2014-06-07

相対的貧困とは、月に約9万3000円以下で生きるということ


すでに、日本が一億総中流という意識があった時代は、はるか遠くに消え去った。今、日本国内では、明確に格差が目立つ社会となってきている。

内閣府は2014年6月に、「子ども・若者白書」を報告しているが、その中で子供の相対的貧困率がじわじわと上昇し、今や16%に達しようとしていることが判明している。

この日本の相対的貧困率は、OECD加盟国34ヶ国の中で10番目に高い数字であり、平均を上回っている。

経済的理由により修学が困難な児童には、就学援助という支援が受けられる。

この就学援助を受けている子供たちも、バブル崩壊の影響が顕著になってきた1995年から一貫して伸び続けている。1995年には7%台だった就学援助は、今はその2倍に達して15.64%に至っているという。

また、保護には至らないが充分に注意して推移を見守らなければならない「準要保護児童生徒数」も20%になろうとしている実態がある。


112万円に満たない世帯は、相対的貧困の状態


言うまでもないが、中でも最も追い詰められているのがシングルマザーである。

世界水準で見ると、現役世帯のうち、大人が一人で子供を育てている世帯の相対的貧困率は、OECD加盟国でトップとなっている。

相対的貧困率とは何か。

それを知るには、まず日本人の可処分所得(使えるお金)の中央値はどれくらいなのかというのを知る必要がある。それによると、平成21年は224万円となっている。

その50%以下が貧困線となるので、具体的な数字で言うと、112万円という数字がひとつの大きな目安になる。

年間で使えるお金が112万円に満たない世帯は「相対的貧困の状態にある」と言える。これを月に換算すると、約9万3000円ということになる。

給料から税金や社会保険料を引いて手取りの額が9万3000円。この中で家賃を払ったり、電気・ガス・水道料金・電話代等を払う。

都会では家賃が安いと言っても3万円くらいまでが限度だろうから、そこに光熱費等が加わると、最低でもそれだけで5万円は飛んでいくだろう。

その他の雑費を差し引くと、9万3000円で実際に使える金額はそれこそ3万円残ればいいかもしれない。

この3万円の範囲で子供を育てなければならないとしたら、それがどんなにキツいことなのかは、当事者でなくても想像が付く。

しかし、そんな生活を強いられている人が子供を持つ世帯の16%もいて、少しでも油断したらそのようなところに転がり落ちる可能性のある世帯を含めると20%になるというのが現代の日本である。

現代の日本は、1人親世帯に転がり落ちやすい


日本では結婚したカップルの3組に1組は離婚に至る。離婚に至る理由は様々なものがあるのだが、現代の日本は1人親世帯に転がり落ちやすい環境にあると言える。

子供を抱えて離婚すると、子供の多くは母親が面倒を見ることになる。

本来であれば、離婚したとしても父親が養育費を送らなければならないのだが、養育費の未払いは多い。取り立てようとすると、住所すら分からなくなる父親も多い。

そうなると、女性は働きながら何とか自力で子供を養わなければならない状況になる。

しかし、こういったシングルマザーにフルタイムの仕事ほとんどない。また、子供がまだ幼いと、フルタイムで働くこと自体が難しい。

そうなると働き先は必然的にパートになるのだが、このパートの基本賃金が安いのである。しかも、子供が病気になったりすると欠勤も余儀なくされるので、収入が減る要素の方が増えていく。

一度、そうやって貧困側に堕ちていくと、ありとあらゆる要素が悪い方のドミノ倒しになっていく。

アメリカのピューリッツァ賞の記者であるデイヴィッド・シプラーは、著書『ワーキング・プア アメリカの下層社会』の中で、このように述べる。

「どの問題もその他の影響力を増幅させ、すべてがしっかりと結びついているため、一つの不運がもともとの原因からずっとかけ離れた結果を伴う連鎖反応を起こすことがある」

次から次へと、悪いことが一気に表れる


日本では「弱り目に祟り目」だとか「泣きっ面に蜂」という格言がある。いったん問題が起きると、それが引き金になって次から次へと悪いことが一気に表れる。

デイヴィッド・シプラーが、上記の著書で述べている例はこのようなものだった。

(1)荒廃したアパートに住んでいる。
(2)それが、子供の喘息を悪化させる。
(3)それが、救急車を呼ぶことにつながる。
(4)それが、払えない医療費となる。
(5)それが、カード破産を招く。
(6)それが、自動車ローンの利息を引き上げる。
(7)それが、故障しやすい中古車の購入になる。
(8)それが、職場の遅刻につながる。
(9)それが、昇進と稼得能力を制約する。
(10)荒廃したアパートから出られなくなる。

悪いことが、次の悪いものを引き寄せ、それがまた悪いものを引き寄せる。荒廃した粗末な住宅に住んでいることが、予想もしない悪影響を与え合って、どんどん自分の足を引っ張る。

まるで玉突き衝突のように、ひとつの悪いことが次の悪いことを引き寄せて止まらないのである。

そうやって、負の連鎖、負のスパイラルがぐるぐると回って、いったん蟻地獄に落ちると、這い上がるのに相当な時間がかかるか、もしくは二度と這い上がれなくなってしまうのだ。

人はいつまでも順風満帆な人生を送れるわけではない。

今は順調でも、何かほんの些細な出来事や決断が、予想もしない致命傷となって自分の人生を壊してしまうことがある。

今の日本は、そういった些細な出来事がいきなり貧困に直結する可能性のある恐ろしい社会と化している。

すでに、そういった落とし穴に落ちる人たちが急激に増えているということも統計に表れている。もう、貧困は誰にとっても他人事ではない。




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