰められるので、彼らの生活は破綻する。

そうなると、彼らが最後に頼るのが生活保護であり、事実、生活保護の受給者は増えることがあっても減ることがない。

高齢者の万引きも激増している。すでに万引きは2013年に入って、未成年者よりも高齢者の逮捕の方が増えているのである。

高齢者の万引きは認知症や孤立と言った原因も含まれているので、貧困から来ているとは限らないという分析もある。

しかし、貧困が孤立を招き、それが万引きにつながっているという事実もあるわけで、高齢者の万引きは決して貧困と無縁ではない。

貧困と言えば、企業の雇用形態も変化して若年層も非正規労働者として雇われるのが普通になっていき、給料は極限まで下げられている。

そんな状況なのだから、個人貯蓄は減ることがあっても、増えることはないと言われている。

問題は、政府より自分が生き残れるかどうか


これは政府から見ると急激に累積債務の担保が毀損しているという意味になる。

そうすると政府は危機感を感じ、政府自身が生き残るために、何が何でも福祉や行政の削減を実施する。分かりやすく言うと、年金の減額や支給年齢の延長にも、生活保護の減額にも、さらなるインフレの加速にも動いていく。

国民はバブル崩壊で貧しくなり、2000年以降のグローバル経済の加速によってもっと貧しくなっているのだが、この最悪のタイミングで、国からの支援も先細っていく。

本当は少子高齢化を解消しなければ日本は内需の拡大も国の活性化にもつながらないのだが、今の日本人は少子高齢化がもたらす閉塞社会を認識できていないので、人口が増えるのは望み薄だ。

何らかの大きな社会的変革が起きない限り、日本はじり貧になる確率の方が高い。

ということは、私たちは、自国の政府が生き延びる心配をする前に、まずこれから自分が生き残れるかどうかの心配をしなければならないことになる。

もし、国が駄目になるのであれば、まず国が駄目になって、自分の生活が駄目になるのではない。

政府が追い詰められると、すぐに国民の収入や個人貯蓄に手を突っ込んで来る。国が駄目になるとしたら、政府の前に自分の生活が駄目になるのである。

低賃金にあえぐ若年層、パートで食いつなぐしかないシングル・マザー、切り詰めながら年金で生きている高齢者にとっては最悪の事態となっていく。

日本人の困窮化は、むしろこれからが本番


日本人の経済的困窮はバブル崩壊から始まっている。自殺者が3万人を超えるようになったのも、バブル崩壊以降だ。しかし、「貧困」が意識されるようになったのは、2000年を過ぎてからである。

最初は一部の若年層の苦境から始まったので、それは「格差」問題から始まった。

しかし、その格差がどんどん拡大していくと、「格差問題」ではなく「貧困問題」と言われるようになった。

高齢者は年金をもらって生活できるので勝ち組と思われたが、実は生活保護受給者のほとんどが老人世帯であるのを見ても分かる通り勝ち組ではなかった。

正社員が勝ち組だと思われた時代もあったが、リーマン・ショック以降はリストラされる中高年も増え、正社員が狙い撃ちで辞めさせられており、正社員でさえも勝ち組ではなかった。

衰退していく国の中で、日本人はトップの数%以外は、みんな貧困から逃れられない構造になっていたのである。

そこに、政府の累積債務問題が重なり、少子高齢化問題が重なり、2014年には増税が実施され、社会福祉の削減もじわじわと為されていくのだから、日本人の困窮化は、むしろこれからが本番であることが分かる。

企業は社員を切り捨てにかかる。政府は国民から収奪にかかる。福祉や行政は削減する方向に向かう。少子高齢化で活力が失われる方向に向かう。

そのような動きが複雑に絡み合って日本の国力は削がれていくわけだから、私たちはもう全員まとめて「生きるのが難しい時代」に放り込まれたのだ。

「日本がより悪くなる」というのは、現実化してしまった。

常に「引き上げ」の方向に圧力がかかるのは何か


2012年に悪夢のような民主党政権が終わって日本の完全崩壊は何とか止められた。

しかし、政権が変わっても、国の借金はゼロになるわけではなく、少子化問題が解決するわけでもなく、グローバル化が止まるわけでもない。

つまり、何とか完全崩壊を食い止めて踏みとどまることはできているのだが、復活には程遠い現状がある。それが、生活保護受給者の拡大や、実質賃金の減少となって現れている。

だからこそ、私たちが重要になっているのは、「劣悪になる環境の中で生き残ること」である。実質賃金が物価に追いつくのはいつも最後の最後なのである。

今までは真面目に生活しているだけで生きていけたが、資本主義においては賃金はコストに分類されるので、常に引き下げの方向に圧力がかかる。

だから、賃金に頼るというのは、「劣悪になる環境の中で生き残ること」にはならない。

では、資本主義の中で常に「引き上げ」の方向に圧力がかかるのは何か。それこそが株式である。企業経営者は企業価値を向上させることを求められ、それが株価上昇の圧力になる。

政治家は景気の上昇を求められるが、それが成功すると、真っ先に反応するのも株式市場である。逆に言えば、株式市場が上昇していくと、「景気が回復している」と時の政権は胸を張ることができるのだ。

だとすれば、劣悪になる環境の中で生き残るには、賃金で生活するにしろ、資本主義の王道である株式を保有しないというのはあり得ない。

2013年から株式が上昇しているが、上昇している、していないに関わらず株式は資産防衛のために持つべきなのである。

ちなみに、19カ月連続で実質賃金はマイナスになっているが、株式市場はどうだったのか。

2013年7月の日経平均株価は1万3668円だった。2015年2月の日経平均株価は1万8797円である。何と、36%以上も上がっている。

「物価上昇分を補って余りある」どころではない上昇だと思わないだろうか?

結局、グローバル資本主義が極まっていくというのは、株式上昇の圧力が苛烈なまでに激しくかかっていくということなのだから、優良株を保有していた人間が最後に生き残る。

資産家がより資産家になっていくのは、単純な原理だ。資本主義の象徴である株式を長期に渡って保有しているからである。

別に大金持ちになるという発想で株式を持たなくてもいい。「資本主義の中で生き残る」という発想で株式を持つべきなのである。


結局、グローバル資本主義が極まっていくというのは、株式上昇の圧力が苛烈なまでに激しくかかっていくということなのだから、優良株を保有していた人間が最後に生き残る。

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