2012-04-09

習近平と、薄煕来と、オックスフォード大学と、諜報組織MI6


中国の次期国家主席のポストに就くと言われている習近平(シー・ジンピン)氏は昔から大のマスコミ嫌いで必要最小限でしかマスコミの取材は受けない。

だから、いまだに習近平本人よりも美人女優だった妻の彭麗媛(ポン・リーユアン)のほうが有名だったりしたが、それはもうすでに過去の話になった。

ここ数ヶ月、習近平は怒濤の外訪によっていよいよ次期中国の「顔」として知られるようになった。中国では、毎日のように習近平の動向が伝えられており、事実上の次期新体制の基盤固めがなされている印象すらある。

4月に入ってからも勢いは止まらず、カザフスタンのカリム首相との会談、そしてすぐにタイのシリントーン王女と会談と、世界を縦横無尽に飛び回っている。


「薄煕来の失脚」と見るのが正解ではないか


集団指導体制に移行した中国では、もはや個人プレーや個人崇拝で政治をする時代は終わったようで、個人的なスタンドプレーを得意として個人崇拝をも強要していた薄煕来も失脚した。

同じ太子党グループとして最大のライバルだった薄煕来の失脚は、それを「薄煕来個人の失脚」と見るか「太子党グループの失脚」と見るかで中国の権力闘争を見る目は180度違ってくる。

