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2014-04-09

日本文化のたった1つの特徴が消滅したら日本文化は終わり


日本の建物、日本の製品、日本のサービス、日本の料理。海外から戻ってきて、改めて日本に接したとき、同じ日本人でありながらいつも驚嘆するのは、その美しさや精巧さである。

単に1週間や2週間の旅行では気付かないかもしれない。しかし、1ヶ月や2ヶ月も海外にいたあとに日本に戻ると、あきらかに誰もが気付くのは、日本は非常に秩序だっていて、何もかも美しいということだ。

このように書くと、日本人の身内びいきの日本賛美のように見えるかもしれない。

しかし、私はもともと旅人上がりで、今も昔も東南アジアが好きで、東南アジアを賛美するのに躊躇がない人間だ。混沌の国であるインド圏もそれなりに気に入っているし、先日インドから戻って来たばかりでもある。

そんな私ですらもあれこれを客観的に、かつ冷静に比較すると日本文化の美しさには同じ日本人であっても畏怖を感じる。

私が日本人で、日本人の感性だから、日本が美しいと思うのではない。日本が美しいと思うには実は、大きな理由がある。


全体を通して1つ言える重大なこととは?


日本の建物が美しい、日本の製品が美しい、日本のサービスが美しい、日本の料理が美しいと感じるのはなぜか。

それぞれは個々に素晴らしい部分が山ほどあって語り尽くせないのだが、全体を通して1つ言える重大なことがある。日本のすべての文化に行き渡っている「1つの重大な特徴」は、シンプルにして、かつ明確なものだ。

「細部を、極める」

日本が特別なのは細部を極めているからだ。日本が美しいのは細部を極めているからだ。日本が他とまったく違うのは、すべてこのひとことに集約できる。

「細部が極められている……」

日本的なものというのは、すべて「細部を極めている」から美しく、精巧で、心地良いのである。建物も、製品も、サービスも、料理も、細部を極めているので、美しいと感じられる。

「神は細部に宿る」と言ったのはドイツ出身の建築家ミース・ファン・デル・ローエだが、この精神が遺憾なく発揮されているのが日本である。

日本が特別であり、日本のものの美しさを際立たせているのは、「神は細部に宿る」という精神が根付いているからだ。

海外で発明されたものも、日本で独自発展していくのも、日本人が「細部をとことん美しく素晴らしいものに改良していく」からでもある。

日本文化の美しさというのは、「細部を極めている」というところにある。見えないところでも手を抜かず、むしろ見えないところに手を尽くす。だから、精巧で美しい。

当たり前だと思っているのは日本人だけ


細部を極めるというのは、結果的に対象を高品質化させていくという流れになる。その結果、対象物は独特の美しさと上品さを醸し出すようになる。

日本人であれば「細部に手を抜かない」というのは、当たり前のことなのだが、実はこれが当たり前だと思っているのは日本人だけで、多くの国はそれほど細部にこだわっていない。

隣の中国・韓国ですらも、「細部に手を抜かない」「細部にこだわる」という文化や思想はまったくない。むしろ、その逆でコスト削減のために見えないところは徹底して手を抜く。

2014年4月4日朝、浙江省寧波奉化市で5階建ての集合住宅が突如として倒壊するという事件があった。

中国では、昔から建物の「おから工事」が多発しており、中国のすべての省で社会問題化している。

できたばかりの橋が崩れ落ちたり、地震で学校の校舎が跡形もなく崩壊したり、道路がいきなり巨大な陥没を見せたり、建設途上のマンションが倒れたり、できたばかりのダムがいきなり決壊したり、日本人の想像を絶するような事件が毎日のように起きている。

このような事態になるのは、コスト削減や中抜きや手抜きが優先されていて、細部をおざなりにすることによって発生している。すなわち、「細部を、極める」という思想が完全に欠落してしまっている。

むしろ、コストを削減して自分の取り分を増やすためには、率先して細部の手抜きをするという方向に向かっている。

細部を極めるというのは、手間も時間もかかり、コストも高くなれば、管理も面倒になる。「手っ取り早く儲けたい」と金のことばかり考えている人間には、細部を極めるができない。

日本人気質が裏目に出てしまっている


日本人から見ると、細部にこだわった製品が、いい加減な製品に負けるのは信じられないと考える。

しかし、「細部にこだわる」製品やサービスが世界中のすべての国民が評価するわけではない。むしろ、世界中でいい加減な製品が満ち溢れている。なぜか。

それは、世界の人口約71億人のうち約40億人が低所得層で占められているからだ。

細部にこだわり抜かれた製品やサービスは「高価格」だが、世界の半分以上は低所得層だ。安い物しか買えない。

安い物というのは、細部に手を抜いたいい加減なものだが、それしか買えないのだから選択の余地はない。そもそも最初から高品質が欲しいとも必要だとも感じていない。

日本が中国・韓国の製品にことごとく負けてしまっているというのは、技術力で負けているのではなく、価格競争で負けてしまっている側面が大きい。

世の中は「質より低価格」が主流になっているのだが、日本だけは相変わらず「高品質・高価格」を追及している。その結果、日本は競争力を失っている。言わば、日本人気質が裏目に出てしまっている。

最近は、日本人ですらも100円ショップの安物買いしかしない人間も増えている。

細部にこだわるという本来の気質とは別の動きをする「安ければ何でもいい」という日本人も増え始めているのだ。(100円ショップでの安物買いが、人生を破綻させる5つの理由

「安ければ何でもいい」という時代が、細部を極めるという日本人の気質や文化を駆逐してしまうのか。それとも日本は「細部を極める」という文化を守り抜くのか。

次世代の日本人がどちらの方向に向かっていくのかは、誰にも分からない。

神は細部に宿る。日本文化は細部に宿る。

ひとつ言えるのは、「細部を極める」というたった1つの特徴が消滅した瞬間、日本が日本たらしめている文化のすべてが消滅する。

細部にこだわり、小宇宙を作り出してしまうのが日本文化だった。
こういった「細部を極める」文化は継承されるだろうか?



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