2013-01-10

エジプトの財政危機と預金封鎖を他人事だと思ってはいけない


2011年1月にチュニジアから端を発した「アラブの春」の暴動は、たちまちのうちにエジプトのムバラク政権に飛び火して、2011年2月11日にはムバラク独裁政権が崩壊した。

世界は「民主主義の勝利だ」と叫んでこれを祝い、エジプトは新しく、輝かしい未来がやって来るかのように喧伝していたが、そんな浮かれた世情は一瞬にして終わった。

ムバラク政権が崩壊したところまでは良かったが、民意を継ぐその次の後継者がなかったからだ。

エジプトは軍と国民が内部分裂し、それ以降、国内は事実上の無政府主義になって迷走に次ぐ迷走を続けている。

やっとのことで決まったモルシー大統領も2012年11月に自分の都合の良いように憲法を改正しようとして大反発を食らい、国民の信用を完全に失っている。

そして今、エジプトは断末魔の叫びを上げながら、経済崩壊しようとしている。もはや一刻の猶予もないほどに追い詰められており、国家破綻・国家崩壊寸前になってしまった。


国家破綻すると、エジプト・ポンドは紙切れに


IMFはモルシー政権に48億ドルの支援をする代わりに緊縮政策と財政改革を受け入れるように説得し、モルシー政権はそれを受け入れていたが、一転して反故にした。

今のタイミングで増税等の財政改革を行うと、ただでさえ経済混乱で困窮している国民を、もっと追い詰めることになる。

政権崩壊するのは分かりきっており、モルシー政権はそれを飲むわけにはいかなかったのだ。

2012年12月、エジプト国内の大混乱を見て、格付け会社はエジプト国債の格付けを引き下げた。これによって自国通貨であるエジプト・ポンドが暴落し、この動きは今も続いている。

2013年1月3日、エジプトの中央銀行は「外貨準備が危機的水準にある」と警告した。

さらに企業の外貨預金引き出し規制がされ、エジプトは事実上の「預金封鎖」が行われた。

みんな預金を引き下ろそうとしているので、それができないように政府が預金を引き下ろせないようにしている。

ところで、なぜ国民はみんな預金を引き下ろしたいのか。

なぜなら、このまま政権崩壊に突き進み、エジプトが国家破綻すると、エジプト・ポンドは紙切れになってしまうからだ。

もはや国家が持たないのではないかと思っているエジプト市民は、みんな自国通貨を売って、早めにドルを手に入れようとしているのである。

いや、ドルばかりではない。とにかく、通貨を何か他のものに変えようとしているので、エジプト国内ではゴールドも重要視されている。

モルシー大統領。国民から信用されておらず、すでに政権危機に。

ドルやゴールドに代えて持っておくべきだった


国家崩壊、国家破綻が近づくと、そのときに銀行に預けていた預金は「人質」になる。

様々な理由で経済的な混乱は一気に進んだとき、どこの国でも国家が真っ先に行うのは、預金が引き出せないようにすることである。

だから、現在のようにグローバル経済がいつ暗転するのか分からないような危険な状況のときは、現金を銀行に置いておくのが最も危険な行為になる。

エジプト人であれば、「アラブの春」が起きた2011年1月や、ムバラク政権が崩壊した2011年2月に、持っていた預金をすべて引き出して、ドルやゴールドに代えて持っておくべきだった。

ゴールドだけでなく換金できるものであれば何でもよかった。

プラチナでもシルバーでもダイヤモンドでも自分の納得できるものに変えて、国が崩壊しても困らないように準備しておくべきだったのだ。

事実、2011年には資産家はすぐに行動を起こしてゴールドを抱えてドバイに逃げようとしたので、エジプト暫定政権はゴールドの海外持ち出しを禁止にしたほどだ。

しかし、禁止にされてもゴールドに代えて持っておくべきだったのだ。どのみち、国家崩壊していく国の通貨など紙切れ同然になる。

今、エジプトの通貨は法則どおり「暴落=紙切れ」になっていこうとしているのだから、本当のことを言えば予測の範囲であり、今さら慌ててもすでに遅い。

逆に言えば、すでにドルやゴールドに代えているエジプト人は、この大混乱の最中でも正気を保っているはずだ。



預金を引き出す。ドルやゴールド等に換える


モルシー政権がこの未曾有の危機を収束できるのかどうかは誰にも分からない。エジプトは国家崩壊するかもしれないし、IMFがギリギリのところで救済するかもしれない。

もしエジプトが国家破綻していけば、中東はさらに激震し、その余波はグローバル経済を揺るがすインパクトになる可能性もある。

逆にエジプトが助かったとしても、すぐにエジプト経済は上向くわけではなく、むしろ陰鬱で長い停滞に落ちていく。

いずれにしても国民の不満を政府が吸収できていないのは事実であり、イスラム原理主義もまた台頭していく。そうなると、ますますエジプトには未来がない。

未来のない国の通貨など価値もないから、ここで私たちが教訓を得なければならないのは、国が破綻していく兆しが見えたら、とにかく真っ先に、

(1)預金を引き出す
(2)ドルやゴールド等に換える

という動きをしなければならないことだろう。そうしなければ、いざとなったときには助からないのだ。

実はドルやゴールドの他にも「世界に君臨する多国籍企業の株式にしておく」という手もあるが、これは誰もが財務諸表を分析できるわけではないから一般的ではない。

株式に縁のない人は、素直にゴールド等の現物に換えておけばいい。

ところで、これは他人事のように読んでいる人がいるかもしれない。しかし、グローバル経済がつまずいたら、日本にも大きな波が来るのは間違いないのだから、他人事ではない。

政府も銀行も共に信用しないという姿勢


グローバル経済は常に激震してきた。

1997年 アジア通貨危機
1998年 ロシア国家破綻
2001年 9.11同時多発テロ事件
2008年 リーマンショック
2011年 ギリシャ危機

数年ごとにグローバル経済は問題を起こして、そのたびに全世界が巻き込まれて危機が玉突きのように発生する。

2012年は、あらゆる危機が先延ばしされたが、2013年もそれが成功するかどうかなど誰にも分からない。もしかしたら、予測もしなかった危機に見舞われる可能性もある。

そんな危機が来たとき、やらなければならない第一歩は、他人がやる前に、銀行・郵便局をすべて解約して、預金封鎖から逃れることだ。

(1)預金を引き出す
(2)ドルやゴールド等に換える

日本で言えば、2011年3月11日の東日本大震災の際に、危機感を感じて預金をすべて引き出した人は見込みがある。きちんと危機に対応できていたということだ。

さらに言えば2010年中にさっさと預金をゴールドに換えていた人は、もっと見込みがある。

なぜなら、民主党の菅直人首相がまともであるとは到底思えなかったし、そうであれば何らかの経済ショックが起きてもおかしくないという予測も成り立ったからだ。

今でもグローバル経済の危機は収束したのではなく、引きずっているのだから、政府も銀行も共に信用しないという姿勢を維持し続けることは正しいことなのだ。

世界の歴史では、大混乱が来たときには必ず持っていなければならないものはゴールドだと教えていた。

現在は、誰もがそのような時代になるのを不安に思っているわけで、その不安がゴールドの価格に現れている。今どき、通貨を信じて預金をしているような無邪気な人がいたら驚きだ。

まったく政治危機が収束しないエジプト。経済的な停滞は長引く。

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