2015-02-17

「アメリカの時代はまだ終わらない」と考える方が現実的だ


アメリカは世界的な影響力を失いつつあるので、「アメリカが衰退している」という見方の方が一般的だった。事実、政治的な衰退は今も続いている。

しかし、「アメリカ企業」を中心にして見ると、アメリカは衰退しているどころか、堅実に成長し、しかも未だにイノベーションを起こし続ける力を持っている。

現在は情報が世界を制する時代だが、その情報産業はまさにアメリカ企業が支配しているのである。

そう考えると、アメリカが衰退しているというのは一方的な見方であり、逆にアメリカは「成長している」とも見ることが可能である。

一方で中国は政治的にも硬直し、世界中から嫌われ、次の時代を制するどころか、むしろこちらの方が先に崩壊するのではないかとも心配される国になっている。

新興国の時代が来るというよりも、「アメリカの時代はまだ終わらない」と考える方が現実的な状況になっている。


新興国の時代が続くというストーリーの落とし穴


2000年代は「新興国の成長」が世界経済を牽引すると断言されていた。実際、新興国の代表は「BRICS」と呼ばれ、ブラジル・ロシア・インド・中国などに莫大な投資金が流入していった。

これらの国が成長することによって巨大市場がそこに生み出され、世界中の多国籍企業が物を売りまくることによって、世界中が潤うというストーリーだった。

それはかなりの部分まで成功し、実際にこれによって中国のような新興国は「巨大市場」となった。

ところが、多国籍企業間に強烈な競争が巻き起こることになって、商品の価格はどんどん下げられるようになり、先進国の企業はコスト削減を迫られるようになった。

もっとも高いコストとは人件費だ。だから、賃金の高い先進国の労働者はどんどんリストラされていくようになった。

そういった人たちが増えていくと、ますます安物しか売れない時代になる。そうすると、さらに企業はコスト削減に走り、先進国の企業はリストラを加速させていく。

その結果、先進国のあちこちで失業者が増え始める。それは不景気を呼び、社会を不安定化させ、政治を不安定化させ、市場を減退させていった。

先進国市場が減退すれば、当然、そこに物を売っている新興国も、物が売れなくなって不景気になる。2000年代に起きていたのは、そういった動きだった。

新興国の時代は永遠に続いていくというストーリーには思わぬ落とし穴があったのである。グローバル経済の構造が、先進国の労働者を追い詰め、巡り巡って新興国の不振につながっていったのだ。

バクチのツケ(不良債権)を政府が引き受けた


2000年代のアメリカは、バブルの時代だった。巨大なカネが不動産や、サブプライムローンのようなリスクの不明確な債権をも買い上げていった。

それが破綻したのが2008年9月15日だった。

リーマン・ショックと呼ばれているこの市場大崩壊劇は、資本主義をも崩壊させかねないほどのスケールと規模で全世界を覆い尽くしていった。

世界中の投資銀行、証券会社、保険会社等はことごとく破綻寸前になっていった。これを放置していたら間違いなく資本主義は崩壊していた。

各国政府はこういった金融企業を「大きすぎてつぶせない」と言って、国債を大量発行して救済していった。

これはすなわち金融機関のバクチのツケ(不良債権)を政府が引き受けたということに他ならない。当然のことながら、今度は各国政府が債務を抱えすぎて危機に瀕するようになっていった。

ユーロ圏の弱小国、たとえばギリシャで繰り返し起きている政府の負債を巡る問題は、そのほとんどがリーマン・ショックが起因になっている。

リーマン・ショック以降、ユーロ市場は縮小し、それが新興国の成長をも縮小させた。新興国の成長が鈍化すると、それをアテにしていた先進国の成長も鈍化する。

先進国の成長が鈍化すると、新興国に資金が流れなくなり、それがよけいに新興国を停滞させた。

2008年9月15日以降、世界は絶不調に陥ってグローバル経済の雄であるアメリカですらも停滞を余儀なくされた。

ところが、ここで皮肉なことが起きた。「もうアメリカが終わった」と言われたこの時期に、アメリカに資金を投じていた投資家が巨額の儲けを手中にしたのである。

グローバル経済の根幹にあるのは、株式だ


現在、アメリカ経済は再び復活している。無尽蔵の量的緩和が功を奏して、株式市場が復活した。

「金融市場だけ」は、実体経済の不調とは裏腹に、リーマン・ショック以前の水準に戻ったばかりか、それを超える水準となっていった。結果的には、この時期にアメリカの株式市場に資金を投入していた人間が、うまく立ち回ったということになる。

金融緩和と言えば、2013年には日本にも同じ現象が起きた。

日本を壊滅的な状況に陥れた民主党政権が終わり、自民党が復活すると、安倍首相はアベノミクスによって金融緩和と円安を成し遂げた。これによって株式市場も復活し、株式資産を持つ人たちが潤った。

ところで、株式市場に資金を投じている人間のほとんどは資産家である。一般層はほとんど株式を持っていない。株式に対して懐疑的で、興味も持っていない。

しかし、グローバル経済の根幹にあるのは、株式なのだ。だから、株式と密接な関係のある資産家は、持っている株式にもよるが、ますます資産家になる傾向が高い。今、まさにその現象が起きている。

では、どこの国の株式がよかったのか。

全世界が不調になると、次のイノベーションを起こせる企業やセクターが重要になるのは言うまでもない。イノベーションは、どこにあるのか。アメリカである。

アメリカの企業は未だに世界をリードするイノベーションを起こす力を保持し、強大な影響力を持っている。

客観的にみると、「アメリカが衰退している」というのは政治的にそのように見えるだけで、アメリカ企業に目を転じると、まったくその逆の姿があった。

アメリカの企業は未だに世界をリードするイノベーションを起こす力を保持し、強大な影響力を持ち、アメリカの株式を持っている人間が、時代の波に乗るという現象になっている。

日本で流布している「中国の時代」というのは、むしろ中国や韓国に取り込まれた人間が日本人をわざとミスリードするために誘導しているワナであるかもしれない。

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