「薄煕来個人の失脚」と見るのであれば習近平の権力基盤が盤石になったということだ。

「太子党グループの失脚」と見れば、習近平の権力基盤が脆弱になったということだ。

どちらだったのだろうか。

もちろん、情報統制されている中国の政権の内部の詳細な事情は「イギリス諜報組織MI6」くらいしか本当のところは分かっていないだろう。

しかし、1ヶ月経って小さく漏れ伝わる記事を組み合わせていくと、どうも「薄煕来個人の失脚」と見るのが正解ではないかという雰囲気になって来ている。

集団指導体制に移行し、「政治局常務委員」によって秘密裏に政策が実行される中国共産党のスタイルには薄煕来はあまりにも突出しすぎていた可能性がある。

だから排除されたと多くの人は中国の政局を読んでいる。日本では「出る杭は打たれる」という格言があるが、薄煕来はまぎれもなく出る杭だった。

薄煕来

薄煕来に対する痛烈な批判


薄煕来は大衆迎合の政治家だった。個人プレーに走り、毛沢東時代の「革命歌」運動を推進し、強引なまでの黒社会追放をしてきた。

確かにそれは革新的だったが、その剛腕は中国そのものを不安定化させる原因にもなりかねなかった。

毛沢東は中国共産党のシンボルだが、文化大革命は中国の国家基盤を根底から破壊した恐怖の暴君でもある。

もし、薄煕来の「革命歌運動」が拡大していくと、それによって中国全土が分断され、政治的混乱が発生する確率は十分に考えられた。

そこで、薄煕来というパーソナリティーに危険を感じた胡錦濤・温家宝体制による「危険分子の排除」がなされたというのが、常識的な見方になっている。

これは、温家宝首相が名指しこそしなかったものの、明らかに薄煕来を指していると言われている次の言葉から汲み取れる。

「文革の誤りと封建的な影響は完全にぬぐい得ていない。今の社会矛盾を解決できなければ、文革のような歴史的悲劇が再び起こるかも知れない」

この後、暴力団追放や汚職撲滅でスタンドプレーをしていた薄煕来そのものが職場放棄・規律違反・汚職で追及され始めた。

彼の妻である谷開来に至っては、重慶市でビジネスをしていたイギリス人の死にも関与したとして取り調べを受けている。

このイギリス人は薄煕来と利害が対立して突然死しているのだが、そのあとに死因の調査もなくすぐに火葬されて証拠隠滅されていた。

それを命じていたのが腹心だった公安局長の王立軍だったのだが、王立軍はその後、成都市の米領事館に逃げ込んで、亡命を申請する騒ぎを引き起こしている。

ニール・ヘイウッドとイギリスのMI6


ところで、「重慶市でビジネスをしていたイギリス人」というのは、ニール・ヘイウッドという人物だ。

このイギリス人は「企業コンサルタント」を名乗っており、彼の顧客がハクルート・アンド・カンパニーだった。

ハクルート・アンド・カンパニーはイギリスの諜報組織であるMI6のメンバーが創設した企業で、ニール・ヘイウッド氏そのものがイギリス諜報部員だったとも疑われている。

ニール・ヘイウッドは谷開来に取り入り、薄煕来とも親しく付き合うようになり、コンサルタントとは名ばかりで、恐らく薄煕来の身辺をずっと洗っていたのだろう。

なぜニール・ヘイウッド氏がMI6のメンバーだと疑われているのかというと、谷開来の「取り入り方」が通常のビジネスマンにあるまじきコネクションを見せているからだ。

薄煕来と谷開来の息子は薄瓜瓜というが、この薄瓜瓜はイギリスの名門と言われているオックスフォード大学に入学している。

その入学を斡旋しているのがこのニール・ヘイウッド氏なのである。

殺されたニール・ヘイウッド氏

オックスフォード大学


オックスフォード大学は通常の手段では非常に優秀な成績でないと入れないところだ。

しかし、唯一例外(暗黙の了解)がある。それは各国の有力な政治家・権力者の息子であればボンクラでも問題ないというものだ。

将来、その国を担う可能性がある人物であれば、むしろオックスフォード大学に放り込んで、そこでイギリスの傀儡として動くように教育していく。

・羅文幹(ルオ ウェンガン)
・アウンサン・スーチー(ミャンマー)
・ベナジール・ブット(パキスタン)
・ビラワル・ブット・ザルダリ(ベナジールの息子)
・インディラ・ガンジー(インド)
・アピシット・ウェーチャチーワ(タイ元首相)
・レスター・ピアソン(カナダ)
・皇太子徳仁親王(日本)
・皇太子妃雅子(日本)

天皇家とイギリス諜報組織と日本の政治については様々な絡み合いがあるが、これについては何も書きたくない。

ともかく、こういった人たちはみんなオックスフォード大学の出身者だということだ。

ミャンマーではアウンサン・スーチーがいよいよ動き出しているが、英雄アウンサンの娘スーチーは自分自身がオックスフォード大学出身であると共に、夫はMI6のメンバーだった。

権力者・薄煕来の息子であった薄瓜瓜と、オックスフォード大学とMI6のニール・ヘイウッド。登場人物は違えども、背景はまったく同じだ。

つまるところ、もし薄煕来が中国の政治局常務委員のひとりとして抜擢されていたら、イギリスはその瞬間に中国共産党内の動向を、薄煕来〜ニール・ヘイウッド〜MI6のラインで知ることができるようになっていたのである。

ちなみにアメリカはイギリスとそっくり同じことをハーバード大学を使ってやっている。「自分の息子・娘が名門大学を卒業した」というのは、権力者にとって虚栄心を満足させるものなのだろう。

それが諜報組織に取り込まれる罠になっているのだが、むしろ喜んで取り込まれたいと権力者は考える。

人々はこれを「歴史」と呼ぶ


そうやって、薄煕来に取り入ってきたニール・ヘイウッドは死んだ。

アルコールの大量摂取が原因だと言われているが、実際のところヘイウッド氏は禁欲主義者であったようだ。

殺された原因はいろいろ言われているが、谷開来とは肉体関係もあったという説もあり、そういったものも関係しているのかもしれない。いずれにせよ身の危険があることは周囲に漏らしており、本人が懸念していた通りに殺された。

イギリスの目論んでいた諜報はここで断ち切られたわけで、イギリスはこれを非常に重要視して中国に抗議、そして、急遽、薄煕来の失脚に結びついていき、谷開来は逮捕、オックスフォード大学からハーバード大学に移っていた息子の薄瓜瓜もまた行方不明になっている。

薄煕来が重慶の実業家、暴力団をいくら拷問・殺害しようが誰も問題にしなかったが、ただひとりニール・ヘイウッド氏を殺害したことによって「虎の尾」を踏んだ可能性があると言える。

その虎の尾とはイギリス、ひいては欧米の権力構造である。

そこで、胡錦濤・温家宝体制は異例とも言える薄煕来の市党委書記解任に踏み切り、批判してみせたのではないか。

そして、習近平自身も手厳しくこのような発言をしたことが「報道」されている。

「大衆の関心を呼ぶために派手に立ち回り、人気取りをして個人的な利益を上げようとしている者がいる。党と人民の事業のさまたげになり、党のイメージを傷つけ、結果的には党への信頼を失わせる」

習近平

派手に立ち回っていたのは誰か。薄煕来だ。
人気取りをしたのは誰か。薄煕来だ。
個人的な利益を得ていたのは誰か。薄煕来だ。

中国では要人の発言が「報道」されるときは、中国共産党の許可があったからだと見てもいい。

ところで、習近平には娘がいるが、その娘「習明沢」は今どこにいるのか。

アメリカだ。

ハーバード大学に在籍している。当然、習明沢という娘はCIAの監視下の元でアメリカ生活を満喫することになり、CIAは彼女を通して習近平の生活を知り、コネクションを持つことになる。

つまり、習近平は裏側で娘を通してアメリカと通じ合っているということになる。

薄煕来ー薄瓜瓜ーMI6ーイギリス
習近平ー習明沢ーCIAーアメリカ

諜報活動というのは、こうやって時の権力者のコネクションに入り込んで行くのである。

このような世界が綿々と続いており、人々はこれを「歴史」と呼ぶ。


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