2014-02-11

普通の人はもう生きられない。あなたも「超人」にさせられる


現代社会は「効率化」によって最大限の結果を得ることがすべての命題になっている。しかし、これが暴走して様々な問題を引き起こすことになっている。

具体的に考えればすぐに分かる。

電気を「効率的」に得ようとして、原子力発電所にまで到達して史上最悪の環境破壊を起こす。

石油を「効率的」に得ようとして、地球の環境を徹底的に破壊してしまう事態を引き起こす。

儲けを「効率的」に得ようとして、レバレッジを賭けて資本主義すらも破壊されるような事態を引き起こす。

友人を「効率的」に得ようとして、SNSに登録して自分のプライバシーをすべてどこかの会社に提供するような事態を引き起こす。


「効率化」は人間の肉体にさえ浸透している


食物を「効率的」に提供しようとして、ホルモン剤をばらまいて成長を早めて残留ホルモンが人間の身体に悪影響を引き起こす。

何もかもが「効率化」によって「最大限の結果を得る」ことが望まれており、それが行き過ぎることによって、副作用を拡大させていくのである。

それでも「効率化」こそが重要だと誰もが考えるから、誰も効率的であることを捨てようとしない。だから、どんどん世の中が効率化されていき、暴走し、最後に何もかもが吹き飛ぶのである。

「効率化」は人間の肉体にさえ浸透している。人間の肉体を「効率的」に成長させて、早く大人にしたり、より強い能力をつけさせたりするのである。

たとえば、バングラデシュの売春地帯では、少女を大人に見せるため、牛を成長させるステロイドを少女に与えて無理やり身体の成長を促すようなことをやっている。

少女を「効率的」に早く成長させて、売春できる身体に無理やりさせているのである。

痩せ細って貧相な少女も、このステロイドでふくよかで健康的な女性に見えるようになる。

しかし、やがて少女は身体に変調を来たして様々な副作用で「使い物にならなくなる」。

彼女たちは、頭痛、肝臓障害、極度の疲労、めまい、あるいは湿疹、生理不順、情緒不安定と、ありとあらゆる副作用に悩まされる。

しかし、ステロイドはある種の依存症もあって、少女たちはもうそれがないとやっていけなくなっている。麻薬と同じように、ステロイドのために売春を続けるような事態に陥るのである。

ステロイドで「効率的」に筋肉量を追究


ところで、ステロイドと聞けば、ボディービルを思い出す人もいるかもしれない。

彼らの一部には同じ人間とは思えないような、まるで作り物のような見事な筋肉を持っている。

ウエイト・トレーニングを規則正しく効果的に続けていると、人間の身体は筋力が発達していき、誰でもある程度の筋量(バルク)を付けることができるようになる。

遺伝的要素もあって誰もが全盛期のアーノルド・シュワルツェネッガーのようになるわけではない。しかし、ウエイト・トレーニングだけで他人を驚かすような筋肉をつけることができる。

しかし、それを超えてボディービル競技の第一線で活躍するような圧倒的な筋肉の質感を「効率的」に手に入れるのはどうすればいいのか。

それがステロイドである。ボディービル業界では、すでに競技のトップレベルに到達するには、何らかのステロイドに染まらなければならないところにまで来ているという。

プロのボディービルダーの身体を間近に見たことがあるが、そのときの衝撃はいまだに覚えている。

人間はここまで身体を改造することができるのかと感嘆せざるを得ないほどの、まさに想像を絶した筋肉量だった。

今までこれほどの筋肉を持った人を見たことがないし、その巨大さはたぶん実際に間近で見たことがない人に言っても信じてもらえないと思うほどの筋肉量だった。

上腕二頭筋の腕周りは、痩せた女性のウエストと同じくらいあった。腕だけではない。背中はエイのように広がっているし、太腿に至ってはおおよそ人間の足とは思えないほどの膨張ぶりだった。

ステロイドで「効率的」に筋肉量を追究すると、こうなるのかと人間離れした筋肉を前に考えさせられるものがあった。

人間の身体とは思えない筋肉量のボディービルダー

人間は極限に向かっていく


ボディービルダーのステロイド使用は筋肉量を劇的に増やすという意味では恐ろしいほど成功しているが、一方でボディービルダーのステロイド禍は大きな問題を引き起こしている。

