2014-02-12

日本人のリストラ地獄は続き、むしろこれからが本番になる


キャリアアップのために転職するのではなく、会社が傾いてリストラされる人は用意も準備も何もないところで路頭に迷う。

だから、失業中は給料が下がり、さらに新しい仕事も安い給料で妥協するしかなくなる。安い給料で、さらに慣れない仕事で、待遇も悪くなる。

そこでまた転職することになると、さらに条件が悪くなっていく。そうやって、社会の荒波に揉まれて転がり落ちてしまう日本人が、ここ数年来で猛烈な勢いで増えている。

民主党政権の時代だった2009年から2012年、株式市場は低迷して底を這い回っていた。

さらに円高が放置されて日本企業は競争力を失い、この間に日本を代表してきた家電製品が競争力を失った。

そして、パナソニックも、ソニーも、シャープも、会社が存続できるかどうかの瀬戸際にまで追い込まれ、民主党政権時代に、数万人規模で社員が放り出されていった。

100人や200人規模ではない。シャープやルネサスは5000人、ソニーやNECは10000人、パナソニックに至っては36000人という規模でリストラが行われた。


日本人のリストラ地獄はこれからも続く


電機大手だけでこの惨状だ。大手の下にはたくさんの子会社や関連会社や下請け企業がぶらさがっており、目立たないところでも波状的な悪影響が広がっている。

あまりの惨状に、日本人は民主党政権を退場させてまた自民党政権を復活させた。

しかし、グローバル経済という大きな流れは日本人の賃金を下げる仕組みになっているので、高給を取っている日本人社員がリストラされる流れは止まったわけではない。

今後はどんなに抵抗しても「雇用特区」の概念が日本の労働環境の中で取り入れられて、企業が社員のリストラをしやすい環境になっていく。

つまり、日本人のリストラ地獄はこれからも続くし、むしろこれからが本番になっていく可能性が高い。

このような時代になるというのは、もう10年前から兆候があった。企業は社員ではなく派遣労働者を中心に取るようになり、その派遣社員は不景気になったら遠慮容赦なく切られていたのである。

マスコミは派遣労働を「新しい働き方」「自分の自由な時間を持てる働き方」と若者を煽っていたが、マスコミが煽るものに乗ったら裏切られるのはいつものことだ。

これによって派遣を選んだ人々はまっさきに人生に躓いて、生活は不安定化して、どん底にまで転がり落ちていった。

「格差」が問題になっていったのもこの頃だ。このとき、社員は「勝ち組」だと言われていた。

社員は「会社の資産をむしばむ膿」も同然だった?


しかし、日本人の給料がグローバル経済から俯瞰したら非常に高いものだったので、次の標的は「社員のリストラ」になるのは目に見えていたのだ。

派遣切りでもグローバル化した中で競争できないのなら、次にリストラされるのは社員だ。だから今、社員が次々と会社から叩き出されているのである。

経営者が社員をどう見ているのかが如実に示されたのは、シャープの社長である奥田隆司氏の発言だった。

2012年度第1四半期決算説明会で奥田氏は「上期に膿(うみ)を出しながら下期から再生する不退転の決意で臨む」と発言して、同じ席上で社員5000人をリストラする策を打ち出した。

奥田氏は不採算事業を切り捨てるという意味で「膿を出す」という発言をしたのだったが、世間は社員5000人を放り出すのが「膿を出す」ことだと捉えた。

実は、不採算事業を畳んで社員を放り出すのだから、世間の見方はそれほどズレたものではなかった。経営者にとって、社員というのは「会社の資産をむしばむ膿」も同然だったのである。

2014年2月6日、ソニーも最終赤字が1100億円になって、PC部門という不採算事業を畳んで、5000人を追加リストラすると発表したが、ここでも会社の再建の方法論として、社員を叩き出すという方法が取られていることが見て取れる。

このニュースが流れて、ソニーの株価は上昇した。

つまり、社員という「膿」を会社から放り出すということに世間は歓迎しているということになる。

今後、企業が傾くたびに、そして少しでも業績が落ちるたびに、会社は社員を放り出すことになる。投資家も、株主も、経営者も、みんなそれを支持している。

そして、それができることを「決断力である」と捉えている。

すでに「社員」という立場には未来はない


こういった流れを見て分かる通り、すでに「社員」という立場には未来はない。

会社が何とか利益を出している時は平穏かもしれないが、いったん赤字になると、経営責任が問われる前に、経営者はいそいで社員を会社から放り出す。

その間、残っている人間を猛烈に働かせるので、ブラック企業化していき、それでも人手が足りなければ、新しい社員を入れるのではなく、派遣労働者を取る。

どこかの会社の社員でいる人たちは今、この地位をいつか失うことを予測して、首をすくめながら生きている。当然だ。次の業績悪化が、自分の人生の転落になるかもしれないからだ。

どんな企業でも永遠に順風満帆というわけではないので、数年来のうちに「社員」の誰もが人生の危機に陥っていく可能性が高い。どんなにもがいても、いずれは社員という「地位」を失う人が増えていく。

それによって生活を崩壊させる人が増えて、日本では加速度的に貧困が拡大していく。

現在、日本でもっとも増えている犯罪は凶悪犯罪ではなく、ひったくりや窃盗や万引きだ。発展途上国の話ではない。日本の底辺で、こういった犯罪が増えているのだ。

一方で、株式や不動産のようなインフレヘッジができる資産を持った人々は、自動的に資産が膨れあがる経験をする。

これによって、持つ者と持たざる者がさらに差を広げていくので、日本の未来は激しい格差社会へと変貌していく。大多数がさらに貧困に落ち、少数がさらに富んでいく。

2014年も、その大きな流れに変化はない。

2014年2月、社員の追加リストラを発表するソニーの平井一夫社長。


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