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2015-01-28

誰も気付かない間に、暴力のグローバル化がやって来ていた


2015年1月26日、イスラム国のナンバー2と見られている、アブ・ムハンマド・アル・アドナニが、世界中のイスラム教徒にテロを呼びかけている。

"Die in Your Rage!"(憤怒の中で自決しろ!)

"Rage(レイジ)"を「怒り」と訳してはならない。「レイジ」とは身体が震えるほどの激しい憎悪が込められた怒りであり、単なる"Angry(怒り)"とは質が違うものだ。

激情と破壊の意思が込められた危険で熱い怒りが「レイジ」である。アル・アドナニは世界中のイスラム教徒の男たちに、「身体が震えるほどの激しい怒りの中で、キリスト教徒たちを殺して自決しろ」と強く呼びかけているのだ。

テロを引き起こすためには手段を選ぶなと、アル・アドナニは訴える。「爆弾でも、ナイフでも、銃弾でも、車でも、岩でも、あるいは自分の靴でも、拳でも」何でも使ってテロを起こせと言っている。

そして、十字軍の人間たちを殺した上で、"Die"(自決)しろと説くのだ。さらに、テロに参加しないイスラム教徒も「敵と見なす」と宣言もしている。


欧米先進国のすべての国がイスラム国(IS)の標的


このメッセージはユーチューブによって配信され、メディアが取り上げ、世界中のイスラム教徒に向けて発信された。暴力が拡散されたのだ。

アル・アドナニがユーチューブに上げたメッセージはすでに削除されているが、もう世界中のイスラム教徒がこのメッセージを受け取った。

敵は「十字軍」である。十字軍と言えば、キリスト教徒の軍隊の意味を指すが、イスラム国(IS)が指している十字軍は「欧米と、欧米に属する人間たち」という意味だ。

欧米先進国のすべての国がイスラム国(IS)の標的となった。今後、イスラム過激派のテロは、世界中どこでも起こり得るわけで、欧米は警備を増強してこれに備えている。

すでにアル・アドナニのメッセージの翌日2015年1月27日、リビアの首都トリポリでイスラム武装集団が高級ホテルを爆破し、銃を乱射しながら突入、アメリカ人やフランス人含む10人が死亡するという事件が起きている。

しかし、アル・アドナニの煽動は一過性のものではない。次々とテロを引き起こす触媒(カタリスト)であり、今も新たなテロが準備されているだろう。これからも続々とテロが起きる。

こうした狂気のテロリスト集団「イスラム国(IS)」は、今後も勢力を拡大していくのか。それとも、アメリカの空爆や国際社会の締め付けによって自滅していくのか。

イスラム国は今やアフガニスタンにまで勢力を広げてパキスタンにも影響力を広げていこうとしているが、逆にアメリカの執拗な無人機による空爆によって指導者が次々と負傷、死亡しているとも言われている。

また、イスラム国に支配された地区でも、住民によるイスラム国兵士の暗殺が起きるようになっており、組織の影響力の拡大と崩壊が同時に起きている。



アブ・ムハンマド・アル・アドナニ。暴力を世界中に拡散させている男。

イスラム国が、いつ崩壊するのかが問題となる


この暴力組織は、元はといえば欧米がシリアのアサド政権を崩壊させるために、反政府組織に誰彼構わず武器弾薬を与えていたところから組織拡大が始まっている。

また、イスラム教にはスンニ派とシーア派の激しい対立もあるのだが、スンニ派の武装組織が中核になっているイスラム国に対して、反シーア派が結集したことも躍進の要因ともなっている。

ただ、イスラム国(IS)は同じスンニ派のイスラム教徒であっても、自分たちに敵対する者であれば容赦なく虐殺しているわけで、必ずしもスンニ派の味方でもない。

もはやすべての宗派を敵に回している状態で、そういった意味でイスラム国が今の状態のまま存続できる可能性は限りなく低い。ただ、いつか組織崩壊するとしても、それがいつなのかが問題だ。

アメリカは無人機攻撃を続けているが、そのためにイスラム国の兵士は行動が慎重になり、爆撃を避けるために住民の中に紛れ込むようになって、単純な無人機攻撃の効果が薄らいで来ているという。

無人機が深追いして爆撃すると、必ず住民を巻き添えにする。そうなれば、今までイスラム国(IS)に向いていた住民の憎悪がアメリカに向く。無人機だけでテロリストを壊滅するというのは難しいのである。

しかし、オバマ大統領はイラクからもアフガニスタンからも軍を撤兵させて中東の泥沼から足を洗ったわけで、地上軍を展開する可能性はほとんどない。

再び中東に戻ってテロリスト相手に泥沼の戦争を続ける余裕は今のアメリカにはない。だとすれば、NATOがその役割を担うことになるが、NATOもまたそんな力はない。

そう考えると、イスラム国(IS)の崩壊はあるとしても、まだまだ先の話になる可能性が高い。

憎悪と憤怒と暴力を拡散させるのに便利な媒体


イスラム国(IS)は2014年6月29日に設立された。(アルカイダまでもが暴力的だと敬遠する、狂気の超暴力国家

中東でアルカイダをしのぐ暴力集団が生まれ、その集団が突如として国を設立するとは、それまで誰も想像すらしなかった事態である。しかし、いったん生まれると急激に膨張して巨大勢力となっていった。

いきなり出現した暴力組織が、今や欧米の軍事力でも駆逐できない強大な力を持つようになり世界をかき回している。

この暴力組織は、インターネットを駆使して世界中から兵士を集め、世界中の一匹狼にメッセージを送り、生まれながらにしてグローバルな展開を行っている。

そして、暴力の煽動と拡散もインターネットによって行っている。残虐な暴力を拡散する効果的な方法を、この暴力組織は知っていたのである。

全世界は急激に「暴力化」している。それは、インターネットが憎悪と憤怒と暴力を拡散させるのに、非常に便利な媒体だったからだ。

"Die in Your Rage!"(憤怒の中で自決しろ!)

その叫びは、中東の片隅で発信されても、インターネットによって一瞬にして全世界に広がっていき、増幅され、孤独な一匹狼の耳にも届くようになった。

誰も気付かない間に、新しい「暴力のグローバル化」がやって来ていたのである。私たちは平和な時代に向かっているのではない。暴力の時代に向かっている。

あなたの心の奥底にあって押さえつけられてきた暴力の感情も、いずれ時代によって目覚めさせられる。



暴力は一瞬にして拡散し、増幅され、一匹狼の耳にも届くようになった。

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