内臓肥大から女性化乳房、ガン、心臓疾患、白血病とありとあらゆるステロイド症候群が競技者に襲いかかり、蝕んでいく。

それでもやめられないのは、やめれば競技者として成功できなからである。

プロは勝負の勝敗が生活に直結しており、それがステロイド停止を難しくする。

「効率化」を追究して結果が最大化されると、すべての競技者が最大化に向かって突っ走るので、ひとりだけ止めたら止めた人間が競争から取り残されていく。

だから、いったん「効率化」が取り入れられたら、もう効率化競争から逃れることはできないのである。最終的に破滅するまで暴走していくだけだ。

効率化の最後は、副作用による自壊だ。それは分かっていても、自壊するまで突っ走る。

現代文明は、何もかもがその動きの中にある。

「極端に優れたもの」を求める風潮が増長されており、ほどほどが評価されない。

より高く、より強く、より大きく、より早く。

競争や点数がそこに絡めば、最後に行き着くのは結局ドーピングになる。

ボディービルに限らず、あらゆる競技は最終的に人間を変質させるような薬物へと行き着き、「その瞬間」のためにすべてを犠牲にするような極端なものへと変質していく。

オリンピックで人間は何を目指しているのか。「効率化」された人間の最大の記録だ。何が犠牲にされるのか。

選手の肉体だ。

記録に挑戦するというのは恰好がいいのかもしれないが、その弊害は確実に存在している。どのみち、そんなものは存在しないかのように隠されるのだろう。

スポーツ界を蝕むドーピング問題。
厳しく禁止されても、選手は勝つためにそれを望む。

ドーピングは怒涛のように流れ込んでいく


「効率化」による結果の最大化を目指す動きは、スポーツ界だけではなく、教育界にも浸透していくのは当然だ。

「頭脳」も効率的に最大化させるためにドーピングに行き着くのである。

極端な詰め込み教育と入試の社会に、ドーピングは怒涛のように流れ込んでいく。

現在、学生は様々なものを暗記して試験に望み合格することに人生を賭けなければならない。だから、「覚える」という部分に対して、ドーピングする余地が生まれる。

日本では、まだ暗記や記憶をスマート・ドラッグで増強しようと発想する学生は少ないが、それは「スマート・ドラッグ」の効果が知られていないからである。

しかし、現代社会は「効率化」を目指しているのだから、「スマート・ドラッグ」の乱用は時間の問題だ。

やがて、みんなドーピングに侵される。

合格するためには手段を選ばない人間はどこの世界にもいる。それなら、脳を効率的にドーピングさせるために薬物使用が日常になっても不思議がる必要はない。

プロのアスリートがステロイドでパワーアップするように、やがて学生はスマート・ドラッグで暗記をパワーアップさせるのが当たり前の時代になっていく。

これは脳のドーピングである。

もちろん、脳を無理やり拡張するわけだから、副作用は精神的なものに向かう可能性は高い。

脳のドーピング。「スマート・ドラッグ」。
やがて、専門家がそれをどのように使うかレクチャーする時代が来るか?

そして人間が「変質」し、自壊していく


普通の人間がドーピングして極端な能力が手に入ると、身体を壊し、精神が破壊される可能性が高い。

サヴァン症候群というものがある。

見たものを写真のように記憶できたり、数千年後の日付の曜日を言えたり、一瞬で高度な計算をしたりする天才だが、精神的には問題がある。

そういった症状が現れる可能性も高い。天才的であっても、日常生活がうまく行えなくなるのである。

学生や受験者がそのような代償を払ってもいいと思うかどうかは、アスリートと同じく「哲学」の問題になっていくのだろう。

「それでも一瞬に賭ける」という人間ももちろんいる。ならば、アカデミックの世界もドーピングに侵されていく。

重要なのは、今のところカンニングは不正だが、薬物使用(ドーピング)は入試の世界ではまだ問題になっていないことだ。

つまり、まだ体制側は気がついていない。

入試にドーピング検査が導入されるまで、学生はやりたい放題であるということになる。

学生側もウブなので大半が気がついていないが、このようなことは誰かが気がつく。やがて一大潮流になるのは目に見えている。

単に記憶を良くしたいという他愛のない人間も、いつかは手軽にスマート・ドラッグに手を出すような時代になっていくだろう。そして、ナチュラルなまじめな人間を打ち負かしていく。

バングラの売春地帯の女性と、ボディービルダーと、オリンピック選手と、アカデミックの世界の人間はまったく違う人種だ。

しかし、「効率化」によって、人体を破壊される可能性があるという意味では、全員「危険な場所にいる」ということだ。

効率化の哲学があって、人間の能力を増強させようとするドーピングの薬物が絡んでいくと、いずれ、どんな世界でもすべての人間が巻き込まれて自壊していくだろう。

極限に達するとドーピングでそれを乗り越えようとする。そして人間が「変質」する。さらにその先は破滅だ。

あなたもいつか「超人」になる必要性が出て来るかもしれない。そして、実際に「超人」になって、そして最後に自壊するかもしれない。

時代がそれを求めているのだから。



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