2014-05-05

みなさんには貧しくなる自由がある、と言う男が政府にいる


外国企業がある国を乗っ取るにはどうしたらいいのか。多くの国では、自国の産業を守るためにいくつかの保護政策を取っている。

守りたい産業を保護するために、外国製品には高い関税をかけて外国製品が高額で売れないようにする。あるいは、守りたい産業を国営化して、その重要な産業がつぶれないようにする。

だから、外国企業がその部分を乗っ取ろうと思ったら、まず政治家を買収して、保護貿易を止めさせる法律を策定すればいいということになる。

そして、国営化を止めさせて民営化させる。そうすることによって、外国企業は圧倒的な競争力でその分野を乗っ取ることが可能になる。

この乗っ取り方法にはその時々によって、国民が喜びそうな名前が付けられる。たとえば、「新自由主義経済政策」だとか、「構造改革」とか、そういった名前である。

こういった、新自由主義や構造改革という言葉が取り入れられるときには、マスコミやジャーナリストによって、国民はこのように「教育」される。


国民の多くは「安ければ何でも良い」


「自由競争は重要です。競争によって企業同士が切磋琢磨して新しいサービス、安い商品が手に入るようになります」

自由競争によって、安い商品が怒濤のように入ってくるのは間違いではない。国民は常に安い商品を求めている。国民が欲しいのは自国製品ではなく、安い製品なのである。

新自由主義、構造改革、民営化によって、安い製品やサービスが入って来たとき、それを提供しているのは外国企業の製品であるということを多くの国民は気付いている。

しかし、国民の多くは「安ければ何でも良い」ので、安い製品を買うことに躊躇はない。その結果、安い外国企業の製品が市場を独占し、自国の産業は潰れていく。

しかし、外国企業はそこで自分たちが市場を独占したと悟られないように、弱体化した地場産業を買収して、その地場産業のブランドを残しつつ市場独占を進めていく。

国民は自国製品を買っているつもりでいるのだが、実はもう外国企業の手に落ちているので、自国のものではなくなってしまっている。

ブランドが残されると、それが外国企業であることに多くの国民が気付かないのである。それで、自由競争が行われていると勘違いするのだが、その裏では産業の乗っ取りと独占が粛々と行われているということになる。

市場を乗っ取り、市場を独占することが可能になると、その市場からは永遠に利益を吸い上げることが可能になる。企業にとっては「利益」こそが生きる養分であり、利益になることならば何でもする。

競争による弊害やダメージは語られない


なぜ、資本主義社会で重要視されるのは「自由競争」だ。

(1)自由競争によって、世の中は発展していく。
(2)自由競争によって、どんどん良い物が生まれる。

このような神話は、資本主義社会に生きる私たちの誰もが、脳に刻み込まれ、競争による弊害やダメージの方は絶対に語られることはない。

競争は美しいというのは、「条件が同じ」であった場合の競争である。資本や組織力に圧倒的な差があった場合の競争は、強者が弱者を踏みつぶす残酷ショーと化する。

時価総額が1兆円の企業と10億円の企業とでは、その差は1000倍にもなる。社員10万人の企業と社員100人の企業とでも、その差は1000倍になる。

普通、これほどの差があった場合、同じ土俵では競争は成立しない。スポーツの世界で言うと、大人と赤ん坊が格闘技で戦うようなものである。それをするのが「自由」競争である。

競争の対象が洗剤やヒゲ剃り用のカミソリであれば、別に独占されたところで何と言うこともないと言えるかもしれない。

しかし、銀行や農業や医療や水道や電気と言ったインフラを外国の外国企業に独占されると、「それが資本主義だ」と笑っていられなくなっていく。

外国企業が国民の生命に関わるインフラ部分を掌握し、値段を吊り上げることによって国民の生活を危機に陥れることが可能になるからだ。

たとえば外国企業が水道事業を掌握し、ある日、水道料金を2倍にすると言われても、国民は水道を拒絶することはできない。水が出ない家で人は暮らせないのである。

電気を外国企業に掌握され、ある日、電気料金を2倍にすると言われても、国民は「では、明日から電気は要らない」と言うことはできない。

しかし、そういった国民生活の根幹に関わる部分を「新自由主義経済政策」では奪われる可能性はとても高い。



「みなさんには貧しくなる自由がある」


アメリカは医療制度すらも民営化したことによって、「より良い治療を行って欲しければ、もっと金を出せ」という弱肉強食の世界になっていった。

その結果、自分が病気になったり家族が病気になったりして「破産」する国民が増えた。

自分の痛みは我慢できても、自分の家族の痛みは何としてでも治して上げたい。金よりも家族の健康の方が重要なのだから、親には選択の余地などない。

こういった国民の福祉や行政に関する部分には自由な競争を取り入れたらいけないというのが普通の考え方である。

誰もがインフラにアクセスできて、誰もが安心して医療を受けられるようにするというのが政府の存在意義である。インフラを守るのが国民を守ることだからだ。

しかし、日本は今、よりグローバル化を取り入れるために、水道事業の民営化を提言する人間もいる。

「空港を売却せよ。高速道路を売却せよ。上下水道を売却せよ。郵便局を売却せよ」

そのように主張するのは、竹中平蔵という男だ。小泉政権時代、経済財政政策を担当していたこの男は、若者を非正規労働に追いやって貧困化させたが、自らは人材派遣会社のパソナグループの取締役会長に納まった。

そして、今も「産業競争力会議」メンバーとして、アメリカの手先のようになって働いている。「解雇規制を緩和しろ」と言っているのもこの男である。

この男の「自由」とはどんな自由なのか。この男は2012年11月30日にある雑誌のインタビューで次のように「自由」を語っている。

「みなさんには貧しくなる自由がある」

「何もしたくないなら、何もしなくて大いに結構。その代わりに貧しくなるので、貧しさをエンジョイしたらいい。ただ1つだけ、そのときに頑張って成功した人の足を引っ張るな」

日本の貧困を加速させ続けている男、竹中平蔵。


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