2013-06-07

極秘監視計画「プリズム」。私たちの個人情報は、政府のもの


2013年6月に入ってから、アメリカ政府が国民監視を強めているという記事が立て続けに出ている。

ひとつはワシントンポストが報じたもので、NSA(国家安全保障局)とFBIが、グーグル、フェイスブック、アップル、マイクロソフト等の各種サーバを直接アクセスし、サーバに保存されている全データを収集しているというものだった。

そしてもうひとつは、ガーディアンが報じたもので、NSAがベライゾンの全音声データの記録を監視しているというものだった。ベライゾンは日本ではあまり知られていないが、携帯電話の加入者数では全米ナンバーワンにあたる事業者である。

音声とクラウドデータをすべて監視対象にされているということは、もはや政府の前に自分のすべての行動をさらけ出しているということと同じである。

ワシントンポストでは、NSAがアクセスしているのは、「音声、ビデオ、写真、メール、文書、接続ログ」と説明しているので、現代文明の中で生活している人間であれば、ほぼすべてが掌握されていると考えた方が早い。

NSAはこの極秘監視計画を「プリズム」と呼んでいる。


自分のデータは、政府に吸い上げられている


私たちは日本人だから、上記の「プリズム」計画による国民監視は関係ないと思うかもしれない。

しかし、それは間違っている。NSAは外国人の監視は「通常業務」になっているからである。

2012年4月26日、アメリカ下院はCISPA(サイバー情報共有保護法)を可決した。CISPA とは、

Cyber Intelligence Sharing and Protection Act

の略だが、これはいったいどんなもので、誰が、何の情報をシェア(共有)しようとしているのか。

CISPAは、違法ダウンロードや、児童ポルノや、サイバー攻撃などの犯罪行為をインターネット上で行っている個人の情報を、政府や企業が情報共有するというものである。

たとえば、インターネット上では、当たり前のように悪質なコンピュータ・ウイルスが蔓延したり、音楽ファイルの違法ダウンロードが利用されたりしている。

CISPAは、こういったものを配布している個人の情報を、裁判所の命令に関係なく、企業間・政府当局で情報を共有しようとするものだ。

フェイスブックやグーグルの動きを見ても分かるように、インターネットの世界では、サービスを通じて国民の情報をサーバに蓄積する動きが加速している。

そして、多くの人々のプライベートな情報が、なし崩し的に吸い上げられている。これはすでに起きていることだ。

そこに、このCISPA(サイバー情報共有保護法)ができたということは、フェイスブック等に蓄積されている自分のデータは、知らないところで「政府に合法的に吸い上げられる」ということになる。

知らないところで履歴が蓄積されて犯罪者に


「私は何も悪いことをしていないから問題ない」

そう思うかも知れない。しかし、物事はそれほど単純ではない。何気ないインターネット上での行為が、法に引っかかると判断されてしまうこともあるのだ。

たとえば、あなたがたまたまインターネットからダウンロードした音楽は、サイト元が著作権を持っていなくて、あなたは知らない間に「違法ダウンロードした」ということになるかもしれない。

あるいは、あなたはどこかの掲示板やコメントに「今の政府は駄目だ」と書いたら、それは「テロリストの証拠」だと言われるかもしれない。

あるいは、あなたのパソコンが知らない間にウイルス感染していて、知らない間にDOS攻撃の端末として使われた場合、あなた自身がサイバー攻撃の実行者として認識されるかもしれない。

あるいは、あなたが間違えてポルノ・サイトに入って、すぐに抜け出たとしても、ブラウザはそのサイトの児童ポルノや違法ポルノの画像を一時キャッシュとしてパソコンに保存してしまい、あなたは「児童ポルノ所持者」と決めつけられるかもしれない。

自分の知らないところで、何かが影響する。

そうすると、あなたは自分が悪いことを何もしていないと思っても、知らないところで履歴が蓄積されて犯罪者にされる確率がある。



消しても消しても復活するクッキー


また、自分はきちんとブラウザを閉じるときに履歴を消しているだとか、個人情報の追跡の手段ともなるクッキーを消していると言う人もいるかもしれない。

しかし、最近では、「消しても消しても復活するクッキー」も存在する。ブラウザを使い分けてもそれすら関知する「極度にしつこいクッキー」である。

「スーパー・クッキー」だとか「エヴァークッキー」と言われるクッキーは、少なくとも13ヶ所の異なった場所にクッキーを保存し、ひとつを消しても他の情報を読み込んで蘇る。

今までクッキーを消せばトラッキング(追跡)が消去できるとコンピュータのプロでさえ思っていた。

しかし、もうそのような常識は通用しない。個人が何をやっても、自分の履歴がどうしても消せずに企業に吸い取られる時代がやってきた。

そうなるのではなく、そうなったのである。

だから、いくら履歴を消し、クッキーを保存しない設定にしていても、あなたはもう安全ではない。

そして、その履歴が蓄積されていくと、あなたが何を好み、どんな嗜好を持ち、どんなものに関心を持ち、性的に何を好み、政治的な傾向はどうか、政府に従順なのか反抗的なのか、すべてが「丸裸」にされてしまう。

その上に、自分のSNSやクラウドデータから政府に情報が漏れていくのだから、インターネットに接続されている限り、逃げられない。

もちろん、コンピュータ企業は政府によるバックドアはないとコメントする。しかし、不思議なことに、どこの企業もワシントンポストやガーディアンに対して「事実無根の記事を書くな」と糾弾しない。

クラウドを経営する企業にとってデータが盗まれているなど報道されたら致命的であり、激しく反論して訴えてもいい。訴訟大国のはずのアメリカで、そんな動きがひとつもない。



情報は漏らさず警察が手に入れる


インターネットは、全世界の国民のインフラとなり、誰もが逃れることができない「超監視システム」になった。

一部の人間がどんなに警鐘を鳴らしても、ほとんどの人はまったく無関心で、企業や政府の都合の良いようにテクノロジーの世界が突き進んでいる。

監視システムはできあがっており、逃れたくても逃れられない時代になってしまったのである。

インターネット上に記録された、住所・氏名・年齢・職業、口座番号、口座履歴、クレジットカードの番号、使用履歴、電子メールの内容、ウェブ履歴は、無事ではない。

スマートフォンを使っているのであれば、GPSによる位置監視、そしてフェイスブックの書き込み、ツイッターでのつぶやきはすでに掌握されている。

クラウドを使っているのであれば、そこにあなたの作ったワープロの文書や表計算の文書類、あなたの撮ったプライベートの写真データ、音楽データにも政府当局にアクセスされる。

当たり前のことだが、クラウドの危険性や、フェイスブック等のSNSの危険性は、コンピュータ専門雑誌は真剣に取り上げるようなことは絶対にない。

なぜなら、そういった雑誌類は広告で収益を上げるのだが、その広告主がクラウドを運営している企業なのである。広告主を批判するような記事は載らない。

だから、クラウドやソーシャル・ネットワークは野放図に成長してインターネットを支配するようになり、すべての情報は漏らさず政府が手に入れることができるようになった。

NSA(国家安全保障局)が、国民監視に邁進している。



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