2013-10-19

いきなり殺人機械が飛んできて、普通の女子高生が爆殺される


いつもの朝、慌ただしい朝の支度を終えて、ひとりの女子高生が家を出て学校に向かう。どこの国でもある日常だ。

パキスタンでも多くの女子高生がいるし、みんな学校に行ったり、友達と遊んだりして普通の日常を送っている。

しかし、パキスタンと先進国では違うことがある。それは何か。

2012年4月29日。ひとりの女子高生に向かって、いきなり殺人機械が飛んで来た。その殺人機械は、なぜか彼女を「テロリスト」と認識する。

そして、ミサイルを撃って、彼女を爆殺し、肉片として飛び散らせるのである。ミサイルは2発撃たれた。彼女は、即死だっただろう。

いきなり殺人機械が飛んできて、普通の女子高生が爆殺される。これは現実だ。


アメリカの攻撃用の軍機の30%近くは無人機に


女子高生を無慈悲に殺す殺人機械とは、いったい何だったのか。そして、それは誰の持ち物だったのか。

アメリカが飛ばしている無人機「プレデター」「リーパー」が、アフガンやパキスタンで大量の武装勢力や民間人を殺害している。

無人機を操作している人間はアメリカに勤務していて、機材が地上から撃ち落とされたとしてもアメリカ側に被害者は出ない。

せいぜい一機あたりのコストが吹き飛ぶ程度だが、プレデターは一機3億~4億円ほどで、ステルス戦闘機の20分の1程度の価格だという。

人的被害が出ないうえに一機あたりのコストが有人戦闘機よりも安いのであれば、当然、資金難にあえいでいるアメリカがどの方向に向かうのかは誰でも分かる。

すでに、アメリカの攻撃用の軍機の30%近くは無人機、もしくは無人兵器に置き換わっており、この比率は今後さらに増えていくと言われている。

最近では「プーマAE」「ワスプ」という小型の無人機まで開発されており、本格的に無人機編隊が組まれるようにもなっている。

もちろん偵察機も、とっくの前に無人機になっている。「グローバルホーク」と呼ばれるものが、それに当たる。

これからの中東での戦争は無人機が飛び交う戦争になっていくし、もう数年前からその兆候は出ている。オバマ政権に入ってからは加速していると言ってもいい。




略奪者と、大鎌を持った死に神


今も無人機による攻撃は続いており、成果も出ている。

たとえば、2012年6月にはアルカイダのナンバー2と言われた「アブヤヒヤ・リビ」が爆撃で死んでいる。これは無人機の爆撃での死亡だった。

アフガンやパキスタンではアメリカに対する憎悪はまったく冷めておらず、むしろ無人機による殺戮によってますます憎悪が募っている。

パキスタンは親米イスラム国家ではあるが、それは政権のごく一部であって、実際には国民の間では反米感情が根強い。その反米感情の根源に、無人機の存在がある。

2012年に入ってからアメリカ軍は、パキスタンで無人機攻撃を20回も行っており、これらの攻撃で総計151人のパキスタン国民が死亡している。

そして、4月29日の無人機攻撃が爆撃したのが女子高生だったのである。女子高生を爆殺するために、4億円かけた爆撃機で攻撃に向かう。それがいかに理不尽か、誰にも分かる。

しかし、なぜかこういった記事はアラブ圏だけで報道されて欧米の新聞はまるっきり無視してしまう。

だから、無人機攻撃と言っても、私たちにはまるで知らないのである。

アメリカは無人機攻撃の名前を「プレデター」「リーパー」と言っているが、これは被害者から見ると、実に無慈悲な名前に聞こえる。

プレデターは、略奪者だ。
リーパー(Reaper)は、大鎌を持った死神だ。

「テレビゲームのように無人機を操作して相手を殺害する」と先進国の人間は「記号化」して認識しているのだろうが、現場は血と肉が吹き飛ぶ惨状になっている。

いきなり、人間の乗っていない殺人機械が爆撃して来るのである。これでは、アメリカに憎しみも募って当然だ。

パキスタン政府は、「米軍無人機はパキスタンの領土主権を侵害している」と激しく抗議し、「国際法にも違反するものだ」と訴えているが、アメリカはまるで取り合っていない。

「無人機の空襲は、テロリストを取り締まる有効な手段なのだ」としてパキスタン政府の訴えを退けている。アメリカが無人機を展開しているのは、もちろんパキスタンだけではない。イエメンでも、アフガンでもそうだ。

2012年5月にはアフガンでも子供が「テロリスト」と誤認識されて爆撃されて死んだ。





世界各国から強い懸念


ところで、今はこの無人機はアメリカの独壇場になっているが、仮にこれを中国のような国家が「大量生産」すると、どういうことになるのか考えたことがあるだろうか。

中国がウイグルやチベットで使う可能性もあるだろうが、さらには、これをイランやパキスタン等に売ることも考えられるはずだ。

そうなると、全世界に無人機が拡散していくのだから、どこの国も無人機で攻撃される可能性が出てくるということになる。

これは絵空事に思える人もいるかもしれない。しかし、現在、無人機の技術を研究・開発している国は60ヶ国にも上っている。まだ、アメリカほどの技術を持っていないが、やがては追いついてくるのは間違いない。

これはアメリカ自身も懸念を示しているのである。

当然、イスラム過激派もまたそれを手に入れようとするだろう。イスラムの敵はアメリカとアメリカの同盟国なのだから、これらの親米国家はいずれ攻撃されるということになる。

無人機が落とす爆弾の下に人間がいる。

アメリカや同盟国で、無人機の攻撃を受けて血まみれになった人間の死体が散乱するような事態になって、初めて無人機の攻撃が無慈悲であると認識される。

しかし、それまではまったく問題にはされない。イスラム教徒が何人誤爆で死のうと、先進国は興味がないからだ。

日本で無人機の非道な攻撃が話題になるのは、恐らく自分たちが標的になってからだろう。

ある日、日本を敵視する国の無人機が飛んできて、日本の女子高生をテロリストとして認識して爆殺するようになって、やっと日本人は何が起きているのかを知るはずだ。

そのときは、もちろん殺人機械は国際問題になっていて事態は手遅れになっている可能性が高い。




映画『ドローン・オブ・ウォー』。アメリカや同盟国で、無人機の攻撃を受けて血まみれになった人間の死体が散乱するような事態になって、初めて無人機の攻撃が無慈悲であると認識される。

お願い

ダークネスの本文を他サイト(キュレーションメディア、まとめサイト、個人サイトすべて)へ転載する行為は、いかなる理由があっても固くお断りします。