2013-06-18

日本人の若者の月給が5万円になっても、もう誰も驚かない


2013年3月30日、毎日新聞では若者の死因の第一位が「自殺」になったということを報じて話題になった。

そして、その後2013年4月8日に発表された「自殺対策白書」では、毎日新聞の記事を裏付ける衝撃的な社会現象が起きていることが発表されていた。

それは、あまりの就職難や就職活動の厳しさに、若者が次々と自殺に追いやられ、年間では1000人を突破したというものだった。

そして、2013年6月18日、日本政府は20代の若者の死因の半数近くが自殺が占めることに対して「これは深刻な状況である」と指摘して、「若年層に重点を置いた対策の強化」することを提言した。

何が起きているのか。

例によって「最近の若者は」という嘆きもあるが、実際に起きているのは若者の根性論を超えたところにある。

今、日本の社会から若者の仕事場が消えてしまっている。もう日本企業は、日本の若者を雇いたくないのだ。雇っても、使い捨てしたいと考えている。


高いというだけではない。「猛烈に高い」


グローバル経済が世界中の隅々にまで浸透した結果、一番ワリを食っているのは、若年層であることがはっきりしてきている。

アメリカでも、日本でも、ヨーロッパでも、まるで一種の流行のように、若年層の困窮化が語られている。

若年層は世界を見渡す余裕がないので、まだ気がついていないが、グローバル化によって若年層がピンポイントに追い込まれているのである。もっと、分かりやすい表現をすれば、このようになる。

「グローバル化が、先進国の若者を追い込んだ」

なぜ、グローバル化によって若い労働者が追い込まれてしまうのか。まず、真っ先に言えるのは、先進国の労働者の賃金は高いということだ。

ただ、高いというだけではない。「猛烈に高い」のである。もし、あなたが経営者であれば、次の平均賃金を見て、どう思うだろうか?

日本人大学生の初任給 約20万円
タイ人大学生の初任給 約3万円
中国人大学生の初任給 約1万円

工場を作るなら、中国で作れば安く大量の人間を雇えると思うはずだ。

グローバル化というのは、企業が世界中どこでも好きなところに工場を作ることができるという社会現象だから、それならば賃金の安い中国や東南アジアで工場を作るのが正解ということになる。

当然、経営者の誰もがそうしたのだ。だから、日米欧の若年層は仕事がなくなった。今までの仕事はどこに行ったのか。それは、新興国の若者のところに行ってしまったのである。



いずれも「低価格品を求める社会」だ


では、若年層の仕事を奪うグローバル化は反対だと言って、日本企業が海外に工場を作るのを禁止する法律を作ったらどうなるのか。

日本企業は高賃金の若者を雇うしかなくなって、そのコストを商品に転嫁せざるを得なくなる。

それによって国際的競争力を失って企業は倒産する。企業が倒産すれば、当然、若者の仕事もなくなる。

もちろん、付加価値の高い製品を作って、安売り競争に巻き込まれないようにするという方法もある。

日本企業は多くがそれを模索した。しかし、今も昔もよく売れる商品というのは、高級品ではなく低価格品であることは、誰でも知っている。

爆発的人口増加が見込まれている中国・インド・アフリカは、いずれも「低価格品を求める社会」なのだ。成長を取り込むというのは、低価格品をいかに売るかということだ。

低価格品を自分たちが作らなければ、他社がそれを作って市場のシェアを奪い取る。

だから、グローバル化に反対して日本だけが鎖国しても、日本企業は助からないし、その結果として日本人も助からない。

実際の世の中の動きは本当はもっと複雑だから、このような単純化された説明から漏れるケースもたくさんある。

しかし、大筋として、すべての企業がグローバル化を拒絶できない状況になっているのは確かであり、それによって先進国のすべての若年層の失業が深刻化しつつある。

先進国の若者は、もう生活していけないのが当たり前の社会となっていく。



若者が追い込まれていくのは、むしろこれから


日本でも大学生が就職活動をしても何百社に断られ、絶望のあまり自殺してしまう若者もいる。それが年間1000人を超えた。

何とか就職できても、企業は若者が苦境に落ちているのを知っているから、低賃金で奴隷のように働かせて、潰れたら使い捨てする方法を採用するようになった。

ブラック企業という言葉が一般化している。

ユニクロやワタミのような企業のようなあくどい経営方法が社会問題になっているというのは、すなわちブラック企業が増えているということを意味している。

ユニクロやワタミは氷山の一角の一番目立つところだが、実際には多くの企業がブラック企業化して、若者を使い捨てる経営にシフトしている。

なぜ企業がここまで若者に強気になっているのかというと、もちろん若者が仕事に困っているのを知っているからである。

先になればなるほど、新興国の人間たちが先進国の若者の仕事を奪っていく。時代が進めば進むほど先進国の若者の仕事はどんどんなくなっていく。

今年よりも来年、来年よりも再来年、この先ずっと若年層の待遇は良くなることはない。

いつまで続くのか。もちろん、新興国の若者の平均賃金と、先進国の若者の平均賃金が同じになるまでだ。

日本人の若者の賃金が月5万円になっても誰も驚かない。それでも新興国よりも高い。

これがグローバル化なのだ。

資格を山ほど取ろうが、英語ができようが、そんなことは何の役にも立たない。新興国ではそんな人間は山ほどいて、1万円から3万円で雇えるからだ。

今でも充分ひどいのに、若者が追い込まれていくのは、むしろこれからだ。賃金がどんどん低下するのが、今まさに起きている現象だからである。

このままでは、日本の若者の多くが犠牲になってしまう。





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